犬のしつけがQ&Aで分かる!

サークルに入れようとすると逃げる子犬のしつけ

質問内容
・問題の内容:犬がケージ(サークル)に入るのを嫌がります。

犬が夜寝るとき、私が犬を見ていられない時にサークルに入れているのですが、サークルに入れようとすると、逃げるようになりました。日中留守番をさせていることもあり、どうしてもサークルに入れなければならないため、無理やり入れるようになってしまっています。どのように訓練したら、犬の方から入ってくれるようになるのか、アドバイスをいただけませんか?

・愛犬の犬種、年齢・月齢、性別、(飼い始めてからの年月日数や犬を飼うことになった動機なども)
パグ、3か月、メス、飼い始めて1週間半です。

飼い主のことを一途に考え生活するのが犬であることを友人から学び、私もそのような関係を築いてみたいと考え、犬を飼う決意をしました。

・ご家族全員の年代、性別、一日の愛犬との同居時間

パグと一緒に生活しているのは私一人で、単身赴任中の夫が月に1~2度やってきます。まだ子犬ということもあり、現在の同居時間は、朝8時から12時、13時から17時半の仕事の時間を除いてずっと一緒にいます。約15時間程度といったところでしょうか。

①過去はどういうタイミングで、どういう「スキンシップ・遊び」をされてきましたか?

子犬が寝ている間にサークルに入れれば、サークルを嫌がらなくなると聞き、私の膝の上で寝かせようと撫でていました。私のしてほしい行動をしたときには、よしよし、と頭や全身を撫でて褒めていました。遊びは、音の出るおもちゃを投げたり、引っ張り合いっこをしたりしていました。

②過去はどういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?

しつけをするというよりは、よいことをしたら褒めることだけを心掛けていました。例えば、トイレシートにおしっこやうんちをしたら、よし、よくできたねーと撫でて声をかけていました。投げたおもちゃをくわえてきたとき等も、褒めてやります。やってほしくないことも度々やられますが、だめだよーと犬の注意を別の方向に向けるようにしていました。

③過去はオヤツ、抱っこ、猫なで声でナデナデなどされてきましたか?

おやつ、ごはん、という言葉には、すぐに反応するようになりました。サークルに入れる際、散歩中に動かなくなった際に、おやつをやっていました。抱っこをするのは、眠そうにしているときです。声掛けをする時の声が猫なで声かといわれると、そうかもしれません。

④過去は散歩は何分、どんなやり方でしたか?

散歩は、1日3回、朝1時間、昼30分、夜1~2時間やっています。車の少ない道を歩いたり、公園で歩いたり走ったりしています。ハーネスを装着して歩かせますが、ちょくちょく歩かなくなることがあり、その際には、おやつで誘導するか、周りに人と車がいないのを確認して、リードを放して犬のペースで歩かせたりもします。時間を書くと長いように思われるかもしれませんが、半分以上の時間は、止まっています。

⑤過去は一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?
朝5時45分起床
6時から散歩
7時から朝ごはん
8時から留守番
12時から散歩
12時半から昼ごはん
13時から留守番
18時から散歩
20時から夜ご飯
21時から22時の間に就寝

⑥愛犬のハウス・トイレ周りの構成、放し飼い・つなぎ飼い環境など(なるべくお写真メール添付でお願いします) 

犬のハウスは、今回相談しているサークルに、クレートとトイレシートが入っています。水はいつでもフレッシュなものが飲めるようになっています。

クレートは成犬になっても使える大きめのものを使用しており、サークルの床にレギュラーサイズのトイレシートを敷いて、クレートを置いてあります。トイレシートは全面敷ではなく、1枚のみ敷いています。まだ床面に余裕があり、おやつとおもちゃを置いています。

私が見ていられる間はリビングに放し飼いになっているので、リビングにもトイレシートを敷いています。サークルは同じリビングにあります。今まで、割とトイレシートの上で用を足してくれていたのですが、最近、どこででもおしっこするようになった気がしています。

よろしくお願いします。


返答内容
まず、子犬の能力の限界は理解してあげて、あせらないように続けていきましょう。

しばらくは小さな猛獣状態ですので、何も期待しないで、やるべきことをコツコツ続けながら子犬の成長を待ってあげましょう。


さて今回は、やはり最初の接し方が上手くなかったです。

子犬は最初の接触や過ごし方を基準値にしますので、悪い癖・基準値が付いてしまって、それが実行できないので嫌がるようになってしまいました。

>私の膝の上で寝かせようと撫でていました・・

↑特にこれが原因です。子犬からしてみれば、留守番時の孤独とのギャップが大きすぎるのです。

そしてそれを続けると、子犬の成長にともなって主従関係を誤解していきます。犬族の群れでは、リーダーカップルの子犬は群れの成犬達からチヤホヤ特別扱いを受けます。それを本能で感じ取り、自分の立場を認識し、そういう振る舞いをするようになっていきます。人間との生活の中で言えば、自分が気に入らない時に噛んだり吠えたりするようになります。言うことも聞きません。

それと、犬は相手の身体の上に乗って自分の優位性を示します。体位が関係を示しますので、犬は誤解しやすいのです。

団らんの時は、となりにピッタリ寄り添わせるようにして、人間の体の上には乗せないようにしましょう。

子犬への褒め方ですが、猫なで声でナデナデというのは、従属的な犬の挨拶に近いので、犬が関係を誤解しやすいです。甲高い声で大げさというのも、犬の興奮をあおるだけになってしまいます。

