犬のしつけがQ&Aで分かる!

保護犬5か月前後?のしつけで散歩・マウンティング・甘噛みなど

質問内容
堀川様いつもお世話になりありがとうございます。

まずは近況報告から。家族に慣れてきました。しかし、どうも反抗しているような気がします。堀川さんの言われる反抗期には早いですよね?

月齢があっていないのかも。(保護犬で動物病院から推定4か月)

①玄関の上がり框に足をかけるのはNGとしています。(外飼い予定の為)

最近は、足をかけてこちらをじっと見て待ち、私が「ダメ」と声をかけると素早く下りて、こっちを見ながらまたかけて・・を数回繰り返します。少し挑発っぽいと感じます。「ほら。ほら。見て。私こんなのやってるよー!」という声が聞こえてきそうな、いたずらな目をしています。

②この5日間くらい、ドッグフードを少量残します。毎回ではありません。

基本すぐに下げますが、そわそわするので排泄をかと慌てて外に連れ出して帰ってきたらまた食べ始めることもあります。(排泄ではなく、外に出たいだけの事が多い)

③庭の外も多少歩くようになりましたが、ほぼ逆リードされます。

座り込んだり伏せった時は私もよそを向き待つのですが、犬は知らん顔で落ち葉や砂を食べています。やめさせようとすると、ますますやります。(既にここで毅然とした態度は崩されているのですが)

犬の歩き始めるそぶりに合せて私が動くと、すかさず伏せってしまいます。「マテ」でじらされて動き始めても、わたしの動きに合せて慌てて座ります。「お母さんが歩くなら私は止まろう。お母さんがあっち行くなら、私はこっち行こう。」という感じです。

また、明らかに意思を持って「プイッ」と自分の行きたい方向に顔を向けます。計算だとまだ丸5ヶ月経っていないと思うのですが、力が強いです。

調子よく歩ける時は、私を越したらリードをチョンとすれば少しゆっくり隣で歩くことも時々あります。そんな時はチラチラ私の方を見て、歩調を合せている気もします。

しかし、そんなことは珍しく、仕事や家事の時間も迫り、結局は引っ張って水上スキー状態で引きずりながら家に帰ります。庭の外では水上スキーでも、一旦敷地に入るとルンルンした様子で玄関に向かい、自分からハウスに入ります。

④興奮した時はオテの連発が始まり、最後には私の腕や脚に両前足でしがみついてきます。

「オテ・・オテ、オテ、オテオテオテオテ・・わーお母さん大好き!離さない!」という感じです。そして私の手を噛みたがります。オテとマウンティング(?)の区別が付きません。・・・が、後者な気がします・・・。

⑤甘噛みが増えました。

「イイコ」とポンポンしようとすると、口を開けて上を向き噛もうとします。上に書いた時も手がだめならジーンズの裾、シャツの袖口、ととにかく引き寄せるように噛みます。

口を閉じて「ダメ」と何回か言うと手を舐めるようになりますが、「イイコ」とほめるとまた噛まれます。口を閉じる行為が興奮を助長させていると感じる時もあります。その時は「ハウス」させます。昨日は初めて夜でもないのに布まで掛けました。それくらいひどかったです。

しかし、ダメなこととは分かっているかもと思う節もあります。私の手の手前の歯が当たらないところで「声のないワン」を繰り返したりします。(噛みたいけど噛んじゃいけないという犬のもどかしさが伝わってくる)

この「声のないワン」はもう少し小さなころからありました。鼻筋にしわを寄せていますが、飛び跳ねながらしていて、甘えを感じます。時々失敗して歯が当たることもあり、「やばっ」という感じでやめたりします。

この2日間甘噛みがひどいので、子供たちは昨日から触るのが怖いと言い始めました。

⑥仰向けは変わらずさせてくれます。

⑦この2日ほどクレートの中からクークーやらフーンフーンやらアピールしています。無視して、静かになったころにエサの準備や遊びに入りますが、鳴き声が止んだり始まったりの時にタイミングをはかるのが難しいと感じています。

質問させて頂いても良いでしょうか?

