犬のしつけがQ&Aで分かる!

野放しで多頭飼いされていた保護犬のしつけ・糞尿を踏む・留守番できない・散歩できない

質問内容うちは4歳くらいのメスのシーズー犬です。犬を飼うのは初めてです。体重は4.3キロ。

1か月前にボランティアの方から譲ってもらった保護犬です。独居老人の多頭飼い(何十匹にもなっていた)で、その方が亡くなりセンターに保護されたようです。

犬が保護される前は、餌はバラマキ・糞尿は垂れ流し・散歩に行くことも抱っこされることもなかったようです。出産は何回かしているようです。

もらう前に避妊をしました。右目はは白内障のような感じに曇っています。後ろの右足は膝外骨脱臼?で常に外れた状態になっています。人やその他の動物に敵意を見せることはほぼありません。無駄吠えもかなり少ないと思います。

家族構成は、夫婦と子供三人の五人家族です。

皆の同意の上にもらってきたので、みんなかわいがるし世話もしてくれます。 普段は居間と私の部屋のみ空けてあります。他の部屋や二階にはいかせてません 寝るとき 留守番はケージに入れます。

犬のしつけで困っていること:

①寝るときも留守番も、とにかくケージに入るのが嫌いです。自分から入ることはないので抱っこしていれます。抱いて入れて無理に押し込んでもよいでしょうか?

②ケージの中にしかトイレがないので、ケージ外に出してる間は粗相があります。自分でケージに入りトイレにすることはありません。トイレは増やした方がよいですか?

それとも堀川さんのように居間にケージを置いた方がよいのでしょうか?

今は居間に続く私の部屋に置いてあります。家の一番奥で静かな場所です。みんなの姿は見えません。三~四時間おきにケージに入れればその中で出せます。

③散歩が苦手です。初めてうちから庭に出した時は震えて動きませんでした。今は少し動くようになりました。脱臼している足も気になるのでリーダーウォークはやっていません。

 気にせずやってみていいですか?
 
④ケージに入れると、しばらくクーンと鳴きながらパタパタと歩き回ります。大声で鳴くことはありません。私がいるときは見えない場所で手をたたくと鳴き止んだり歩くのをやめたりします。

問題は。排泄してある糞尿をお構いなしに踏むことです。1日三回犬を洗ったこともあります。

夜も電気を消して暫くすると、動き回って排泄たり留守番中や朝早くに出して(四時くらいに)踏んであったりするので、かなりストレスになります。踏まないようにするにはどうしたらよいですか?

他にも何点かありますが、とりあえずその四点のアドバイスをいただけたら嬉しいです。それと子供達は仰向け固めがうまくできませんでした。私が手伝ってもいいのでしょうか?

主人は犬を自由に育てたいようです。とりあえずは私と子供達だけで適用することになりそうです。

子供達も、長時間の抱っこ・むやみに名を呼ぶことやナデナデ・ネコナデ声を気をつけてくれてはいます。まだまだ気にはなりますが...

どうかよろしくお願いします。

 

返答内容

まず今回は、特殊な条件がいくつか重なっています。それはご理解いただき、「すぐに結果は出ない。でも頑張って続ける・・」という大きな気持ちを持ってください。

初めて飼われる犬で、今回のような状況下ではやはり苦労します。

それはご覚悟の上、あせらないで続けていただきたいのです。

さて犬のしつけですが、まずは激変しないことです。犬は環境の変化にとても敏感で、強いストレスを受けています。

今まで生活していた環境から、激変しないで、少しずつ変えていく必要があります。4年間に染みついた感覚や習慣は簡単には変わるものではありません。

ただ、犬も哺乳類ですので環境に適応しながら生きていける動物です。優しいレベルから少しずつ変えていけば良いのです。

まず居場所ですが、居間にしましょう。一頭で過ごしたことがないのと、もともと犬は群生がとても強い動物ですので、群れの姿が見えるだけでも安心します。

ただし、チヤホヤかまっているとそれも癖になってしまいます。もともと数十匹の多頭飼いでしたので、人間からベタベタされることもなかったはずです。

人と同じ空間に居る・・でもベタベタしない・・という良い距離感を保ってください。

その上で、ケージ内に居させます。

お写真が無かったので分かりかねますが、おそらくケージ内にトイレとベッドくらいでしょうか。

できれば本書のようにクレート型ハウスを用意していただきたいのです。

ハウスは、犬が立ち上がってUターンできるだけの大きさにします。それくらいの大きさですと、寝床のみという感覚になりますが、さすがに犬は自分の寝床だとハッキリ認識した場所で糞尿を垂れ流すことはしません。

