家庭犬のしつけと職業犬の訓練の違い(ビジネスとの違い)
私は今学生です。通ってる学校では18頭ほど犬がいて、犬の訓練などの勉強をしています。
学校での生活は1日に〇回の犬出し。この時他の犬とは全然遊べていません。なのでひとりで他の子達を追いかけるように走ったりしているだけです。そして授業の時に3時間ほど出しています。それ以外は犬舎にいます。
去年の〇月くらいに遊んでいたおもちゃを違う犬にとられてしまってから、他の犬がおもちゃで遊んでいるのが気に食わないのか、噛み付いたり、うなったりするようになりました。怪我した犬もいます。
その時の対処法としては私は先生から言われた通り「ダメ!」「ない!」で叱る。そしていい子ならオヤツをあげるといったところです。
ほかにも学生がたくさんいるので怒り方は統一されていません。叩いたり、蹴ったりする子もいました。ほかにはチェーンカラーでショックを与えるなどです。
この子は怒られたあと必ずしっぽをブンブン振って必ず人に飛びつき顔を舐めようとします。そして落ち着いたらまた、他の犬に襲いかかるといった繰り返しです。
学校が休みの今、その犬を連れて実家に帰っています。この犬は室内で飼っています。
私の家には〇歳になるオスの雑種犬がいます。外で飼っています。最初に会ったときは興味すらしめさなっかたのですが、この前、私の家の犬にいきなり本気で噛み付いてしまいました。この時は首を地面に押さえつけて対処しましたが、そのあともずっと狙って唸っていました。
ほかには学校でもリードをつけたら引っ張るので、散歩時にはジェントルリードをつけています。
それでも犬に会うと唸って向かっていこうと、すごい力で引っ張ります。その時も「ダメ!」「ない!」といい言った瞬間だけこちらを向き、また向かって行きます。
先生に報告するとオヤツをあげていいからこっちに集中させてください。といわれました。オヤツを持っていると当たり前ですが、こちらを見て他の犬のことは知らん顔しています。ですが無いときはなかなかこっちを見ません。
バリケンから出すと、犬は飛びついてきて顔を舐めようとしてくるので、それは無視しています。でも家族はそれを相手してしまうので直りません。
またアタッチメントは今までずっとしてきているので、ゴロンといえば家族にもお腹を見せて撫でていると寝ています。
服従訓練の時におもちゃを使います。できたら頭や横顔を軽く叩いて褒めています。そのあとにおもちゃを投げています。
呼ばなくてもきちんと持ってきてくれますし、出して!といえば少し時間はかかりますが出してくれます。遊び方としては投げて持ってきたら、引っ張りっこ。10分ほど遊んでいると飽きてきてすぐに座り込みます。
散歩は1回に30分~1時間
遊びが10分
1日のスケジュールとしては、学校での生活とあまり変えてしまうとストレスが溜まると言われたので、
朝:散歩、おもちゃ遊び
昼:散歩、服従訓練
夕:散歩、服従訓練
夜:散歩、おもちゃ遊び
部屋には一切出しておらず、バリケンにいます。私がいなくて家族だけの時に私が出て行った5分後くらいに15分ほど遠吠えなどをしているそうです。私がいる時は一切吠えません。
長くなりましたが何をどう改善していけばいいか方法を教えてください。
今回実践していただきたいことを、これからお話していきますが、その前に大事なことを一つお話しておきます。
いろんな葛藤や迷いがさらに出るかもしれませんが、後につまづかないように今お話しておいたほうが良いと思いましたので、お話いたします。
それは、〇〇様が今後どのような活動をされていくのか・・どうなりたいか・・によって、私のお話が害になる場合があるからです。
犬を扱う学校・・ということは、おそらく職業犬の訓練士養成学校のような場所でしょうか。
となれば、将来組織に入って、その学校の先生と同じような指導を上司や先輩から受けることになるはずです。
そうなると、私の犬のしつけ手法とは真逆になるからです。
職業犬の仕事は、例えば警察犬であれば特定の物質の探知であったり、人の捜索なわけです。
「〇〇をするのが仕事」という特定の行動に特化して犬を訓練し、「現場でそれができれば任務完了」なわけです。
