犬のしつけがQ&Aで分かる!

怖がりな保護犬との関係作りと散歩のしつけ

質問内容
初めてメールさせていただきます、どうぞよろしくお願いいたします。

本日、堀川さんの犬のしつけ本をダウンロードし、読ませていただきました。以前、保護団体の方から教えていただいた方法と近いこともあり、なるほど、とおもいました。

我が家の犬の特徴などから、さらなるアドバイスをお願いいたします。

・犬種・・・雑種 中型犬12kg
・年齢・月齢・・・推定4歳(保護犬のため推定の年齢です)
・性別・・・♀
・飼い始めてからの年月日数・・・昨年、7月下旬からですので、約10ヶ月です。
・犬を飼うことになった動機・・・以前から飼いたかったので。
・ご家族全員の年代、性別、一日の愛犬との同居時間・・・
主人(50代)、長女(10代後半)・・土日に散歩にいきます。
次女(10代後半)・・あまり世話をしません。
私(50代)・・メインで世話をしています。

①過去はどういうタイミングで、どういう「スキンシップ・遊び」をされてきましたか?
意味なくナデナデしました。遊びはこれといって出来ていません。

②過去はどういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?
しつけはとくにしていません。ほめるときは良い子だね~、とナデナデしました。いわゆる「叱る」行為はしていません。悪いことはしないので。

③過去はオヤツ、抱っこ、ナデナデ、声かけなどされてきましたか?
かなりしました。

④過去は散歩は何分、どんなやり方でしたか?
朝、1時間強、夕方30分程度
人の少ない時間に行き、怖がったら無理しない、という散歩

⑤過去は一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?
6:00 散歩
8:00 ごはん
19:00 散歩 帰ってから ごはん
11:00 就寝

⑥愛犬のハウス・トイレ周りの構成、環境など(なるべくお写真メール添付でお願いします)
2F寝室の奥に、座布団と、ハウス、水の入った入れ物を置いてあります。ハウスにはいったり、座布団で寝たりしています。トイレは作ってありません。

わが家の犬は保護犬です。推定3歳で家に来ました。保護団体の方から、「おとなしく、初心者の方でも問題なく飼えます」と、お墨付きの犬でした。

たしかにとてもおとなしい犬で、今まで、吠えたことがありませんし、体のどこをさわられても抵抗しません。なにかを噛んだりなどもありません。おすわり、お手、伏せ、は出来ます。長時間の留守番も問題ありません。

散歩中に会う犬とは、どの犬ともだいたい挨拶でき、相性のいい犬とはかなりよく遊びます。公園では、においかぎにせいを出し、時々、夢中になって穴を掘ります。身体能力は高く、高いところから飛び降りたりなど平気です。食事については、とくにがっついて食べるタイプではないです。車酔いがひどく、車に乗せられません。トイレは外です。(トイレトレーニングはしていません)家の中では一回もしたことがありません。

・問題の内容

問題は、怖がりであること、です。それが、すべてに関係してくると思うのですが、

①散歩について

何事もなければ、リードを引っ張ることもなく、ちゃんとついて来てくれます。わがままという理由で好き勝手な方向へ行く、ということはないです。

しかし、人(とくに子供、男性)が苦手で、人影が見えると動かなくなるか、相手によっては、脱兎のごとく反対側に走りだそうとします。無理に引っ張ると余計にパニックになってしまいます。

人の話し声もいやがります。車も苦手で、バスが走るような通りは歩けません。音は、大きくても小さくても、とても敏感で、始終、警戒している様子です。ですので、散歩は、早朝(通学、出勤時間の前)と、日没後に、なるべく人通りのないところを選んでしています。それでも、しっぽを挟んで歩いていることが多いです。

②家での過ごし方について

家にきた当初、リビングの隅にじーっとしていて、一日中、同じところにいました。しばらくすると、二階の寝室の奥に行くようになり、それから、そこが定位置になってしまいました。慣れさせるためリビングにいるようにとドアを閉めても、自分でドアを開けられるようになり、また、階段の下に柵を置いても、必死に隙間を作って二階にいってしまいます。

そこまで寝室がいいなら、まあいいか、そのうちリビングに来てくれるようになるかな、とずっと待っていますが、いまでもリビングにはほとんど来ません。時々、本当に時々ですが、リビングにきて、リビングの隅に座っています。そういうときは、心からうれしく、じーんとなります。

③関係作りについて

関係作りのために、遊びで楽しい時間を共有したいのですが、ボールは興味をもちません。噛むおもちゃもありますが、興味なしです。

怖がり犬でも、主従関係の構築のために、あお向け固めは有効でしょうか?

