犬のしつけがQ&Aで分かる!

興奮する・飛びつく大型犬のしつけ

質問内容・問題の内容:鳥に反応する(追い掛ける)、子供や犬へ集中し指示が聞けない・近いと飛びつこうとする。歩きながらあちこち目はキョロキョロと落ち着き無く、何か見つけると集中し、フードにも興味を示さないほど何も聞こえなくなる(ふり?)。同居犬・猫を追い掛け、飛びつこうとする。

超大型犬11ヶ月、性別メス、飼い始めてからの年月日数は9ヶ月。

犬を飼うことになった動機:昨年飼っていた大型犬を亡くし、穏やかな飼いやすい子だったため同じ犬種をブリーダーより迎えた。

・家族全員の年代:夫婦ともに40代、子供なし、同居犬(小型犬・メス・3歳)、同居猫(室内飼育3匹)。

一日の愛犬との同居時間:夫は平日は出勤前30分程度と夜帰宅後~、土日は外出(2~3時間)以外。妻(主婦)は週に外出3~4時間以外。
 
①過去はどういうタイミングで、どういう「スキンシップ」をされてきましたか?

シットやダウン・カムなどの指示が出来た時に褒めて撫でる。散歩時ヒールが出来ている時に褒めて撫でる。マウズィング・タッチング、ブラッシング、爪切り・シャンプー等の手入れ。幼犬時遊びながら撫でる。など。

②過去はどういうタイミングで、どういう「遊び」をされてきましたか?

幼犬時、公園でロングリードでおもちゃを投げて持ってくる遊び、室内でおもちゃで引っ張りっこ、座らせておもちゃ(笛入り)を投げてキャッチさせる、同居犬と室内で追いかけっこ、おもちゃの引っ張り合い、など(同居犬もフリー時は自分から遊びに誘うなど、お互い嫌いではない様子。最近はすぐ追いかけっこを始めるため遊ばせていない)。

生後7ヶ月より1ヶ月間に数回ドッグランで他犬と交流・追いかけっこ。

生後10ヶ月時に股関節形成不全(重度・右後脚が亜脱臼の状態)と判明してからは、走らせる事や引っ張りっこは避け、座らせておもちゃのキャッチ、ハウス時に(ハウス内で)噛むおもちゃや木の齧るおもちゃ、ヒヅメ、を与えるなど。

③過去はどういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?

犬のしつけは、迎えてすぐからマウズィング・タッチングをし、特に抵抗なく続けてきた。甘噛みは少なかったが、歯が当たったらイタイ!と言ったり、手をわざと口に突っ込んだ。

4ヶ月頃よりリードでヒールで歩く練習、自分からあちこち動くことはなく、音や刺激にビクビクするため、フードを使って褒めながら歩いた。室内フリー時、特に破壊等のいたずらはなく、タオル等勝手に持ってきたときはアウトで出させた。

8ヶ月くらいから、1回の散歩時に1度、突然飛び跳ね暴れる、鳥を追おうと引っ張り立ち上がるなどするようになり、その時はチョークチェーンでチェックあるいは反対方向へリーダーウォークするなどした。

褒め方は、シット・ダウン・ウェイト・カム等指示がきけた時、おやつと言葉で褒める、撫でるなど。

言葉で叱ることは、反射的にダメと口をついて出ることはあったが、特に意識しては無かった。

股関節形成不全発覚後、同居犬とはしゃがせないようにするため、それぞれが自分のベッドで静かにいられるよう、それぞれにリードをつけて練習している(ベッド、ダウン、ステイで)。勝手にベッドから動いたらリードチェックでベッドに戻し、10~30分過ごさせる。
 
④過去はオヤツ、抱っこ、ナデナデ、声かけなどされてきましたか?

犬のしつけ教室で教わり、おやつを使ったしつけをしてきた。すぐ大きくなったので抱っこはしないが、特に意味もなく何気なく撫でたり名前を呼んだり見たり話しかける等、あった(特に夫)。

⑤過去は散歩は何分、どんなやり方でしたか?