そして、その犬を扱う現場のハンドラーも色んな人が携わるので、例えば「このオヤツがご褒美・・」などの決まりごとがないといけませんね。
「決まった仕事ができて、統一されたご褒美が必要な環境」なわけです。
「決まった特定の仕事が最終目標」なわけです。
でも、一般の家庭犬は違います。もちろん問題行動がなくトイレもちゃんと出来ないといけませんが、それが最終目標ではないからです。
「家族としての信頼関係を築いて、お互いの愛情を感じながら暮らしたい」
これが最終目標なのです。
オヤツやしつけグッズを使えば、表面上は犬をコントロールできるのですが、そうしてしまうことで本当の犬との関係作りが見えなくなってしまうのです。
それが一番怖いのです。
だから私は、あえてそれらを使わず、「時間がかかっても良いので少しずつ本当の関係作りをしていきましょう・・」「その価値観と合う方は、私の手法で学んでください・・」
ということで、現在の活動を行っているのです。
家庭犬なら、しつけの期限もありません。完成度のノルマもありません。自己満足でも良いのです。
でも、職業犬となればそうはいきません。ほとんどの犬が公務です。あるいは、組織の中で売り上げ目標があって働く場合も、そうはいきませんね。
今の犬とマンツーマンで時間をかけて、これからお話することを続けていただければ成果は出ます。
ですが、その後が問題なのです。
犬は、関係作りをした〇〇様の言う事は聞いても、別の手法を使う他の人には同じように行動してくれません。
「なんで君だけ違う方法なのか・・」「チームと同じ方法で犬を訓練してもらわないと困る・・」「その手法では効率が悪いので商売にならない・・」
となってしまい、その組織には居れなくなります。
そういう葛藤・矛盾がこれから生まれてきます。
これからご自分が、どの方向性で生きていくのか・・
それはしっかりお決めいただいた上で、私のお話を聞いてください。
まず、犬は良い子です。人間好きで顔舐めの挨拶もできるし、仰向けもできます。人間との信頼関係の基盤は持っています。
ですが、飛びつきや他の犬と仲良くできないのは、まだ世間知らずで、幼少期の過ごし方に問題があったからです。
おそらく、犬はかなり早くに親兄弟から引き離されたか、あるいはパピーウォーカーの飼育下で甘やかされたか、どちらかです。どちらもあったかもしれません。
そして、そのまま急に犬の群れに入ったので失敗して、さらにトラウマになったのです。
そういった背景は理解してあげて、優しいレベルから徐々に強化してあげないといけません。本来は時間がかかるもので、その犬・その犬の現状に合わせながら続けていかないといけないのですが、組織や学校ですと難しいのです。
その中でやっていけることをやっていきましょう。
まずは、「自分が犬の群れのリーダーなんだ」という強い「主導性と毅然さ」を意識してください。毎日毎日、常に意識してください。
その意識は、自然に態度や接し方に必ず出てきて、犬は感じ取ります。犬に認められます。
認められたら、教えを続けることで犬も変わっていきます。
まずはその関係作りが大前提です。意識しながら、リーダーウォーク・あお向け・主導型のコング遊びを続けてください。
形のキレイさは気にしないで、「主導性と毅然さ」だけ意識して、一貫することです。
引っ張りっこ遊びはおすすめしません。対面しての力比べになるので、対抗心が強くなるのと、人や犬の動きに過敏になり、興奮癖・噛み癖・引っ張り癖が付きやすいです。
犬のために遊ぶ・・という感覚ではなく、「自分の遊びに犬も参加させてあげている」という感覚でいてください。
バリケン内での要求吠えですが、主従関係がしっかりできればそれだけでも消えますが、それまではいくつかのやり方も使って練習しましょう。
まずは簡単なレベルから徐々に適応させる・・ということです。
犬は環境の変化にとても敏感で、ストレスを受けやすい動物です。引っ越しで吠えるようになる犬はたくさんいて、よくある自然なことです。
少しずつ環境に適応させましょう。一瞬部屋から出て、またすぐに戻る・・を繰り返すのです。