今でも、どこを触られてもじっとしていますので、たぶん、出来ると思いますが、かえって怖がることにならないでしょうか?

また、寝室には行かせず、リビングに、ハウスとケージを用意し、そこに居させる方がよいでしょうか?

関係が出来てくれば、ボール遊びなども出来るようになるでしょうか?

家にきた時、あまりしつこく関わるようなことはせず、まずはそっとしておきました。しかし、あまりにも犬から近づいてくる気配がないので、犬が抵抗しないことをいいことに、「従属的に見える例と甘やかし」を、やってしまいました(同じ布団はしていません、要求鳴きはもともとありません)。

まず、慣れてもらおう、心を開いてもらおうと思ってやってしまったのですが、それでは本当の信頼関係は築けていないのだと思いました。こういうことでは、犬は慣れてくれない、ということでしょうか?

それどころか、リーダーとして信頼できず、そのため、安心できず、緊張が解けないのでしょうか?

最初、保護団体の方からも、主従関係が大切とアドバイスいただいていました。散歩中、犬が怖がってパニックになりかけたら、手をパンとたたく、とか、足で地面をバン!と蹴ってみる、とか言われて、そのようにもしたのですが、さらに怖がらせてしまったような気がして、これでいいのかと不安になってしまい、いつのまにか、人の少ない時間に行き、怖がったら無理しない、という散歩になってしまいました。

毅然とした態度と、無理に何かをするのは違うと思うのですが、とにかく犬が怖がるので、その辺のさじ加減が、とてもむずかしく感じています。

また、家での過ごし方も、慣れないなら慣れるまで待とうと思い、とりあえずは落ち着く場所にいればいいよ、とそのままにしていますが、いっこうにリビングに来てくれないので、これはどうしたものかと・・・。

私は、犬から付きまとって欲しいくらいなのですが、犬がそう思わないらしく、一日寝室にこもり、見に行っても上目遣いにちらっとこちらを見る感じで、絆が感じられず、毎日喜んで過ごしているように思えません。なんとか、もっと幸せにしてあげたいです。YOU TUBEなどで、多少やんちゃでも、活き活きした楽しい活発な犬たちの動画をみると、なんともうらやましくなります。

「犬の怖がりはなおらない」と言われることもあり、がっかりするときもありますが、そんなことはないと信じています。しかし、どこから改善したらいいのか、どうするのがベストなのかと悩んでいます。

とにかく根気よく、のんびりやっていこうと思っていますので、アドバイスをどうぞよろしくお願いいたします。


返答内容
ミックスちゃんは、とっても素性の良い子で良かったですね(^-^)

良い出会いに感謝して、頑張って関係作りをしていきましょう。

今回はやはり、環境作りと主従関係作りはもう少し踏み込んで取り組んだ方が良いです。怖がりなのは、環境も主従関係も関わっています。

これは、「単純に主従関係ができたから怖がりが治る」という意味ではなく、主従関係がある人がそばに居て安心して練習出来るという面と、主従関係がある人から教えられることで犬の理解力が深まるという面があるからです。

人間の子供でも、怖がりな子もいれば大胆すぎる子もいます。しかし、しつけを通して少しずつ変わっていけますね。犬も同じです。何もしなければ益々悪くなっていくだけです。

かといって、無理強いはいけません。特に保護犬ですので、最初の「自然に任せて慣れさせる」というスタンスは正解でした。今まではそれで良かったです。

でも今のままでは、犬の中で安心の要素が少し足りませんので、この良い機会に取り組んでみましょう。激変しないで、少しずつ変えていくことです。


まず環境です。

>リビングにハウスとケージを用意し、そこに居させる方がよいでしょうか?・・

↑はい、こうしてください。放し飼いは、犬の神経を過敏にさせます。ケージの囲いがあって、暗くて狭い巣穴感覚のクレートハウスがある、本書の4点セットがおすすめです。

結局は放し飼いをしても、最後は犬は自分の気に入った場所でジッとするものですので、運動のためとか、そういう意味合いは必要ありません。防衛本能やテリトリー意識からくる神経過敏になるだけです。

運動・遊び・散歩・団らんは、飼い主さんが主導してメリハリを持って時間を作ってやれば良いだけです。

ただし、注意点は激変しないことです。長い間の習慣もありますので、「いきなり場所を変えて閉じ込めっぱなし」はストレスになります。

例えば、今日は5分間×3回、明日は回数を5回、明後日は時間を10分間・・・というふうに、少しずつ増やして適応させていきましょう。


次に関係作りです。

>おすわり、お手、伏せ、は出来ます・・

↑これが出来る子なので、理解力はちゃんとありますし、素直で良い子です。こういうことだけでも、犬にとっては立派な遊びでありスキンシップになりますので、指示音ジェスチャーでしっかり褒めてあげてください。

