犬が排泄の指示に従わなくなった場合のしつけ
今回はじめてお便りさせていただきます。目下の悩みは、飼い犬が私の排泄の指示に従わなくなったことです。
1歳2か月になるオスのフレンチブルドッグを我が家に迎え入れたのは、約9か月前。
フレンチブルドッグとの生活は、わたしの十数年来の願いでしたが、犬OKのマンションに引っ越したことを機に夢を実現させた次第です。
我が家は40代の私と30代の主人の2人暮らし、私が専業主婦なこともあって、犬を迎え入れた当初は躾の大部分を私が担ってきました。
迎え入れてからしばらくの間は、排泄の失敗、食糞、吠え癖、噛み癖など、あらゆる問題に悩まされ、堀川さまの犬のしつけサイト(無料の範囲)を何度も何度も読み返したものです。
お利口になってきたかなと感じる時期と、これが反抗期なのかなと思う時期を行き来しつつも、1歳になる頃には及第点をあげられるくらいまでには成長してくれました。ありがとうございました。
主人は仕事が多忙なこともあって、この期間までの夫婦二人の役割分担は、大雑把に言うと、私が犬の躾や衛生・食事係、主人が犬と遊ぶ係という感じでした。
ただ、私の体調不良に伴って、2、3か月前からは、私がいなくても全てのお世話ができるよう、主人は遊ぶ係以外の面でも積極的に頑張ってくれています。
しかし、この頃から私がおこなう排泄の指示に飼い犬が従わなくなったのです。
朝一番の、ケージから出した直後の排泄の指示には従っても、それ以降の指示には従わず、主人が帰ってくるまで我慢しているのです。
指示に従わない時の飼い犬はと言いますと、私の体にお尻をくっつけるようにお座りし、まるで「オシッコもウンチも出ないよ」と訴えるような仕草をします。
根気強くトイレトレーの前で待つものの聞く耳持たずで、主人が帰ってくるなり、待ってましたとばかりに大量のオシッコと我慢しすぎて硬くなったウンチをします。
朝の排泄以降一度も排泄せずに、15時間近く粘ったこともあります。
このことをのぞけば、リーダーウォークもまずまずできていますし、癇癪を起こした時なども、主人の足は噛みますが、私を噛むということはほぼありません。
ただ、一日中同じ空間にいても、以前ほど触れ合いの時間がないことは反省点です。
とはいえ、これまでの触れ合いは家事の合間の休憩に膝に乗せてヌクヌクさせるといったものだったので、堀川さまからしたらこれは間違った触れ合い方ですよね。
根気だけでは打開できそうもなく、またどう接するべきかもわからなくなってます。
犬が私の指示にだけ従わなくなった理由はどこにあるのでしょうか。ご教示いただけたら幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
頑張っておられますね(^_^)
症状からして、今回はまったくご心配はいりませんが、少し修正していただきたい点がありますので、それを最後にお話しいたします。
その前に、「なぜ心配ないのか」という理由です。
まず、↓これは成犬になれば普通にできます。
>朝の排泄以降一度も排泄せずに、15時間近く粘ったこともあります・・
↑犬は成犬になると、これくらいはコントロールできますので大丈夫です。
例えば悪い例として、強い体罰などで強制的に教え込んで習慣づけるような場合は、膀胱炎などが問題になりますが、今回は犬が自分でコントロールしていますので問題ありません。(トイレがケージ内にあっていつでも排泄できる条件という前提です)
今回は、ご主人が犬の面倒を全部見れるようになり、それに伴って、しつけや関係作りの時間も増えたはずです。
そして、奥様とは遊んだり主従関係を深めるための時間が減ったわけですので、犬としては奥様よりもご主人の言うことを聞きたくなるし、褒められたい感覚になるのも、ごく自然な反応です。
また、日中は居ない嬉しい相手が帰ってくれば、より興奮しますので、その興奮刺激で利尿脱糞作用も高まります。