最初は1秒部屋から出て戻る・・次は2秒・・次は3秒・・
というふうに、最初は短い時間・少ない回数から、細かく繰り返していき徐々に慣れさせていきます。
「出てもすぐ戻ってくる・・」ということを繰り返し見せていると、犬も「またすぐ戻って来るだろう」ということを理解して、慣れていきます。
その慣れの様子を見ながら、徐々に出る回数・出ている時間を増やしていけば良いのです。
同じ部屋に居ても、ジロジロ見つめたり声掛けもしないことです。
それと、バリケンに毛布を掛けて暗くしてあげるのも手です。静かで暗くて狭い場所は、犬は落ち着けます。(夜の暗さは意味がありません。犬は暗視力が高いので、遮る物がなくて暗いだけなら、普通に見えています)
次に、他の犬への慣れですが、ちょうどご実家の犬が居て良かったです。年齢も高いので、若犬よりは落ち着いて対応してくれるはずです。
目標は高く持ち過ぎないことです。もし、他の犬と楽しく遊べるようになれなくても、慣れて威嚇しないで過ごせれば良いわけです。無理はさせないことです。
先ほどのバリケンでの留守番と同じように、とにかく優しいレベルから慣れさせることです。
今その犬がなんとかできるレベル・・ガマンできるレベル・・これを見極めて、そこから始めてあげることです。
最初は犬から遠いところから見せるだけにしましょう。
そこで、唸ったり吠えないで見ていられるようならば、「シ!」の音でポンポン褒めてください。興奮しやすい犬は、頭よりも肩付近をポンポンして褒めましょう。
猫なで声でナデナデではなく、褒める時も毅然と堂々と褒めます。
そうしたら、次はもう一歩犬に近づいてください。
もし唸ったり吠えたら、「シ!」の指示音で付けたリードをキュッと一瞬引き上げて、犬を注意します。静かになったらまた褒めて、また一歩近づきます。
ちなみに、「ダメ」という否定の言葉ですと、感情が入ってしまう場合がありますので、「シ!」や「スワレ」などのように、良い事をさせるポジティブな指示音の方が良いです。
続けてみて、「この距離はどうしても無理だ・・」となったら、また一歩二歩下がって慣れさせれば良いです。
それを繰り返しながら、徐々に慣れさせていきましょう。とにかく焦って結果を急ぎ過ぎないことです。
ご実家の犬に慣れたら、同じように他の犬を散歩コースで遠くから見せる練習です。
【その他】
>バリケンから出すと飛びついてきて顔を舐め・・それは無視・・
↑無視だけでは犬は理解できないのと、犬から挨拶させるのは良い事です。ですのでこの場合は、いったんスワレをさせ、チュの指示でキス舐め挨拶をさせることです。
犬の口とご自分のホッペをわざとくっ付けて、そこでチュの指示音とホッペへの指差しを見せながら褒めることで覚えます。
興奮して飛びついて指示が聞けない場合は、スワレの指示音とジェスチャーを見せながら、首輪をガッチリつかんでこちらから型を作ってあげることです。
そこでまた指示音ジェスチャーの関連付けで褒めてください。
それができてから家族にも褒めてもらいます。できるまで(型を作るまで)相手にしないことです。出来て褒めてもらえれば、犬も嬉しく理解しやすいです。
>家族にもお腹を見せて撫でていると寝ています・・
↑赤ちゃんをあやすようなナデナデは止めましょう。従属的なので、犬は要求するようになります。主従関係も崩れます。
では今日は以上です。
色々葛藤や矛盾が入るようなお話もいたしましたが、販売ホームページでもお話しましたが、私は「ビジネスを目的にした犬の調教法」はアドバイスできませんので、それはご了承ください。
しかし、〇〇様が組織の中で仕事をするのであれば、割り切って私のお話は忘れないといけません。
独立してフリーで犬の訓練士をされたとしても、ビジネスの効率としては悪いかもしれません。それが資本主義社会の現実です。
私も長年、サラリーマンでサービス業をしておりましたが、矛盾や葛藤はいろいろありました。会社・自分・お客様、どれを優先するか・・もちろん一石三鳥なら一番良いですが、そうもいかないことが世の中にはたくさんあります(^-^)
これからどういう方向性で生きていかれるか・・どこかで決めないといけない時点がくるでしょう・・・