①について
無視の方が良いでしょうか?

③について
1)私が知らん顔をしているときに必ずアスファルトに落ちている枯葉や砂を食べますが、どうすればよいでしょうか?
2)動かない犬をどうしても連れて帰りたいときは、引きずらずに抱える方が良いのでしょうか。「マテ」「コイ」「ツケ」は今のところまだまだです。

④について
エサをいざ食べさせようという時のオテでこうなった場合でも、一旦「ハウス」させた方がよいですか?

⑤について
口を閉じる行為はマズルコントロールとは違うのでしょうか?これをすると犬には逆効果な気がする時があります。

⑥について
仰向けでおなかをなでられるのは好きみたいです。息子が「余は満足じゃ!って思ってたりして。」と言うのですが、実は犬に取っては従属的行為になってますか?

保護犬センターから家に連れて帰った時は「筋ジストロフィーじゃない?」とおバカな心配をしていたくらいなのが本当に笑い話になりました。おてんばになったことは喜ばしいのが本音です。

だけど、やっぱり今できることがあれば頑張りたいです。時間がかかることは承知ですが、間違っていることがあれば教えてください。お手数ですがよろしくお願いいたします。


返答内容
元気に健康に育っているようで良かったです。

メールの内容からしまして、もう反抗期に入ってきています。もともと頭の良い子ですのと、保護犬なので正確な月齢は分からないものです。


さて、『反抗期』と聞くと大変なイメージもあるわけですが、同時に『成長期』でもあります。反抗やイタズラも成長の証の一つですので、それも喜べるくらい大きな気持ちで育てていかないといけません。

ただし、犬の要求に合わせて可愛がるだけでは、主従関係の誤解や悪い基準を与えてしまいます。

特に今回は、これから外飼いに適応させていかなければいけませんので、特に毅然さを保ってください。可愛い時期ですので、ちょっと精神的には辛いかもしれませんが、今の甘やかしが後に大問題・苦労につながります。


①今回は無視が良いです。外飼いに移行させないといけませんので、無理に接触系の教え方はしない方が良いです。


②犬がドッグフードを残す場合は、毅然と下げてください。声掛けしたり手で食べさせたりオヤツやトッピングは、ずる賢く学習して要求がエスカレートしていきます。

知能が上がってくるので色々試したくなるのと、ホルモンバランスの変化が激しい時期なので、食欲が無い時もあります。

ただ、健康面は要注意です。咳・クシャミ・下痢・嘔吐・フラツキ・元気がない時は獣医さんに診てもらいましょう。

それと、食欲よりも遊ぶことのほうが優先の子も、子犬期は多いものです。


③知的好奇心が強くなってきますので、色んな物を口にしてみたくなります。

人間の幼子でも、何でも口に入れてみたくなる時期がありますよね。

「シ!」などの注意音と同時にリードをガツンと引き上げて注意するのも良いですし、葉っぱや砂くらいでしたら、そのまま少し食べさせてみて、学習と飽きさせることもして良いです。

朝など忙しい時は、あまり遠くまでお散歩に行かないで、家の周辺だけで良いです。他人や犬などを目にすることができれば、それだけでも意味があります。夜や休日など時間がある時に遠出すれば良いです。

引っ張りが強いということは、そろそろ骨格もしっかりしてきていますので、リーダーウォークや切り返しは、かなり強めで良いです。犬は抱っこしない方が良いです。遠くまで行かないで、家の周りから練習です。それならば多少強引に連れ帰っても良いです。


④マウンティングは絶対に許してはいけません。

>一旦「ハウス」・・

↑この意味が分かりませんでしたが、指示でもないのに犬が足を乗せてきたら、注意音と同時に首輪をガツンと引き上げて降ろして、スワレの型を作って堂々と軽く褒めてください。噛んだ時も同じです。仰向け出来ればそれもしてください。