良い関係が出来た人から褒められたいので、ご主人のいる時にオシッコ・ウンチして反応を見たいという感覚も、犬にあります。
それと、世話をしてもらっている相手なので、条件反射で排泄する要素もあります。
ということで今回の現象は、生活習慣・環境と関係作りが変わった結果であり、それはネガティブではなくポジティブな意味での変化ということになります。
例えば、もし悪い変化の例としては
・言うことを全て聞かない
・排泄の指示に従わないだけでなく、あちこちに粗相する
・奥様に向かって、唸ったり・噛んだり・吠えたりしてくる
ということが全て当てはまるようですと、かなり問題です。
ですが、今回はそうではないはずですので、問題はありません。ご心配はいりません。
ただ、奥様の中で、自分の言うことを100%聞いてくれなくなったという寂しさと、ご主人に対する犬の反応との違いに不満や嫉妬も少しあるかもしれません。
そして人間は、体調が悪い時に、よりネガティブに思考するものです。
体調が良くないこと自体への心配や辛さもありますし、動かなくなるので、ホルモンバランスや自律神経のバランスが崩れ、脳への血行不良も起こるからです。
人間は、今その瞬間の感情に影響されやすいです。
どんなに素晴らしい過去があっても、今この瞬間が上手くいっていないと、過去のことも将来のことも全て悲観的にとらえてしまうものです。
また反対に、過去が失敗の連続だったとしても、今この瞬間が上手くいっていると、過去の失敗も良かったと思えるし、未来も明るいと思えるものです。
現状の問題は、必ず何か要因があるわけですので、それを冷静に受け止めて、ご自分がやるべきこと・できることをコツコツやっていけば、それで良いのです。
さて、それでは今後修正していただきたいことをお話しいたしますが、かといって現状が悪いわけではありませんので、無理に絶対にアレコレしようなどと思われなくても良いですし、現状も未来もご心配はいりません。
体調不良もあるわけですので、何も出来ない時は、何もしなくて良いのです。
ですが、体調的にできる時、あるいはちょっとだるくてもやってみることで体調が良くなることがあります。
一番良いのは、犬とのお散歩と室内での主導型コング遊びです。
まず、今回どのような体調不良だったかは存じ上げませんが、すべての成人病に有効なのは、歩くことです。
更に良いのは、軽い筋トレの後に歩くことです。
筋トレのような無酸素運動は、成長ホルモンを増やします。
成長ホルモンの量=代謝量です。
代謝が増えるということは、血糖や脂肪の消費も多くなりますし、細胞の入れ替えが活発になります。
血管の細胞・脳細胞・神経細胞・免疫細胞です。
そして、歩くことで血行が良くなり、これも代謝を助けてくれます。老廃物の洗浄が進み、キレイで元気な細胞やホルモンが体中に行き渡ります。
つまり、脳卒中・心筋梗塞・精神病・自律神経失調症・ガンなどに影響が出ます。
もちろん食事も重要です。
タンパク質1:炭水化物1:野菜1という、1:1:1の比率を守りましょう。イモ類・ニンジン・玉ねぎ・カボチャなどの糖質が多い野菜は炭水化物の方にカウントします。
ということで、
少し体調や気分が悪い→運動しない・食べ物の好き嫌いが増える→さらに体調が悪くなる
という悪循環もありますので、それを断ち切るために少し思い切って運動してみるのも良いです。
筋トレも色々ありますが、
https://www.youtube.com/watch?v=RSHs1N-aUYg
↑最初はこんな軽いレベルから始めましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=9H0tcQm2NtA
↑できればこちら。
(私のダイエット教材の一部の動画です)
さて、余談が長くなってしまいましたが、犬とお散歩していただきたいのです。
雨も多く暑い時期ですが、夕方遅めや夜でも早朝でも良いです。行ける時に行ってみましょう。ゆっくりペースで良いので、30分から1時間連続で歩くことです。
