保護犬のしつけで甘噛み・オヤツなしでは触らせない・飛びつき・散歩時の引っ張り
堀川様。大変勉強になりました。よろしくお願いいたします。
犬の問題は甘噛み、おやつ(ガム)なしでは触らせない、飛びつき、散歩時の引っ張り(リーダーウオークで改善の気配あり)
犬は雑種、約2歳、メス、保護された捨て犬をNPOから譲り受けいたしました。
家族は40代夫婦と小学生の息子、母70代
不在時間 1日4時間位
・ボール遊び(投げて取ってくるが、咥えてはなさない)
・とあるDVDのマズルコントロール、タッチングおやつつき(効果ありませんでした。)を行っていた。
・犬に触る時、繋ぐときなどにおやつを使用。
・散歩は、朝30分 夜1時間
・1日のタイムスケジュール:
7時散歩 30分
8時30分 庭にて放し 15分
9時から19時まで鎖につないでます。
19時~20時 15分位庭にて放し
19時20分~21時 散歩出発
20時20分~22時 おやつを使いブラッシング、仰向け
21時~22時 犬小屋
・オシッコは庭にてしますが、ウンチは散歩時にて庭にておもいきり走れる環境です。
よろしくお願いいたします。
すみません。書き忘れました。
餌は、朝晩2回。
飼い始めたのが昨年○月からです(生後4ヶ月位とのこと)。
おやつをあげずに犬に触る方法は、いかがでしょうか。
屋内で飼育は、家庭の事情で不可となっております。
ご教示願います。
今回は、もう少し伺いたい事がございました。
その方がより具体的なアドバイスが出来ると思いますので、もしよろしければ下記についてご返信いただけますと幸いでございます。
①おやつ(ガム)なしでは触らせないということですが、具体的にどういうふうに拒否しますか。
例えば、「逃げて寄り付かない」「歯を剥きだして唸ってくる」「強く噛んでくる」「吠えて近づけさせない」というような違いです。
②症状が出始めたのはいつくらいからですか?
③エサの時間や散歩の時間に、要求吠えしますか?
④ご家族はそれぞれどのように犬と接してこられましたか?
・ジロジロ見つめる、意味のない声掛け、猫なで声で大げさにナデナデ、抱っこなど。
・叱り方、褒め方はどんなふうにされてこられましたか?
⑤オヤツ無しでもオテ、スワレ、マテはできますか?
⑥咥えたボールを放さない時は、犬が唸って怒りますか?手で取り出すと犬は怒って噛みつきますか?
では、よろしい時にご返信お待ち申し上げております。
早速の返信ありがとうございます。
①待てスワレとフセをさせてからガムをあげて体を触ったり、ブラッシングしたりしておやつが終わると手のひらを甘噛みして嫌がります。
②症状は飼育当初からです。(2013年4月から)頭を触られるのが嫌。
③エサや散歩の要求吠えは、ありません。手に持ったおやつの要求吠えは、あります。
④妻や長男、義母は、子供に話すような声がけをいたします。
意味なく犬を呼んでおやつをあげてます。
散歩と犬に触るのは、私のみです。甘噛みした際、私はマズルコントロールでした。
穴を掘ったりして現行犯ではなくて妻が怒ります。無言でスコップで埋めてます。その際は、小さくなってます。
⑤散歩に行くときは、おやつなしでできます。
オテ、スワレ、マテをする際は、何かくれると思ってます。
⑥興奮してゴムボールを引っ張りあいになります。
マテ、スワレでは、やりません。
今回のミックスちゃんですが、素性はとても良い子ですので、環境を整えて接し方を皆さんで見直すことで、良くなっていきます。
触られるのを嫌がるのは、保護犬らしい反応です。
幼少期に、いろんな人に触れられる経験が少なかったり、保護団体の方の扱いが雑だったりすると、そういう反応になります。
急には完璧になりませんが、遊びと接し方を工夫して主従関係をしっかり作っていけば良くなっていきます。
まずは、「猫なで声でナデナデ」を止めましょう。
ナデナデの触られ方を嫌がる犬がいます。感触もそうですし、態度が従属的なのでイライラします。
しかし、触れられる経験も今回の犬には必要ですので、ポンポンポンと軽いタッチで犬を触るようにしましょう。それと、犬は上から近づいてくる物を怖がりますので、頭や背中・シッポは触らずに、犬の目線よりも低い位置から手を近づけて、犬の肩付近をポンポンしてあげると良いです。
静かに堂々と褒めてください。
犬に噛まれるのを怖がっていると、犬にもその緊張や不安が伝播して犬をあおってしまいます。ホームセンターに作業用の革手袋が500円くらいで売っていますので、それを装着して犬と触れると良いです。
