子犬を飼う環境とトイレの配置・しつけ
お世話になります。さっそくご著書を読ませていただきました。
勉強になった部分、共感する部分がたくさんありました。読む前はちょっとボリウムが薄いのではないかと思いましたが、しかし読んでみると内容はとても充実しておりました。
わたしはこれから子犬を購入する予定で、まだじっさいに飼ってはおりません。来週月曜日にブリーダーさんのところに迎えに行く予定になっています。
犬種は柴犬、62日齢になるオスです。人間の家族は3人(50代夫婦と90代親)です。
類書を見ますといろいろなことが書いてあるのですが、堀川さまのおっしゃっていることを大原則に進めていこうと心が決まりました。それで万一うまくいかないようなときは、そのときにまたよく考えて、堀川さまにご相談させていただこうかなと思っています。
子犬を迎えることをとても楽しみにしているのですが、飼育についてはわからないことだらけで、きちんとできるのだろうかという不安も大きいです。とくにしつけができるのかどうかの点が心配です。
「溺愛」して「馬鹿犬」(じつは馬鹿飼い主のせいでそうなるだけのようですが)にするのはきわめて簡単そうなのですが。
まだまだ自信はなく、さらに堀川さまのご著書をくり返し読んでいこうと考えておりますが、まずは具体的に2点の疑問があります。
1 トイレの設置場所
室内外で、60cm×90cmのケージ(アイリスオーヤマ製で屋根は着脱可能)の中を基本テリトリーとして飼育するつもりです。
そこで第1の疑問なのですが、トイレはどこにセッティングすればいいのかということです。いろいろな本を見ますと、ケージの中と書いてあるものもあれば外と書いてあるものもあります。
堀川さまのご著書やサイトでは、ケージ内にトイレを置くのがよいと書いておられます。さらにトイレ・ハウス・給水器の4点セットが理想的と記載されております。なので、わたしもケージ内にトイレ、給水器の3点セットで飼育しようと考えております。60cm×90cmなので、ハウスを置くゆとりがありません。毛布かなんかを「ベッド」にしてやろうかと考えております。
やはりトイレはケージ内がベストなのでしょうか。ケージ内を基本テリトリーにしてやるのなら当然の選択とも思えます。しかし、エラい先生(藤井聡先生など)もトイレはケージの外の遠いところにといっておられるので、気になります。トイレをふだんの居場所のごく近くに置いてもいいのかなという疑問です。
2 去勢について
まだ少し先の話になるのでしょうが、去勢をしたほうがいい時期がやってきます。繁殖させるつもりはありません。であれば、去勢したほうがいい、するべきだという意見が圧倒的です。やはりそうなのでしょうか。堀川さまのお考えをお聞かせいただきたいです。
長々と書いてしまいました。お時間をとらせてしまいまして申し訳ございません。どうぞよろしくお願い申し上げます。
このタイミングでメールをいただけて良かったです。犬は最初の接触で基準値を作ってしまうので、気を付けなければいけません。
↓このへんの記事をご参考にされてください。(他にもたくさんあります)
さてご質問の件です。
1、環境とトイレの配置について
藤井さんが「トイレはケージの外に」と言う理由は、犬が巣穴(寝床)の中で排泄したがらないからです。
これは当然なのですが、私の場合は「クレートハウスとケージが合体してある」というところがポイントです。つまり、寝床(巣穴)はクレートハウスで、ケージは寝床の外なのです。
そして、クレートハウスとトイレの間にはフリースペースも少しあります。距離はこれで十分なのです。
そして大問題ですが、藤井さんのやり方(クレートハウスのみで扉を閉める)では、犬に長い留守番をさせることができなくなります。膀胱炎になってしまいます。
「そういう環境の人は犬を飼うな」と言っているようなものです。
でも現代社会に生きる日本人には無理です。ご夫婦共働きならば、数時間おきに定期的にケージから犬を出して排泄させるなんて無理です。そういう方だって犬を飼う権利はありますし、正しく学べばきちんと犬は飼えます。
(※生後4か月未満の子犬に8時間以上留守番させるのは良くありません。食べ物がないと低血糖になってしまいます。トイレが汚れたままだと嫌がります。)
ですので、4点セットで
・クレートハウスという寝床があって、扉は開いているので
・いつでも水が飲めてトイレに行ける
・でもケージやサークルがあって、誤飲・感電事故やイタズラが防げる
という環境になるわけです。
現在あるケージが狭いようでしたら、その柵を1面外してそこにクレートハウスの出入り口を合体させれば良いのです。(それで4点セット)