クレートに入れて扉を閉めて、5分でケージ内に出す・・排泄するか5分くらい様子を見る・・また5分クレートに入れる・・排泄するか5分くらい様子を見る・・

というトレーニングをやってください。

次の日は10分クレートに入れる・・またその次の日は20分入れる・・

というふうに優しいレベルから徐々に難易度を上げていくと良いです。

最初は犬も戸惑いますし、クンクン鳴きも出ますが、かまわず毅然と対応してください。放し飼いだけではいつまでたっても理解できません。留守番や夜も入らなければいけませんので、それでしたら普段からケージ内で過ごすのが当たり前の習慣にしてあげた方が、将来的にはストレスなく過ごせます。

今は大変ですが、犬と家族のお互いの将来のために頑張らないといけません。

ハウスの出入り口を、居間の中心に向けて配置すると良いです。犬がハウスやケージ内に居ても家族の姿が見えればそれで満足・安心できます。

ただし、ベタベタかまってしまうと、それが癖になり家族がちょっと動いただけで反応したり「かまって」の要求吠えをしますので、普段の接し方に気を付けてください。

犬が吠えた時は、「シ!」の注意音で口閉じしたり、口の中に手を入れて教えてほしいですが、忙しい時は、ケージ全体に毛布のような厚手の布をかけて暗くしても良いです。

犬は本能的に落ち着いて静かになる場合が多いです。

>抱っこしていれます。抱いて入れて無理に押し込んでもよいでしょうか?・・

↑これで良いです。ただし、ご飯をケージ内で食べさせたり、ケージ内に手やコングを入れて遊んであげたり、犬がケージ好きになる配慮もしてあげてください。(物で釣るという感覚はいけません)

それと、最初にお話した、入れる時間を少しずつ増やす練習で、犬は適応していけます。優しいレベルから段階を作ってあげることです。

夜中はクレートに入れて扉を閉めても良いです。(初日は昼間練習してから)

さすがに自分が寝ている狭いスペースでは、オシッコ・ウンチしませんし、寝る前に少し遊んで興奮させて排泄をさせておいてください。

犬は成犬になって、よほど興奮していなければ一日3回オシッコ・2回もしくは1回ウンチ出来れば十分です。もっと少ない犬もいます。

普通の犬で普通の環境下なら自然にそうなります。逆に興奮する環境下では、しょっちゅうオシッコ・ウンチを漏らしてしまいます。


散歩ですが、これもあせらず最初はお庭でウロウロ日向ぼっこでもしながら少しずつ慣れさせれば良いです。

脱臼は、もちろん獣医さんと検討しながら治療していただきたいですが、犬は3本足でも、慣れるとすごいスピードで普通に走れます。

有酸素運動は血行を良くし免疫力を高めますので、犬にも人間にも必要です。ゆっくりで良いので、1時間くらいは歩きたいものです。

しばらくは、お庭で練習しましょう。本格的なリーダーウォークはしなくて良いです。リーダーウォークの本質は、「主導性と毅然さを犬に示し関係を理解させること」にあります。

「歩かなくてもリーダーウォーク」なのです。犬の好き勝手にさせない・・飼い主さんの主導性と毅然さを見せる・・それができれば、もう立派なリーダーウォークなのです。


>娘達は仰向け固めがうまくできませんでした。私が手伝ってもいいのでしょうか?・・

↑もちろんです。最初は奥様がやっている所に追加で参加させてください。ただし、これもお話したように激変して結果を急いではいけません。

例えば、犬にリードを付けてそれを持って、コング遊びをしたり団らんするだけでも自然に主導する形になっています。

手法は何でも良いのです。仰向けもリーダーウォークも、「主導性と毅然さ」を示すための手段の一つにすぎないのです。

人間側に意識がどうかなのです。意識がある人は、自然とそういう振る舞いをしているのです。何気ない接し方しぐさ態度に表れるんです。

犬はそれを敏感に感じ取っています。

遊ぶこともスキンシップも大切なのです。でもそれをどうやってやるか・・なのです。毅然さを保って、主導型にしてください。

ちょっとした挨拶も、意味なく猫なで声でナデナデではなく、オテでもスワレでも何でも良いので何かさせて褒めれば良いのです。指示で犬が出来なければ、こちらから型を作ってあげて褒めて教えれば良いのです。

それだって立派な遊びであり、スキンシップなのです。


ちなみに犬の白内障ですが、犬にとって視力の低下は人間ほど大きな問題にはなりません。

盲目になった犬もたくさん知っていますが、犬は臭いで周囲や物体を把握する能力がとても高く、ヒゲで空気の流れや圧力変化も察知できるので、人間が一緒について歩いたり、日常生活を経験していくなかで、普通の犬と変わらないくらいに自然に生活できるようになっていきます。

もちろん、まだ若犬ですので治療には専念していただきたいですが、人間のような支障はないことは確かです。ご心配ないです・・・

 

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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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