犬のしつけがQ&Aで分かる!

子犬のしつけでイタズラ・人の手を舐める・歩きウンチ踏みつけ・敵に向かう態度

質問内容
初めて質問をさせていただきます。パピヨン犬、3か月になったばかりのメスについての質問です。

家に迎えたのは生後51日、家に来て6週ほど経ちました。迎えるには早すぎる時期だとは知りながら、歩いてすぐの近所のブリーダーから購入してしまいました。

・飼うことになった動機
下の娘が動物が大好きで、物心ついたころからずっと飼いたいと言い続けてきました。図工の絵や工作もいつも犬。5年生になって、お世話やほかのどんなことも頑張るから、と諦めずにお願いしてくる熱意にとうとう負けました。

・家族全員の年代
夫:40代・・・犬と接するのは朝のお世話と休日。
妻(私):30代・・・家にいることが多いので、家族が出かけてからのお世話と、子どもの帰宅後は子どもと一緒にお世話。
長女:中学生・・・夜すこし触れる程度(もともとは犬が苦手だったので、少し遠巻きに見ています)。
次女:小学生・・・朝と、学校から帰宅後~夜までのお世話。

・過去の接し方と、一日の流れ 
子犬を迎える前から色々と調べるうちに、堀川さまのQ&Aのサイトを見つけて読ませていただいていましたので、最初から甘やかしにならないよう気を付けていました。意味のない声掛けやなでなで、抱っこは子どもも含めしていません。おやつも一度も与えていません。

スキンシップは、あお向けに少しずつ慣らしていき、今はおとなしくされるままになっています。初めのうちは「見て」とこちらの目を見させて褒めて、体をポンポン。

この頃は、「おすわり」などの声掛けでできたら褒める、形を取らせて褒めるなどしています。ケージから出すと、人の膝に乗ろうとしてくるので、隣に座らせるようにしています。

しかり方は、マニュアルにある通りに、現行犯ですぐに注意するようにしています。甘噛みは、口を閉じさせて「ダメ」と厳しく言い続けたら、この頃はだいぶなくなりました。

ほかに、トイレシートのいたずら、クレートやケージを噛む、クレートに敷いたマットをトイレのほうに引っ張り出す、などは、現行犯で注意し、やめたら褒めるようにしています。(褒める部分を忘れてしまうこともありますが・・・)

初めからほとんど鳴かず、今でもほとんど吠えません。相手してほしくてキューキュークンクン言う時は無視をするようにしています。

ぐるぐる回って暴れたり、こちらの手を生き物か何かのように、向かってこようとするようなそぶりをしたり興奮がひどい時は、ケージに布を被せてしばらく放置しています。

3回目のワクチンが終わったばかりなので、まだお散歩デビューはしていませんが、家の中でリーダーウォークをしています。初めのうちは抵抗していたのですが、この頃はだいぶこちらの様子を見ながら、横について歩くようになりました。ただ、娘がしようとすると、娘の足にじゃれるようなことをします。

一日のタイムスケジュールは、朝、夫が仰向けなどして触れ合い、時間があればリーダーウォークをしています。夫と子どもが出かけた後、午前中に私がリーダーウォークと遊び(ひも付きコングなど)の時間を取っています(30分ほど)。

下の子が帰宅してからも、1~2回ケージから出して遊び(おいで&マテ、ボールなど)、ブラッシングをします。食事は一日3回に分けています。時間は一定にならないようにしています。

この頃、マテができるようになってきました。食べずに待つ間はぶるぶる震えて相当我慢しているようです。遊びとリーダーウォーク以外は、ケージの中で過ごします。

・ケージ周りの環境
ケージが置いてある場所は、こちらの都合上、リビング(2階)ではなく次女の部屋(1階)です。玄関から離れた、廊下から見えない静かな場所です。ピアノの隣で、次女のいない間にも私がピアノを弾くのにそこで過ごす時間はあります。

ケージの中は、トイレとクレートを入れ、水をセットしていました。(写真「ケージ」)
少し前に、手前右の何も置いてないケージの床に何度かおしっこをしてしまったので、今はその部分に物を置いて狭くしています。(写真「ケージ②」)

トイレトレーは、最初に買ったものが淵に高さのあるもので、邪魔な感じだったので、平らなものを新しく買いましたが、今は洗い替えのように両方使っています。

夜、1階に誰もいない時間は、部屋を暗くしてしまっています。次女も夜は別の部屋で寝るため、その部屋は犬だけになります。

・問題の内容

●イタズラをした時に、ダメと注意するとすぐにやめてこちらの顔を見るようになって、見ているところではほとんどイタズラをしなくなってきたのですが、見ていないところでしてしまいます。

特に困っているのが、クレートの扉を留めるつまみをかじってしまうことです。(写真「クレート」)
見ていないときに噛んで、ぼろぼろになって尖ってきてしまい、このままでは壊れてしまうので、堀川さまはいけないと書かれていましたが、犬の見ていないときにこっそり苦いスプレーを使いました。

その後、だいぶ噛むことは減ってきたようですが、気づくとつまみが縦になっていたり、いじった形跡を見つけることがあります。この苦いスプレーは、こういう場合にも使わないほうがいいですか?