それと、室内で主導型コング遊びをしましょう。
コングにヒモを付けても良いですし、ヒモ無しで犬にリードを付けてそれを飼い主さんが持っておくのも良いです。
また、団らんする時も、犬にリードを付けてそれを持っておく癖にされると良いです。
大事なことは、犬を主導することです。
リーダーとして遊びを仕切って、なおかつ犬を楽しませること、発散させることも重要です。
転がす前にスワレ・マテを教えて褒める。
転がして犬がキャッチしたら呼び戻しの練習で褒める。
手の平に出させて褒める。
というふうに、必ず主導の要素と毅然さを示してください。
そして時には、好きにコングを噛ませる時間も作ってあげてください。(ケージに入れっぱなしはNG)
さて、まずはそんなところからスタートです。
そして、大前提は飼い主さんの意識です。表面的な手法だけ上塗りしても、犬は相手の弱さを見抜きます。一貫性も出ません。
本書とQ&Aサイトを熟読していただいて、知識と意識を深めていきましょう。
それでは、これから頑張って続けていきましょう(^_^)
堀川春広さま、おはようございます。昨日、初メールした○○です。
さっそくのお返事、本当にありがとうございます。
心配ないとのお言葉に勇気をもらった気分です。
これまでの頑張りが報われていないことへの不満や、この先排泄の指示以外もきかなくなるかもしれないという不安、主人の指示にのみ従う時に沸き起こる彼らへの嫉妬心(笑)やらで、心が押しつぶされそうになっていたと、改めて気づきました。
昨日、堀川さまに悩み事を吐き出し、更に心配ないとのお言葉をもらったことで、吹っ切れたからでしょうか。その後、飼い犬はわたしの前であっさりとオシッコとウンチをしてくれました。やはり、犬は飼い主の精神状態を敏感にキャッチしているんですね。
我が家は「家でオシッコとウンチをしたらお散歩」というルールなので、その後近所を40分ほど歩きました。
犬の健康のみならず、わたし自身がネガティブな思考に陥らないためにも、今後も散歩は継続して行っていきますね。
ただ、悩ましいのは、先述した「家で排泄しないとお散歩なし」ルールです。散歩中の犬の排泄に関しては、わたしの住む地域でも時々話題にのぼる耳の痛い問題ですので、飼い犬にも家の中での排泄を実践しております。
でも、飼い犬はどうしても外で排泄がしたいらしく、散歩デビュー当時などは、家で排泄を済ませた直後に外に出ても、僅か10分ほどで4、5回ウンチをしたものです。
最近こそ回数は減りましたが、それでも必ず1、2回はするのが現状。
我が家は散歩時間を定時にしていないので、彼の思惑どおりにいかず、「いま家で排泄したら外で出すものがなくなる」と感じた時などは、散歩に行きたいアピールをしつつも、頑として家での排泄を拒否することがあります。
主人もお休みでかつ天気も良いから、午後から遠出しよう!なんて考えている日でも、犬がウンチを拒否るせいで、半日家の中で夫婦でウンチのコマンドだけして終わってしまう...なんて不毛な休日が、これまでにも何度かありました。
このような状況を堀川さまはどうみますか?
躾をあらためれば、すべての排泄を家で済ますことは可能になるでしょうか?
それとも、そこまで頑なに先述のルールに則らなくてもいいでしょうか?
あ、そもそも1日4、5回のウンチは多いでしょうか?
また、質問メールになってしまいました(・□・;)
始めの頃「ウンチをしたら散歩終了」を実践しましたが、それだといつまで経っても数分散歩のままなので、これは早々に諦めました。また、外の排泄時もコマンドは行っています。ちなみに、おしっこは「ワンツー」、うんちは「チッチ」です。
排泄にまつわる問題は犬が我が家に来た時から様々あったので、わたし自身が最もナーバスになっているところではあります。
だから、主人の排泄指示のみをきくというここ最近の行為は、わたしに対してのささやかな反抗なのかしらとも思ったりして...
