犬のしつけがQ&Aで分かる!

怖がって逃げて触ることも出来ない保護犬のしつけ

質問内容
初めまして、堀川さま。犬のしつけQ&Aのサイトより拝見してメールさせていただきました。

愛犬との接し方、しつけ方について色々とインターネット上で探しているのですが、我が家に当てはまる事例がなく困っています。

そこで、こちらでまず相談させていただこうと思いました。

愛犬はチワワ犬のオスで3歳。ブリーダーが放棄した子で、保護施設で1年過ごした後、我が家にやってきました。

うちにきて1週間が経ちます。我が家は私、夫、義母の3人家族です。

以前にもチワワを飼っていたことがありますが、子犬から育てていたこともあり、手のかからない子でした。

広めのサークルの中に、奥にトイレ、手前にベッド(丸いクッションの様な寝床)、寝床の付近に水入れを置いています。基本はその中で過ごしています。

家の中も慣れさせたほうが良いかと思い、食事とトイレの後にリビングを自由に歩かせたりしていますが、その後サークル内に戻ってもらうのが大変です。

一番お聞きしたいのは、まったく触らせない、近づくと逃げるような犬をどのように慣らせてしつけていけばよいのか?

ということです。

しつけのサイト等を見ていても、ちゃんとできたときに撫でて褒めるとか、おやつで褒めるとか、トイレをしたそうなときにシートの上に連れていく、とか書いていますが、我が家はそれ以前の問題なのです。 

朝晩の食事はゲージ内であげています。

ゲージ内でも私が近づくと端まで逃げます。

フードの入ったお皿を置いても近づかず、私がゲージを閉めて遠ざかってから、しばらくしてから恐る恐る近づいてやっと食べ始めます。

途中で様子を見に行くとびっくりして一瞬でゲージの奥に逃げます。

おやつを見せて名前を呼んでも絶対に近づきません。おやつを床において、私が遠ざかってじっとしていないと食べません。

手から食べ物をあげられないので、オスワリやマテのしつけ以前の問題です。

でも完食はしてくれるので、食欲はちゃんとあるようです。 

トイレはゲージの出入り口の扉にすることが多いです。そこにもシートを敷くようにしました。

でも出入り口なので、そこをトイレに決めることはできません。ゆくゆくはゲージ奥に敷いたシート上でしてもらいたいです。

トイレは人が見ているときには絶対しません。いつの間にかしている、という感じです。

ですので、指示語を聞かせたり、ということもできません。掃除はしからずだまってしていますが、掃除しているところは見られています。

おもちゃは初めてのようで、まったく意味がわかっていません。

リビングを自由に歩かせていると、最初は恐る恐るでも、だんだん尻尾が上がってきて走り回ったりいろんなもののにおいをかいだりするようになります。

その間で3回ほどソファーの隅にマーキングをされてしまいました。うっかり目を離したすきに、という状態です。

声をかけたりするとびっくりして逃げるので、見ているときは絶対にしないと思います。

(トイレは叱らないようにといわれますが、マーキングは注意してやめさせたほうが良いのでしょうか?)

とにかく、寄ると逃げる、手を少しでも動かせば逃げる(特に手は怖いようです)。

話しかけても逃げる(何を言っても怖いようなので褒めることもできません)。

無理にさわって抱き上げたりすると噛みます(抱いたのはうちに来た最初の時にキャリーから出した時だけです)

保護施設でも同じ状態でまったく触らせず、飼育員さんも病院へ連れていくか、トリミングの時しか抱かなかったようですが、毎回噛まれたそうです。

全くなつかない子なので、大変になるとは聞いていて覚悟していたのですが、実際に数日接してみて、改めてどうしたらいいものかと悩んでいます。

犬のしつけは今後のお互いのためにも必要ですし、早めに正しい接し方をしてこの子を安心して過ごせる環境にしていきたいと思うのです。

甘やかすと逆効果になってますますいうことは聞かなくなりそうですし。

犬を触れないのでリードをつけることもできず、近々動物病院に連れて行かねばならないのでどうしようかと思います。狂犬病もフィラリアの予防接種もまだなのです。

慣れるまで触らず様子を見ても良いのか、無理にでも抱き上げてリードをつけてしつけた方が良いのか?

どちらがより、犬のとっても今後のためになるのかわかりません。

いつか慣れてきて、近づいても逃げない日がくるだろう。。。とずーっと待っていて手遅れになりはしませんか?

ブラッシングなどもしてあげられないままでいいのでしょうか?