股関節が悪いと分かってからは短時間・土の上・回数多く、が良いと聞き、10~15分程度、公園内でリーダーウォークやウェイト・カムなど練習してから10~15分かけてゆっくり歩いて帰る、を一日に2~3回。

歩きは、チョークチェーンでおやつを使いながらヒールをさせ、鳥や犬・人等に注意が向いたら方向転換やシットでやり過ごすなどしてきた。

9ヶ月頃より、チョークチェーンでも引き戻せない程力が強くなり、また、亜脱臼の悪化を防ぐため強いチェックもできず、しつけ教室で相談したところ、ジェントルリーダーを勧められ、現在も使用。

教わった使用方法であまりに嫌がるので、説明DVDを購入し確認したところ正しい使用方法を知り、それから抵抗がほぼなくなり、人や犬とすれ違う程度はジェントルリーダーでのコントロールやシットで問題なく出来るようになったが、鳥など強く興味を引かれることがあると、目は対象から動かせず、体もすぐにそちらへ向いてしまう。

また、知り合い等に会った時はシットで待たせるのだが、相手の人・犬が自分に興味を持っているとわかると近づいた時に飛びつく。

この場合ジェントルリーダーでもコントロール出来ない。少し離れ、無視していると大人しくシットやフセでいられる。

⑥過去は一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?
6時ハウスから出しトイレ、ハウスへ戻す。
8時人の食事後トイレ、ハウスでゴハン(前足に負担がかかるのが良くないとブリーダーから言われていたので、器は手で持って立たせた状態で食べさせている)、トイレ。
10時~10時半散歩(前後にトイレへ)。
12時~12時半散歩(前後にトイレへ)。
13時半ゴハン、トイレ。
15~16時(または20時~21時)1日おきにブラッシング・体を拭く(横向きに寝かせた状態で片面ずつ)。
18時~18時半散歩(前後にトイレへ)。
19時半ゴハン、トイレ。
23時トイレ。
 
基本的にハウスで過ごさせている。トイレの回数が多いのは、おもらし・食糞があるため。(来た当初からハウス内でのおもらし(大・小ともに)があり、9ヶ月頃より夜間は漏らさなくなってきたが、日中は3時間ギリギリ漏らさずにいられるかどうか、という状態。

トイレへ連れて行けば、あるいはフリーでいれば、自らトイレで出来、トイレ以外での粗相はない。幼少期より食糞(ハウス内でしたものを食べる)があり、トイレでしたものも食べたそうな様子あくり。おもらしや食糞を叱ったことは1度もなく、なるべくさりげなく片付けている。

来た当初、お腹をずっと壊しており(検査等したが特に問題なく、獣医師は大型犬の子犬ではよくあることとのことで、ビオフェルミンをずっと使用)、9ヶ月頃よりやっと良い状態になった(ビオフェルミンは継続使用)。

現在も、留守番中や食後のちょっとした隙にハウス内にて食糞、ということが多々有り。

オシッコのおもらしは、しつけ教室で、体にぴったり(ギリギリ入るサイズ)のハウストレーニングで、と教わったが改善出来ず、股関節発覚後はあまりに狭いハウスが良くないと感じ現在の広めのものに変更。
 
・愛犬のハウス周りの構成、環境など
リビングのテレビの横(小型犬のハウスと対角の位置)にしていたが、最近隣室のダイニングの隅へ移動(リビングとダイニングは続いている)。トイレはリビングの隅。


教えていただきたいのは、

・仰向け固めがきちんと伝わっているのか?・・普段行う仰向け固めは強い抵抗を示さず、すぐにリラックスした様子を見せる。このまま仰向け固めを日に数回続けていれば効果があるのか、あるいはもっと効果的な仰向け固めの仕方があるのか?猫や同居犬に飛びかかろうとした時などは無理やり仰向けにするが、その際はバタつくので、仰向けの上に跨り顎を手で固めている。間違っていないか?