その場合、このクレートは入れておくことはできないので、代わりに箱などを見つけてこないといけないかな、と思っています。また、現行犯注意ができないため、いたずらをしたつまみの部分に首輪を持って顔を近づけ「ダメ」と言ってみたら、抵抗してのけ反ったのですが、これは全く意味がないですか?

●この頃、手などを舐めてくるのがどんどんひどくなっています。
トイレシートの交換などの時は、こちらの手に抱き付くように後ろ足で立って(このポーズも気になりますが)ひどく手を舐めまわしてきます。

また、褒めて身体をポンポンする時も、手を追いかけて舐めます。おすわりができて褒めたい時も、舐めようとしてすぐに型が崩れてしまいます。飼い主に対して舐めることは、どんな意味があるのでしょうか? これは、注意してやめさせたほうがいいのでしょうか?

●トイレは、狭いクレートの中に入れているため、あまり失敗することはないのですがウンチをする時に、歩きながらすることが気になっています。

ウンチがたくさん出るときはトイレ上のあちこちに落ちたウンチを踏んでしまったり、トイレのふちから少しはみ出してしまったり、クレートの中に落ちてしまうこともあります。

歩きウンチをしているのを見て、こちらが「あ!」と言ってしまったり、身体を抑えたりしてしまうと、ウンチを止めてしまいそうです。お掃除も大変なのですが、何か対策はありませんか?

●トイレは、今はメッシュ付のものを使っています。
あちこちに落ちた柔らかいウンチの掃除はとても大変で不衛生で。できたらメッシュなしで、シートのいたずらもせずに過ごせたらと思うのですが、これは成犬になっても難しいのでしょうか?

●この頃、トイレ交換をする時など、私の手に対して、向かってこようかどうしようか、という敵に向かうような態度を取ることがあります。

ダメなことをしたときに、首輪をぐっと掴んで離したりすることがよくあったり、自分がやりたいことを止められたり、ダメと言われたことを思い出すように自分で噛むのを止めたりして、その後尻尾を追いかけ回すこともあり、ストレスがたまっているのかな?と思うことがあります。

褒めることを忘れずにしなければ、と思うのですが、褒めても本当に嬉しいのか、様子を見ても????なので、厳しいばかりの印象を与えてはいないか、大丈夫かなぁと思っています。

紐付きコング遊びの時も、楽しいというより、どちらかと言うと、敵に向かっているような態度を取っているので、これも心配しています。

とても長くなってしまいましたが、よろしくお願いいたします!


返答内容
今の子犬の月齢としては、とても良い状況です(^_^)

頑張ってこられた成果が出ています。特に良かったのは、子犬が家に来た最初の接し方です。そこでガマンできたので、今の時点で要求鳴きや吠えがなく過ごせています。

ただ、この月齢で「何の不満も無い」というほうが不自然で(笑)、とにかく今は知能も何もない小さな猛獣状態だということは、理解してあげてください。経験しても知性に変えられない月齢です。まだしばらく続くと思っていてください。

さらに、知能が低い割に、これから成犬としての本能が出てくるのでもっと難しくなっていきます。それと、新しい環境に来てしばらく様子見していた犬も、環境に慣れて、家族にも慣れてきて行動が大胆になってきます。

特に、5か月近くなってくると、成犬の本能が強く出てきて反抗期のような症状もあります。これからもっと難しくなってきますので、気を引き締めていきましょう。

さて、では項目別に見ていきます。


1、イタズラをした時

苦い味・臭いのスプレーですが、犬は慣れますので段々効かなくなります。それと、添加物や化学薬品も身体に良くないので、なるべく使わないでいただきたいですし、新しい物はもう買わないでください。

今の時点では知能が低すぎますので、つまみ部の噛みは、子犬が飽きるまではしばらく直らないです。しつけグッズも効かなくなっていきます。

ただ、子犬にとって噛むことは、人間の子供にとっての遊びや破壊癖と同じように、本能であり必要な発散です。これを完全に封じこめることは、かえって良くない面もありますので、上手く発散させてあげることです。

パピー用の皮ガムも売ってますし、どうしても見つからなければ、天然コットン(綿)100%の歯磨きロープでも良いです。遊びの時間でも、コングを好きなだけ噛ませる時間も作ってあげてください。


>いたずらをしたつまみの部分に首輪を持って顔を近づけ「ダメ」と言ってみた・・

↑これは絶対にいけません。犬のしつけでは、どんな事でも成犬になったとしても、その瞬間の現行犯以外では、絶対に叱ってはいけません。

犬の知能には、まったく理解できません。

もともと犬というのは、叱られたことと自分のした行為を結び付けて反省する知能がほとんどありません。防衛本能が刺激されるだけになることが多いですので、「叱って直す」という概念は持たない方が良いです。