⑤知能が上がってきたからです。

自分の思い通りにできないかと色々考えますし、遊びでもありますし、自己主張でもあります。相手にコントロールされるのを嫌がるようになるので、例えば散歩中に飼い主さんのズボンや靴やリードを噛んで動きをジャマすることもあります。

特に7・8か月あたりがひどいです。

犬に根負けしないで、リーダーウォークを貫いてください。特に女性の場合は(そして中型犬以上では)、「ちょっとやり過ぎたかな~」というくらい強めで良いです。

一般的なマズルコントロールの目的は、リーダーウォークと同じで、犬をコントロールして主従関係を示す目的です。

私の言う口閉じは、「悪い型を止めて良い型を作り、そこに指示音ジェスチャーで褒めて教える」ためのものです。吠えや噛みを直接教えるための手法の中の一つです。

両者とも、犬の興奮が激しくて収拾がつかない場合は、無理にしないで、非接触系のリーダーウォークに移行しましょう。

また両者とも、表面上の手法の上塗りでは意味がありません。犬は見抜きます。飼い主さんの中に、本当に毅然さと主導性の意識があって、それを毎日続けることではじめて犬に伝わっていきます。

それが示せれば、本当は手法など何でも良いのです。

何気ない態度だけでも理解出来る犬もいます。逆にそれが無いと、どんな手法を使っても理解できない犬が多いです。


⑥自分からお腹を見せて、マッサージを要求してくる犬もいます。

そういう場合は、いったん指示でスワレをさせて褒めて、そこからもう一度ゴロンの指示で仰向けさせることです。そうすれば飼い主さんの主導性を示せます。

それと、犬が仰向けした時に、猫なで声でだらだらとナデナデしないことです。堂々と褒めながら少しなでて、ポンポンして、あとはナデナデしないことです。

それでは、また頑張って続けていきましょう(^_^)

飼い主さんからのお返事.png
堀川様、お返事を早く頂きありがとうございました。おかげで早速行動に移すことができました。

拝読したところ、リーダーウォークで気を遣いすぎて、全くできていないのだと実感いたしました。踏ん張っている犬を引っ張らないようためらってばかりおり、かといって、その時にフセ・マテの訓練がしっかりできるわけでもなかったです。(外ではフセなどの命令が耳に届かないようです。気が散っていると思います。)

昨日のメールに励まされ、昨夜、やりすぎと思うくらい私の自由に歩き、振り回してみました。実は堀川さんに怒られるのではと思うくらいです。途中、3回も喉が「げほ」と言ったのでドキリとしました・・・(汗)
犬が抵抗していたので首輪が食い込んだみたいです。

朝も同様にしてみました。地面を嗅ぐ暇も与えないようにしました。リードが緩むのは一瞬で、すぐにカクンと張ってしまいますが、結構強引に引っ張りまわした感じです。堀川さんの言われる理想の形ではありません。(リードを緩めると犬の言いなりになってしまうと思ったので。)

その後、少し私の顔色を伺う様子でしたので正直とても悲しい気持ちになりましたが、「ハウス」とだけ声をかけてクレートに入れて仕事に行きました。

昼時間も、エサとオシッコ、スワレ・オテ・フセ・ゴロンの命令遊びを2回させただけで強気でクレートに入れて仕事に戻りました。(いつもは自由に土を掘らせたりする時間を設けます。)

そして、15時に帰ってから歩道に出てみると、久しぶりに上手に歩けたのです。チラチラ私の方を向きながら、歩調を合わせました。時々、匂いを嗅ぎそうになっても、チョン!と(私にとっては強引に)リードを引いたら、嗅がずに付いてきました。

もしかしたら偶然うまく歩けたのかもしれませんが・・・。
(このメールを送信する前に中学生の息子が帰り、少し犬と接したようです。「お母さん、犬がちょっと賢くなっとるわ!」と嬉しそうに部屋に入ってきました。偶然ではないかも!)