また長々と申し訳ありません。
お手すきの折に、アドバイスいただけたら幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
ご返信ありがとうございました。
>そもそも1日4、5回のウンチは多いでしょうか?・・
↑子犬ですと普通です。
ここから成犬になるにつれて、排泄のコントロールもできるようになり、一日1回から2回くらいに落ち着きます。
ですが、これはゴハンの回数や興奮刺激によって変わります。
また、その犬によって、あちこちに排泄することを楽しんだり、マーキング(縄張りや自己主張)したいために小分けにする子もいます。
>外に出ても、僅か10分ほどで4、5回ウンチをした・・
↑このことからしても、その子は興奮刺激にかなり左右されていると思います。
先日お話しした、「ご主人が帰ってきたとたんに排泄するのは興奮刺激が強いから・・という要素もあります・・」と同じことです。
これから成長していく中で、消化器官が強くなっていきコントロールも上手くなっていきますが、それと同時に、精神的にも落ち着いていきますので、経験を積ませながら教えていくことで、ウンチの回数・タイミングもコントロールしやすくなります。
つまりこれらのことは、『指示で排泄させることができる』というヒントにもなります。
起床後・食後の消化器官への刺激はもちろん、ケージから出した直後やリーダーウォーク、コング遊びの興奮刺激でも利尿脱糞作用が高まります。
家で排泄させたい時は、それらの刺激を与えて促してください。
ただただ指示だけで結果を得ようとされないことです。
そして大前提が二つあります。
『言うことを聞きたくなる関係』 『褒められて嬉しくなる関係』
を構築することと
『排泄の行為・指示音・ジェスチャー・褒められることを関連付ける』ということです。
今の時点では、一番強い反抗期は過ぎましたが、まだまだ成犬にはなっていませんし、関係作りも、犬の経験も足りないのです。
しかしそれは決して飼い主さんが悪いのではなく、まだまだ時間が必要だということです。
やるべきことを淡々とコツコツ続けながら、子犬の成長と経験の積み上げも待ってあげないといけません。
>すべての排泄を家で済ますことは可能になるでしょうか?・・
↑これも可能ですが、ガチガチに固定してしまうのもデメリットがあります。
理想は、家(ケージ内のトイレ)でも、外やお散歩でも両方で出来るようにしておくことです。
まず、やはりいつでも排泄できる環境は重要です。
ケージ内にトイレがあって、いつでもできる環境です。犬だって体調は一定ではありませんし、思わぬ興奮刺激が入ったりします。
留守番をしなければいけない時も必ず来ます。
その時に排泄できないと、とてつもないストレスになりますし、ガマンが慢性化すれば膀胱炎等々病気になります。
他には、『お散歩=トイレ』の習慣になってしまうと、どんなに悪天候だったり飼い主さんが体調不良になっても、外に行かないといけなくなってしまいます。それも大変困ります。
しかし一方で、室内のトイレのみでしかさせない習慣になると、今度は外で排泄できなくなります。
例えば、動物病院やペットホテルでは外で排泄させる所もありますので、その時に出来ないとこれも問題になります。
動物病院やペットホテルに預けないといけなくなる日は、将来に必ず来ます。
少し時間がかかる検査や治療の場合は、長時間預けないといけませんし、手術になればお泊りも必要になります。
ということで、両方で排泄できるようにしておくと良いです。
お散歩で排泄させること自体が悪いわけではないのです。
各自治体の条例でも、排泄そのものを禁止しているのではなく、汚物をそのまま放置するからいけないのです。
「ウンチは必ず持ち帰り、オシッコした場所は水をかけて流しましょう」というお願いを本書でもしていますね。
それをすれば良いのです。
ウンチ回収グッズも用品解説サイトでご紹介しましたね。ペットボトルに水を入れて持って行けば、オシッコを流せますよね。
でも、出来るだけ家で済ませていけばなお良いわけですから、できることをやって、その上で外でしてしまった場合でも処理できる準備をしていけば、それで良いのです。
それでは今日は以上です。
またQ&Aを熟読いただきながら頑張って続けていきましょう(^_^)