叱るのであれば、絶対に現行犯です。そして、もし人間に噛みついたり吠える場合は、「叱る」というよりは「主従関係を示す」ことを意識しましょう。

余談ですが、同じ現行犯でも絶対に叱ってはいけないのがトイレのしつけです。

犬はただ、もよおして排泄しただけですので、「場所の失敗」という意味が理解できないのです。叱ってしまうと、余計に隠れて粗相するようになってしまいます。


さて、もし今回つまみ部の噛みを注意するとしたら、

①子犬を横目で見たり鏡に映して観察して現行犯で叱る

クレートの後ろ部などにヒモを付けてそれを知らんぷりして持っておき、犬が噛み始めたら「シ!」の注意音でそのヒモをチョンと引きます。犬はクレートが動いて歯にカチンと当たってビックリします。

②現行犯以外なら、わざと子犬の歯とつまみを接触させる

例えば、人への甘噛みなども同じことですが、わざと対象物を犬の口の中に入れて歯と接触させます。(疑似的に現行犯を作る)

そこで「シ!」の注意音で叱りながら手を犬の口の中にチョンと押し込んでやります。今回なら、クレートをポンと叩いてください。

そしてすぐに放して、ポンポンして褒めます。そしてまた対象物と犬の歯を接触させて・・・を、ひたすら繰り返して反復練習で教えてください。


イタズラのしつけは以上ですが、お話したようにまだ知能が低すぎるのと、発散も必要ですので、それはやってあげてください。特にこれから歯の生え変わりがあってムズかゆくて何でもガジガジ噛みますし、アゴが強くなってくるので、これからのほうが大変です。

ちなみに、箱に変えても犬は噛みますので、クレートのままにして、つまみを取り外してしまっても良いです。そうするとまた噛む対象を変えると思いますが(笑)


2、手を舐めることとマウンティングは分けて考える

犬が人の手を舐める意味はたくさんあります。複合している場合もあります。

・興奮の発散
・単なる遊び
・厳しく接する相手をなだめたり自衛の意味
・親愛や挨拶の表現
・汗の成分を舐めたい

などがあります。特にこれから、夏に向けて人の発汗が多くなってきますが、人の汗の中に含まれるミネラルやタンパク質・脂分などを舐めたいんです。

今回は、全部の要素が含まれていると思います。

もともと子犬は、興奮や遊びで甘噛みをしたいんです。でもしっかり教えられていますので、その代わりに舐めて発散しています。それと、「あんまり厳しくしないでね」という自衛の意味もあります。

ただし、注意点はマウンティング(人に飛びついて手や足に抱きつく)です。

これは支配欲の表現であり、相手を試す行為でもありますので、絶対に受け入れたりしないで、首輪をつかんでスワレやマテの型を作ってあげて教えてください。4か月になったらリーダーウォークもしっかり展開して良いです。

人の膝の上にも乗せないことです。マウンティングもそうですが、犬の世界では(人間もそうですが)体位が関係性を示します。犬は人間の体の上に乗せないことです。

自分の毅然さと主導性をしっかり犬に示して、主従関係を意識してください。


犬が人を舐めること自体は、むやみに叱らないでください。挨拶や親愛の表現も含まれていますので、拒否するのは犬も寂しいです。

人間は手を使って、容易に犬とスキンシップできますが、犬には舐めるという手段しかありません。それは理解してあげてください。


3、歩きウンチや踏みつけ

今の時点では、少し待ってあげてください。知能がまったく無いので、これは自然なことです。子犬にとっては、まだ何をどうしたら一番良いのかが分かっていませんので、経験を積みながら知能が発達していく中で、良い形が出来ていきます。オムツが取れない人間の幼児と同じです。

ただ、出来ることはあります。とにかく今は失敗しても、あわてたり叱らないで、指示音を関連付けておくことです。

そして、ご飯後や遊びの興奮を与えて、首輪をつかんで動きを止めながら目の前で指示音ジェスチャーでウンチさせて、褒める・・・

それをどれだけやるか、によって定着度が変わっていきます。

まずは上記を根気良く続けることです。

シートへのイタズラについても、1でお話したとおりです。成長にともなって無駄なイタズラは消えていきますし、ウンチの踏みつけも無くなっていきますが、お話したように発散も必要ですし、教えを聞きたくなる関係作りも大前提です。


4、敵に向かうような態度

これも今の子犬の自然な反応です。発散でもありますし、もともとは捕食動物としての大切な本能です。その能力があるからこそ、犬族は今日まで生き残ってこれました。

そしてこれから、もっともっと野性的になっていきます。反応も鋭くなってきます。

でも、同時に知能も高くなっていき、理解力が上がったり飽きたりもしますので、成長期の後半からはそういう問題も少なくなっていきます。それまでは、お話したように上手く発散してあげることと、主従関係作り、直接の教えを淡々と続けていくことです。


さて、冒頭でお話しましたように、まだまだ知能が低い状態が続くのと、これからもっと大変になっていきます。

10か月くらいまでは変化がいろいろあって戸惑います。でも、これも犬の成長過程では自然なことであり必要なことですので、やるべき事を淡々と続けながら子犬の成長を待ってあげましょう・・・


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【著者:運営責任者】
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堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
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