情報が不十分かもしれませんが、どうかアドバイスをお願いします。よろしくお願いします。


返答内容
頑張っておられますね(^_^)

今の段階では、ちまたにある犬のしつけ法などは一切無視されてください。ネット検索もされないことです。

私の教材もまだお買いになられないほうが良いです。

この子に合わせた接し方を、時間をかけて段階的に展開していかないといけません。

それと重要なマインドセットですが、『この子には一切期待しない』と約束されてください。

結果は一切求めないことです。

もちろん、「一生このまま変わらない」ということではないのですが、とても時間がかかることが予想されますので、世間一般で見る犬との暮らしや、過去のチワワちゃんとの暮らしとは、絶対に比較してはいけません。

今回の子は、野生動物に近い状況です。むしろ、それよりも条件が悪いかもしれません。

ブリーダー下では、人間との接触がほとんどなかったでしょうし、あったとしてもかなり乱雑な扱い方だったはずです。

犬は生後半年までに人間との接触がないと、その後の適応がかなり困難になります。

まずやるべきことは、とにかく「そばに居る」だけで良いです。

そばに居ても何もしないでください。ジロジロ見たり触ったりもしないことです。

臭いを感じさせて、姿を見せ続けることです。

まずは、「危険な存在ではない」ということを理解させます。

そのうちに、「食べ物をもらっている存在、水をもらっている存在」ということを理解していきます。

今の段階では、まだ家に来たばかりですので、新しい環境下での興奮刺激でパニックになっています。

それが落ち着いてくると、周囲の動物(飼い主さん)に目がいくようになり、犬が冷静に観察できるようになってきます。

それまでは接触しないことです。

グルーミングも遊びも、後でいくらでもできますし、今の時点でしなくても命にかかわることではありません。

夜も、出来ればゲージのとなりにお布団を敷いて、そこで寝ていただきたいです。

時間があるたびに犬のゲージのとなりに座ったり横になり、知らんぷりしながら、手をケージの柵にくっ付けて(中に入れても良い)、出来るだけ手を犬に近い距離で見せておくことです。

それと、ゲージ内にエサ皿を置いて、そのエサ皿の中に手で少しずつドッグフードをチョイチョイ入れていく場面を見せてあげてください。

「手で直接食べさせよう」などと思わないでください。まだまだ先になります。

そうやって、とにかく姿を見せ続ける、手は怖くないということを見せ続ける必要があります。


さて、そうやって過ごしていくうちに、犬も少しずつ理解して反応が変わっていきます。

エサ皿を置いて、手で少しずつ入れていく場面で、犬の方から近寄ってくる日が来ます。

そうなったら、手のひらを見せて、犬が人の手から直接食べるかやってみてください。

食べるようになったら、その流れで犬のアゴの下をチョイチョイと触ってみる・・・

それができるようになったら、首を触る→肩(前足の付け根)付近を触る→頭を触る→背中を触る→お腹を触る→お尻やシッポを触る。

というふうに、徐々に慣らしていくことです。上記は一日でやるということではありません。

今日はアゴの下だけ・・・明日は首だけ・・・。というふうに、時間をかけて難易度を上げていきましょう。あせったり急がないことです。唸ったり逃げたりしたら、無理しないでまた前の段階に戻ります。

まずは、全身を触っても怖がらないようにして、首輪とリードが着けれるようになる必要があります。

首輪とリードも、今からゲージの隣にずっと置いておいて、視覚と臭いには慣れるようにしておいてください。


さて、上記を続けている間ですが、運動も多少しないといけませんので、一日に一回1時間くらいはお部屋でウロウロ歩かせてください。人は知らんぷりして居てください。

そこではトイレのしつけは、音の関連付けだけにします。

オシッコ・ウンチをしている場面で、知らんぷりしながら「チチチチチ・・・」という音を出して関連付けます。排泄の場面を見逃さないように、知らんぷりはしつつ、横目でチラ見したり鏡に映して観察します。

また、場所はどこでもしてしまうので、部屋中にトイレシートを敷いておきます。室内散歩が終わったら、汚れたシートだけ捨てて、他のシートはまとめてまた次の日に使います。

犬のトイレのしつけは、普通の犬だったとしても絶対に叱ったりしてはいけません。犬の知能では『場所の失敗』という概念が理解できませんので、叱られると余計に隠れて粗相するだけになってしまいます。

まずはトイレシートをたくさん敷いて失敗する要素を潰し、成功させて音の関連付けで褒めます。今は触ったりしないで、音の関連付けの後に犬の名前を呼びながら、音だけで褒めてあげてください。


動物病院ですが、直近では法律で定められているものだけされてください。後でも良い内容ならば、まだ行かないでもう少し待ってください。

あと一ヶ月くらい上記の内容で続ければ、犬もかなり変わってくるはずです。

今の時点で無理やり病院に連れて行き、怖い思いや痛い思いをさせてしまうと、またかなり後退してしまいます。

病院や自治体に説明していただいて、もう少し後にできるものは後にしていただいてください。

どうしても直ぐに行かなければいけない場合は、犬をサッと抱えて段ボール箱に入れて(上は閉めない)、それで移動することです。病院ではそのまま診察台に乗せれば良いです。

そしてその際は、犬に噛まれても痛くないように、ビクビクしなくても良いように、防備をきちんとしておきます。

ホームセンターで作業用の革手袋が500円くらいで買えますし、腕輪も売っています。それでリラックスできる防備をされてください。


では今日は以上にいたしますが、まずは犬が逃げずに触れるようになることです。

そこまでいけば、リードを使った色々なしつけ法や関係作りができますので、そこで本マニュアルを手にされると良いです。

Q&Aでは、保護犬のしつけや関係作りについての記事もたくさんあります。

それでは、これから頑張って続けていきましょう(^_^)


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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