褒める時も、リーダーらしく静かに堂々と褒めましょう。その時には、子犬の名前も呼びながら、指示音ジェスチャーを関連付けながら、ポンポンポンで褒めてください。


遊び方ですが、主導型のコング遊びにしましょう。

子犬との関係作り(呼び戻し)が出来るまでで良いですので、子犬をケージから出す時は、常にリードを付けてそれを飼い主さんが持っておくと良いです。トイレの失敗・誤飲事故・暴走・噛み癖・吠え癖などが制御しやすいのと、子犬の行動全体を自然と主導することになるので、関係作りに良いです。

「引っ張り合いっこ」は止めましょう。対面しての力比べになりますので対抗心が出やすいのと、人間の動きに過剰反応するようになるので、噛み癖・引っ張り癖・興奮癖がつきやすくなります。

さて、サークルトレーニングですが、まずはお話しているように主従関係を崩さないで、犬が言う事を聞きたくなる関係を作ることが大前提ですが、直接の教え方としては、コング遊びをサークル内に延長してあげることです。

コング遊びをしている中で、少しずつサークル側に近づいていって、コングをサークル内に転がしてご自分も手を入れて誘って(リードを軽く引いて誘導しても良いです)、サークル内でも遊びをしてください。

普段から遊びの中で、スワレ・マテ・コイを練習しておくとスムーズです。

もちろん、入った瞬間に「ハウス」の指差しジェスチャーで褒めて関連付けしてください。

そして、サークル内に入って「はい終わり」にしないことがポイントです。

子犬が入って褒めたら、またコイで出してお部屋で遊んで、またサークル内にコングを入れてコイで呼びます。入った瞬間また関連付けで褒めて、また出して遊び・・・

これを数回繰り返してから、最後は扉を閉めて無言で立ち去ってください。

まだ子犬ですので、遊びは30分も集中力が続かないと思います。15分くらいで疲れるはずです。

それと、ゴハンもサークルの中で食べさせてください。


外のお散歩はまだ無理にコントロールされないで良いです。

犬が止まって動かなくなったら、それを利用してマテを教えるようにしてください。マテをさせていると、犬がソワソワしてきますので、そこでコイで軽くリードを引いて誘導します。今はそんな程度で十分ですのと、目的は外の世界に慣れることですので、安全でキレイな場所に座って、ノンビリ周囲を観察させるだけでも十分意味があります。


今の月齢では、上記の程度で十分です。これ以上アレコレやっても子犬は覚えられませんので、まずは主導型の遊びを通して、主従関係を深めていきましょう。その中で、基本のスワレ・マテ・コイを教えていきましょう。

4か月過ぎたら、少しずつ遊びの中にリーダーウォークも混ぜていってください。

その他、トイレの教え方も含めて、今日お話したものと同じようなケースの内容は、Q&Aサイトにたくさん載せてあります。本書と合わせて、必ず熟読されてください。

これからまだまだ知能が低い時期が続きます。反抗期もきて難しくなっていきます。今後数か月は期待し過ぎないで、やるべき事を淡々と続けて、子犬の成長と経験の積み上げを待ってあげましょう・・・

飼い主さんからのお返事.png
私が試そうとしている方法の方向性と似たアイディアをいただけて、心強いです。

子犬はすぐに寝るもの、何か近くにいるものが必要との思い込みから、膝の上にのせてしまっていました。現在は、膝に乗れるような状態を極力作らないように接しています。

早速、昨日から紐付きコング遊びを始めてみました。思った以上に食いつきがよく、私も楽しく遊んでしまいました。サークルの中にも投げ入れてみたところ、できるだけ中に入らなくていい方法を探っているようには見えるものの、ちゃんと中に入って取ってくるというのを何度も繰り返すことができました。まだ、扉を締めるところまではいっていませんので、是非試して見たいと思います。

もう1点質問があるのですが、実は、子犬はコングでなく、紐を咥えれば、自分にものにできるということを発見してしまい、いけないとわかっているのですが、ひっぱりっこになってしまいます。これは、わたしの遊び方がわるいのでしょうか?
よろしくお願いします。


返答内容
そういう場合は、コングはひも無しにして、犬にリードを付けて持っておくと良いです。

目的は、「犬の行動を主導する」ということですので、どちらかやりやすい方にしましょう。

今はトイレの失敗もありますし、関係作りもしていきたいですし、呼び戻しやお散歩の練習も兼ねることができますので、リードの方が良いでしょう。

ただし、今度は犬がリードにイライラして噛んで引っ張ることも出てくると思います。

感情的にならないで、毅然と無視して続けてください。

かといって、あまりにも強引に厳しすぎるのも今の子犬には酷ですので、バランスを探りながらやっていきましょう。

厳しすぎてもいけませんし、犬任せでも主従関係が崩れますので難しいのですが、これもやりながら感覚をつかんでいきましょう。母心でやって、結果的に厳しくなったとしてもそれは必要なことですので、体罰的にならない範囲で毅然さは保っていきましょう。

まずは結果をあせらないことです。期待値が高いと失望も大きいです。

子犬は小さな猛獣です。まだ求めてはいけない時期で、今は与える時期(教える時期)です・・・


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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