もちろん、四六時中、犬の世話が出来る環境の方は藤井式でも良いかもしれませんが、犬の生涯に渡って毎日それが出来る方はまずいないはずです。
冠婚葬祭・急な外出・買い物等々、長時間留守番させなければいけない時は必ずきます。その時になって急に犬に「今日はこうしろ、あ~しろ」と言っても無理なのです。
私は、多くの日本人の方ができる環境作り・しつけ法を考えて考えて考えて、お話申し上げております。もちろん、何でも飼い主の都合の良いようにするような甘えも許されませんし、犬の本能に逆らっても結果は出ませんので、両立できるバランスを探っていくことです。
2、本書でも去勢・避妊はおすすめするよう書いております。
一番の理由は、将来の病気のリスク低減です。人間同様に、犬も癌がとても多い動物です。
去勢で犬が大人しくなるという期待はしないほうが良いです。マーキングが止まったり、攻撃性が減る犬もいますが、まったく変わらない犬もいるからです。
そこに期待はしないで、あくまで犬との関係作りや教えなど、犬のしつけを通して解決しないといけません。
ではこれから楽しみですね。
でも、予想以上に犬のしつけは大変ですので、それはご覚悟いただいて、結果をすぐ求めないで根気良く淡々と続けていきましょう。
また一方で、しつけと関係作りが出来た成犬との生活は、予想以上に素晴らしいものです。そうなるまでには、ガマンするべきこともたくさんあります。飼い主さんが身に付けるまで、子犬が成長するまで時間も必要です。ご夫婦で本書・Q&Aサイトは熟読されてください・・・
さっそくのお返事ありがとうございます。
2の「去勢・避妊手術を推奨」はよくわかりました。
1の「トイレの位置」についての、
>つまり、寝床(巣穴)はクレートハウスで、ケージは寝床の外なのです。
なるほどと得心いたしました。巣穴を用意してやらないと犬は落ち着けませんね。
質問1
そこでお尋ねしたいのですが、つれて帰った初日から、改造型ケージ(ケージの一辺にクレイトを直結したもの)にしておいたほうがいいのでしょうか。
そのほうがいいということでしたら、あしたとあさっての2日で改造工事をしたいと思います(お迎えが7日なので)。
質問2
トイレトレーニングは、ケージ一面にペットシートを敷いておき、最初に排便・排尿したときはほめ、以後、最終的にトイレにしたい場所にしたときはほめ、そうでない場所にしたときは無視して、だんだんとペットシートを敷いた場所をせまくしていく、ということがある本に書いてありました。こういう方法でよろしいのでしょうか。(その場合、ケージに直結改造したクレイトの内部にはペットシートは敷いておかないということでしょうか)
よろしくお願い申し上げます。
1、もう準備されておいてください。
犬は環境の変化にとても敏感で、お部屋の模様替えをしただけでも興奮してストレスになります。
環境は、良い準備をして、それが出来たらもうコロコロ変えないことです。
2、情報のつまみ食いはいけません。
犬のしつけや育て方・教え方・環境など、すべてはつながっているのです。
「この人のやり方にしよう」とお決めになられたのであれば、その人以外からの情報は遮断してください。
まず環境は4点セットです。
トイレシートをフリーにしておくと、知能の低い子犬はシートを噛みちぎって飲み込んでしまいます。ポリマー素材は吸水性が強いので、子犬の体内で膨張したり張り付いて危険です。
トイレトレーを準備して、メッシュカバー付の大きめでガッシリした物にしてください。
ケージ内は余計なフリースペースを広くし過ぎないことと、もし外れて失敗しても絶対に叱らないで、必ず指示音(効果音)を出して関連付けすることです。(失敗した時は褒めない)
犬がオシッコ・ウンチする度に見逃さないで、「チチチチ」などの音を出して関連付けておきます。子犬はジロジロ見つめないで、横目でチラチラ見たり鏡に映して観察しましょう。
犬も人間も興奮で利尿脱糞作用が高まります。
ケージから出して遊び始めた瞬間が一番興奮して、そこで漏らすケースが多いですので、少し出して遊んだらすぐにいったんケージ内に戻して、そこで関連付けしておいた音を出してください。
そしてトイレの上で成功した場合は、排泄中に音出ししながら、トイレの場所を指差しするジェスチャーも犬に見せて褒めてください。
それによって、場所と音と褒めと排泄の行為が関連付けされて、それを繰り返すことで習慣化していきます。
以上は、Q&Aサイトに同じような解説をたくさん載せてあります。本書だけでなく、必ずQ&Aサイトも熟読されてください。
では、前回お話した最初の1週間の接し方をお気を付けください・・・