文章で伝わらないかもしれませんが、やっぱり強引過ぎてよくないようでしたら教えてください。喉の「げほ」も気になります。


あと、この最近の犬の反抗ぶりに理由があることが、ちょうど今日わかりました。

ゴールデンウィークにキャンプに行った時にお友達になった家族から写真が届き、見てみるとどの写真も家の犬が抱かれている!
その家族の娘さんと、うちの娘が犬を散歩に連れて行ったのですが、歩かないからずっと抱っこして移動したのでしょう。

かわいいかわいいと、その家族のテントに帰ってもずっと抱っこしてくれていたようです。家の犬はお姫様気分を味わったのですね・・・。本当にわかりやすいです。堀川さんの本の通りですね。


それから、昨日のメールでうまく伝わらなかった質問をもう一度させてください。
④の質問にて。

いざエサの時間にしようと、エサを用意し、「スワレ→オテ→マテ→ヨシ」で食べるところ、「オテ」の時点で興奮して私へのマウンティングと甘噛みが始まったら(興奮してダメの命令が届かなくなる状態)、食事に移行せずに「ハウス」と言って一旦クレートに入れた方がよいのでしょうか?食事と思っていたのにハウスになると混乱しないかな・・・と疑問に思った次第です。

それでは何度もお手数ですがよろしくお願いいたします。


返答内容
>もしかしたら偶然うまく歩けたのかもしれませんが・・

↑犬の知能は低いですが、感覚は鋭いのです。

例えば、騒いでイタズラばかりする人間の子供は、親や先生から理屈っぽく叱られても意味が理解できませんが、ビシッと態度で厳しく示すと、感覚的に「この人の言うことを聞いた方が良い」という本能の反応をします。

今回もちゃんと伝わったのです。気合は毅然さとして、必ず犬に伝わります。甘くして誤解させない・・という意識だけでも、全然犬の反応が違います。(威圧的に大声で怒鳴ったり恐怖を与えるような体罰はいけません)

ただし、犬も慣れますし、これからどんどん知能が上がってズル賢くなっていきますので、飼い主さんも成長していかなければいけません。


>やっぱり強引過ぎてよくないようでしたら教えてください・・
>喉の「げほ」も気になります・・

↑今回の犬種(体格)・月齢、女性の飼い主さんであれば、そのくらいの意識でちょうど良いです。そのまま続けてください。

ただし、体罰が目的ではなく、あくまで飼い主さんの主導性と毅然さを示した結果がそうなった・・・ということです。

例えば、どんなに犬に合わせたとしても、犬が激しく引っ張ればゲホゲホして同じことです。犬に合わせてはいけません。


>歩かないからずっと抱っこして移動した・・
>犬はお姫様気分を味わったのですね・・

↑犬は自分にとって都合の良いことは必ず学習します。これは間違いなく影響しています。

ただし、もしそれが無かったとしても、5か月~8か月くらいの中では、歩かなくなったり飼い主さんのズボン、靴、リードを噛んで反抗するケースは多いです。


>食事に移行せずに「ハウス」と言って一旦クレートに入れた方がよいのでしょうか?・・

↑犬のしつけは何でもそうですが、簡単なレベルから徐々に適応させることと、なるべく成功しやすいように工夫してあげて、お互いに自信を深め信頼関係を積み上げていくことが重要です。

どうしても多くの飼い主さんは、早く結果を求めたり、いきなり難しいレベルを期待してしまうのです。

例えばゴハン前のしつけならば、スワレ・マテをさせて初日は1秒ですぐ褒めて食べさせます。

次の日は2秒マテ・・次の日は3秒マテ・・

待てなかったらまた1秒から褒めて・・と、簡単なレベルに戻す。

数日は3秒だけ。次の週は5秒。次の日は10秒を目標に・・・。そして、10秒も待てれば優秀なほうです。もう十分です。

そんな感じで進めてください。ご飯の場面では、オテは要りませんし、ハウスも要りません。その辺の教えは、コング遊びの中のほうが教えやすいです。

ゴハン前のしつけの目的は、「食べ物はリーダーから分けてもらっている」ということが示せれば、それで良いです。


それでは、今日は以上です。また頑張って続けてください(^_^)


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
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