何か犬に指示を出して行動させて褒める・・というセットは、主従関係を作るための挨拶として良いです。それを遊びにしても良いです。

今後はゴロンで仰向けも教えてください。フセが出来るのであれば仰向けも出来きます。最初は無理強いしないで、遊び半分で一瞬ひっくり返して指示音ジェスチャーで褒めてすぐ解放・・という程度から少しずつ慣れさせてください。最初から完成や形のキレイさを求めないことです。遊び半分で楽しくやってみることです。

犬への褒め方は、大げさや猫なで声でナデナデにしないでください。犬の興奮をあおるだけだったり、従属的に映ってしまうからです。

褒める時もリーダーらしく、静かに堂々とポンポンポンで褒めてください。必ず指示音ジェスチャーを関連付けることと、犬の名前も混ぜてください。(叱る時は絶対に犬の名前は言わない)

それから、団らんや遊びの時に犬にリードを付けて持っておく癖にしてください。あるいは、ご自分の腰にリードを1周縛って、そこに犬を付けておくことです。

常に犬の行動全体を自然に主導することになります。指示音と共に軽くリードを引いて呼び戻しの練習もできます。

遊びですが、コングにしてみてください。普通のボールよりも跳ねたり不規則な動きをして、捕食動物には魅力的です。

ただし、これも主従関係がないと無関心だったり、遊び方を教えてあげないと何も分からない犬がいます。

例えば、ヒモ付にしてチョコチョコ動かしたり跳ねさせて動きを与えてあげたり、飼い主さんが楽しそうに遊ぶところを犬に見せて参加したくなるような雰囲気を作ってあげます。

また、型と指示音ジェスチャーで教えることもした方が良いです。

例えば、スワレ・マテをさせてから、犬の口の中にわざとコングを入れてそこで「キャッチ」などの音で褒めてあげます。犬は出したがるので、すぐに手で取り出して、もう片方の手の平に乗せて見せて、「ダセ」の音で褒めてあげます。そしてまた犬の口の中に入れてキャッチ・・・

ひたすらこれを繰り返すことで、犬も意味を理解していきます。

理解してくると、コングを転がしてキャッチの指示で、追いかけるようになっていきます。

犬がコングをくわえたら、コイの指示音ジェスチャーで軽くリードを引いて誘導して、来たらまた指示音ジェスチャーで褒めてください。


あとは、リーダーウォークもお部屋でやってください。外では興奮がジャマしますので、まずは家の中でしっかり練習することです。


最後に散歩ですが、今やっていただいているように続けていただければ大丈夫です。まずはお話してきた関係作り優先にしていただいて、その上で、外で過ごす時間の中で慣れを待っていきましょう。

無理に距離は歩く必要はありませんので、安全でキレイな場所を見つけて、そこでノンビリ観察させれば良いです。

男性や子供の姿が見えたら、犬にスワレをさせてそこにおんぶするような体勢で乗っかり(犬がバック出来ないようにするため)、首輪をガッチリつかんで体勢を固定してください。マテの指示音ジェスチャーを見せながら、ポンポンして褒めて落ち着けてあげてください。

無理に対面させたりしないで、遠目からそれをやって慣れさせていくこと、教えていくことです。

冒頭にお話したように、この教えも主従関係の影響が出ますので、関係作りと並行して進めていくことです。

>手をパンとたたく、とか足で地面をバン!と蹴ってみる・・

↑これは止めてください。例えば、ワガママで拾い食いや臭いかぎなどをする場合は良いのですが、今回は事情がまったく違いますので、防衛本能やストレスをあおるだけになってしまいます。

犬はもともと、小さい子供が苦手です。キャピキャピ・チョロチョロして落ち着きなく、何をするか分からないので、犬には怖い存在なのです。

男性に対しては、過去に嫌な行為を受けたトラウマか、接する機会が乏しかったからです。

メールを拝見する限りでは、特別素性が臆病な子なのではありません。嫌な経験を受けたか、慣れる機会が乏しかったのです。

本当に素性に問題があって臆病な犬は、外でまったく動けませんし、他の犬に近づくことすらできません。今まで慣れる環境や教えが無かっただけです。

もちろん、幼少期の社会化は大きく影響しますが、哺乳類は生涯環境の変化に適応していく能力を持っていますので、落胆などされないで、出来ること・やるべき事をコツコツ続けて、練習してあげれば良いのです・・・


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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