ただし、無理にベタベタ触れない方が良いです。まずは毅然さと主導性を見せて主従関係をしっかり作っていく中で、もしスワレやマテなどができた場合は、指示音ジェスチャーを出しながらポンポンして褒めてください。最初はそれくらいの感覚で良いです。
主従関係(信頼関係)が積み上がっていく中で、犬の反応も変わっていきますので、今回はあえてベタベタと犬を触る練習はされなくても良いです。
オヤツは止めましょう。
栄養バランスも崩れますし、好き嫌いを覚えてドライフードを食べなくなる犬がいます。態度も従属的ですし、一番怖いのは、オヤツで釣って行動させてしまうことで本当の主従関係が見えなくなってしまうことです。
今回の犬が素性の良い子だったので良かったですが、そうではない犬にオヤツで釣ってしつけしてしまうと、「表面上良い子なのに急に豹変して本気で噛みついてくる」というような関係になってしまいます。
本当に主従関係がどこまで出来ているのか?に向き合いながら、正しくコツコツ続けていかなくてはいけません。
さて、犬との接し方ですが、まずは皆さんで本書とQ&Aサイトを必ず熟読されてください。
ご主人だけ実践しても意味がありません。それどころか、犬にとっては矛盾でありギャップになるので、理解できずイライラ反発するだけになってしまいます。
厳しい人か甘やかす人か、どちらかを攻撃するようになる犬もいます。
これまでもお散歩はたくさんしていただいて、リーダーウォークも頑張っておられますので続けていただきたいですが、遊びの時も同じ要素を持ってください。
犬にリードを付けてそれを飼い主さんが持って、その状態でコングを転がして遊びましょう。自然と犬の行動を主導する形になりますので、主従関係作りに良いです。
コングは固くて表面がツルツルしていますし、革手袋をしていれば、手でつかんでパッと引けばすぐ取れますので、犬に与えっぱなしにしないで、遊びを主導してください。
ご主人が犬の口からコングを取り出して、それを子供さんが転がせば、犬には子供さんが遊びを仕切っているように映ります。子供さんの主導性を示す演出ができます。
噛み癖が落ち着いてきたら、コングを転がす前にスワレ・マテの指示を出すようにしましょう。指示で出来なければ、首輪をつかんで、おんぶのようにお尻付近を押して型を作ってあげて褒めて教えてください。
褒めてコングを転がします。
それができるようになってきたら、リーダーウォーク中にスワレ・フセ・ゴロンで、仰向けも練習してみてください
それから、お散歩中だけでなく、コング遊びの中でも良いですので、お庭でリーダーウォークもしましょう。
そして、噛み癖が落ち着いてきたら、ご主人の補助の元で他のご家族にもリーダーウォークやコング遊び・あお向けをしてもらいましょう。
それまでは、毅然な態度がとれないようでしたら、かえって犬とは接してもらわない方が良いです。先ほどお話した矛盾を作らないことです。一貫性が無いと犬は全く理解できません。
【その他】
>穴を掘ったりして現行犯ではなくて妻が怒ります・・
↑これは止めましょう。犬は現行犯でないと教えられても全く理解できません。それどころか、叱られたりすると、相手からの威嚇やイジメと判断して防衛本能を刺激するだけになってしまいます。
ただ、穴掘り自体はとても良い運動になりますし、本能の要素が強いです。そして、なぜ穴掘りするのかということも考えてあげないといけません。
つまり、安心できる場所が欲しいということでもあります。もちろん、遊びの要素もあるのですが、環境が落ち着けるものであれば、そこまで穴掘りに執着することはないのです。
現在のように、鎖やワイヤーで繋いで犬を飼うのことは、とても強いストレスになります。
犬からしてみたら「外敵は簡単に侵入できる・でも自分は逃げれない」という状況が分かっていますので、ストレスになります。
今回はどうしても室内飼いが出来ないということでしたので、せめて、直接の繋ぎ飼いは止めて、金属柵で囲ってあげていただきたいのです。
ガーデニング用の木の柵などもありますので、ホームセンターで素材を検討して、安心できる環境を整えてあげると一番良いです。スペースは狭くても良いです。運動や遊びは、飼い主さんの主導の元でメリハリを付けてたっぷりすれば良いのです。
それと、お庭を掘られるのが嫌であれば、木の板(コンパネ板)を敷くと良いです。また、雨の日に犬もドロで汚れなくてすみます。
それでは、これから頑張って続けていきましょう(^_^)