・外でのリーダーウォークは、幼少時はビクビクと慎重に人のそばについていた。現在は、興味を引く対象がない場合はゆっくり横について歩くが、一旦気になる対象を発見すると(キョロキョロと探しながら歩いているようにも見える)目が離せず、シットの指示で座るが目は対象から外せない。

接近した場合は向かって行き、リードを固定しようにも立ち上がる形になる。このような状態の現在、散歩(外でのリーダーウォーク)は、主従関係がしっかり出来るまで気になる対象がなるべく無い所でしたほうが良いのか、あるいは、慣れるよう、積極的に刺激があるところで行ったほうが良いのか?

・いざという時の力がとても抑えられず、ジェントルリーダーで何とか抑えられるので、主従関係が出来、引っ張りや飛びつきがなくなるまで怖くて手放せないが、使用を続けながらでも良いか?その際の注意点はあるか?

・股関節の悪化を避けるため、紹介されているようなボール遊びが出来ず、代わりにどんな遊びが良いか?出来るか?(現在はスキンシップも含めてブラッシングなどの手入れ、ハウス内にコングやヒヅメなど咬むおもちゃを入れる、などを代わりとしている。)

・テレビ画面をよく見ているが、このようなキョロキョロと目を使う子には見せるとさらに刺激するか?見せないようにした方が良いか?
 
股関節が悪いとは思えないほど、力が出ます。まだこちらのしつけ方法に切り替えてから日が浅く、先は長いと覚悟もしておりますが、いつ効果が・・とどうしても不安がよぎります。

落ち着いて、どなたにも安心して会わせられるよう、どこへでも連れて行けるように育てたいです。どうぞよろしくお願い致します。

 

返答内容

今回のビッグドッグちゃんは、ご心配ないです。経験がおありなので、主従関係作りもちゃんとされてきましたし、素性の良い子なので、かえって無理強いしたりアレコレやり過ぎて悪循環にならないように気を付けましょう。

前回のビッグドッグちゃんが、特別に穏やかな犬だったのです。今回のビッグドッグちゃんが悪いわけではなく、この月齢の犬の、普通の行動・反応をしているだけにすぎません。

前回のビッグドッグちゃんとは、絶対に比較しないことです。良い思い出は残して、でも楽だった感覚はもう忘れてください。

今は知能が高くなってきた時期ですので、権勢本能や狩猟本能など、成犬としての感覚が鋭くなってきます。しかし、まだ経験が浅いために興奮癖だけが目立ってしまいます。

経験を積ませながら主従関係を強化しながら教えていく中で、ちゃんと学んでいけます。結果を急がないで、やるべくことを淡々とやっていきましょう。

では、項目別に見ていきます。


まず、オヤツは止めましょう。栄養のバランスも崩れていますし、好き嫌いを覚えてドライフードを食べなくなる犬も多いです。

そして、オヤツで釣ってしまうと犬との本当の関係が見えなくなってしまうので、それが一番怖いことなのです。

今回は股関節形成不全ということですので、特に、太り過ぎと栄養バランスに気を付けて、良質なタンパク質とカルシウムをしっかり摂らせないといけませんから、オヤツは止めましょう。

もともと極寒の地域で作出された犬種ですので、日本の気候は暑すぎます。「少し痩せているね」というくらいがちょうど良いです。関節にも体温調節にも、〇〇犬種が日本で過ごすなら、少し痩せ気味の方が良いです。

そして、運動させないのも筋肉が落ちて関節に悪いです。

私の主導型コング遊びは、走らせるのが目的ではありません。畳一畳でも二畳でも、狭いところでやったほうがかえって主導しやすくて良いです。

カーペットなどの滑らない物を敷いた上で、狭い場所で主導型コング遊びはしましょう。

股関節形成不全に良くないのは、負荷が大きくなることです。滑りやすい場所・全力疾走からの停止やカーブ、太り過ぎ・・です。

2メートル四方の中で、コロコロ転がしてチョコチョコ追いかけてカミカミする分には、何の問題もありません。捕食動物の本能の発散もしてあげないといけません。

意味なく声掛けナデナデでは、主従関係が崩れるだけですので、時間がある時はその遊びをしていただきたいですし、ちょっとした接触でもスワレやオテなど、必ず何か指示を出して褒める・・指示で出来なければ型を作ってあげて教えて褒める・・という主導と毅然さを、いつでもどこでも一貫してください。

>仰向け固めがきちんと伝わっているのか?・・

↑良いですよ。その調子で続けてください。現在関係が崩れているわけではないですし、素性も良い子なので無理はしないでください。形にこだわらず、「主導性と毅然さ」を一貫して意識してください。必ず態度やしぐさになって表れ、犬に伝わっていきます。


では、本題の動くものへの飛びつきのしつけです。

>テレビ画面をよく見ているが・・
>股関節が悪いとは思えないほど、力が出ます・・
>一旦気になる対象を発見すると・・
>猫や同居犬に飛びかかろうとした時など・・

犬が動くものに反応すること自体は、ごく自然ことです。狩猟本能・防衛本能があるから犬族は生き残って来れました。

まずは上手く発散させること、飛びつきはいけないことを一貫して教えることです。主従関係作りは大前提です。

発散は主導型コング遊びをお話いたしました。

制御と教えですが、ジェントルリーダーは今回使ってください。本当は道具の効果に頼ってはいけませんが、股関節形成不全であれば、リーダーウォークで強い切り返しはできません。

ただし、切り返しだけがリーダーウォークではありません。リーダーウォークの真の目的は、主導性と毅然さを犬に示すことです。仰向けもそうですが、そのための手段の一つでしかありません。

ですので、心はリーダーウォークでいてください。二・三歩進む→ちょっと止まる→また進む→ジッと止まったまま・・・これだって立派なリーダーウォークです。

まずは興奮の要素が少ない家の中で、たくさん練習してください。

主導型コング遊びもそうですが、家での団らん時や犬や猫との遊びの時も、しばらくはジェントルリーダー+リードを付けて、「それを持って」過ごしてください。

飛びつき癖が治るまでで良いです。

外で刺激の強いモノを見せるのは、しばらくは無理しないでください。まずは家の中です。

テレビ画面を見せるのは良いです。犬が興奮してテレビ画面に急接近したり吠えたり唸った瞬間は、「シ!」やスワレの指示でリード(ジェントルリーダー)を引いて注意と、良い型を作って褒める癖を付けてください。

むしろ、ユーチューブなどの動画を見せて、積極的に練習してください。練習しやすい一番簡単なレベルだからです。

テレビやパソコン動画を冷静に見れるようになったら、今度は家族の犬と猫で練習です。

犬がイライラしてきたなーと思ったら、コング遊びで発散です。ですので、先にコング遊びで発散した後に練習するのが良いでしょう。

心地良い疲れと発散した後なら、興奮して追いかけることも少なくなります。その状況を作って練習すれば成功して褒められる機会が増えますので、それも心理的に良い事です。

さらに、その後に散歩に出ればなお良い・・ということです。

散歩時も家でもそうですが、大型犬のリードは手で持たないで、ご自分の腰に一周縛ってから犬に付けると良いです。楽ですし安全です。


では今日は以上ですが、まだ月齢が幼いので、あせったり期待しないことです。本書・Q&A・このメールでお話した事を続ければ、結果は比例しますので、優しいレベルから続けてください。

余談ですが、犬は大きいほど癌が多いです。大型犬は細胞の増殖スピードが早いからです。7歳くらいになったら、キノコ系のサプリメントがおすすめです。市販品は良くないので、動物病院でのみ手に入る「サプレットプロ」がおすすめです。

それと老犬用フードに変えることもしてほしいですし、毎日1時間の散歩が免疫力を高めてくれます。そのためにも太らせないで、社交性と関係作りを保ってください。

ちなみに、過去に私の犬も癌になったことがありましたが、フード・サプリメント・有酸素運動で治しました。最悪の黒色メラノーマでしたが、治せました・・・

 

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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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