外の散歩で制御が効かない7ヶ月の大型犬のしつけ
堀川様はじめまして。私は外国に在住しています。少し日本とは犬の飼育環境が違う面もあるかもしれません。
ゴールデンレトリバーの雄犬を飼っています。現在7ヶ月。家に来て4ヶ月です。
以前にもゴールデンを飼っており、2年半前に12歳で亡くなりました。
飼い始めた頃は夫婦2人とも仕事に忙しく、あまり躾もできなかったので後悔は沢山あるものの、ゴールデンが持つ優しさ、魅力は存分にわかりました。
特に老犬になって懐こくなってからは本当に可愛いかったです。
その死があまりにも辛く、主人が次の犬を飼うことに踏み切れず、やっとの説得で前から憧れていたゴールデン専門のブリーダーから迎えました。
主人は高齢になるので、「今度は私が責任を持ってしつけるから決して引っ張らない犬にするから」と約束した手前、今度こそという気持ちで迎えたのです。
先代に比べて大人しく怖がりで、すぐにお腹を見せる犬でしたので内心やった!と思いました。
散歩デビューはまさかの怖くて歩かない、でこれは大変なことになったと思ったものです。
主人の健康のためにも毎日の楽しいお散歩を期待して飼ったのですから。
長くはかかりましたが、やがて歩いてくれるようになり・・・今度は引っ張ったり這いつくばって匂いに執着したり急に道路をつっ走って車が来たり。
これは少しお金を使っても訓練をしなければと思い、訓練士を頼むことにしました。
週一で家に来てもらい、散歩道の歩き方や様々なテクニックは教えてもらえるのですが、毎日の散歩が改善されたかというとまだまだ危ない目にあっていて正直苦痛です。
日本と違ってドックランは無いのですが、原っぱは沢山ありますからそこに犬連れが集まって綱を離して遊ばせるのです。
どんなドミナントな犬にでも家の犬は下手に出ますから、転がされて揉みくちゃになっても結局は仲良く遊べます。
問題はその引き際で繋いで帰ろうとすると、途中で凄い勢いで引き返したがったり、その力はもう30キロ近くありますから制御不可能で訓練士といる時はバイバイと言って隠れると猛然と追ってくるのですが、ロングリードを付けている安心感からで1人の時はそんな勇気はありません。
原っぱでなくでも知り合いの犬に道で出くわした時は、猛スピードで道をつっきってしまいますし、隣の犬が大好きでまっしぐらに渡ってしまいます。
ご本を読んで毎日の信頼関係、主従関係がものを言う、というのは全く同感でそれに努めているつもりなのですが、外に出ると別人ならぬ別犬です。
リーダーウオークも違う方向に向けるなんて私ではできません。止まらせる、歩く、すぐ前に出る、の繰り替えしです。私の顔を見て指示を待ってくれるなんてとてもとても。
訓練士の方はあと2回家に来てもらう契約です。そのあとはクールコレクティフ、つまりグループで森の中でやることになっています。
朝はおはようのカラン。スキンシップですね。
あとは気の向いた時にはかまってやります。主人は割とベタベタです。可愛いがりたいというのが本音です。
以前は愛情表現なんだからと椅子に座ったまま抱っこをしていました。食卓でです!その後、後悔したようですが後の祭りです。
主人が犬の一挙一頭速に目を配っていて、オシッコじゃないかとか私から見ると構いすぎていますが、なかなか言うことを聞いてくれません。
食事中は絶対食べ物はやりません。食事中に触ってはいけない、と主人に言うのですが触ってしまいます。
オシッコはテラスですので出した後すぐに入ってこないとオヤツでつったり。付けて歩かせるためにもオヤツを持った手を嗅がせて、というやり方でした。だんだんやめて行きましたが。抱っこは1日に2回くらいです。
今も朝食の後散歩。午後私が仕事のない時はもう一度行きます。散歩の後身体のケアなどは嫌がらずにさせます。
●国の家庭では、家の中に犬のケージがあることはほとんどありません。寝室や私達の部屋へは入れません。
サロンの隅に専用のマットを敷いてそこが犬の寝床兼陣地です。
来た日から夜泣きすることもなく寝かせてくれます。
トイレは外のテラスです。こちらを見つめて出してくれと言うのですがこの頃かまって欲しくて嘘をついたり未だにサロンでオシッコをしてしまうことがあります。
写真を追って送らせていただきます。
堀川さんの本の内容は大変気に入りました。まさに私が探している教育というか共存方法です。どうぞよろしくお願いいたします。
頑張っておられますね(^_^)
今のゴールデン君の月齢と症状からして、まったくご心配はいりませんので、あせらないで急がないで続けていけば大丈夫です。
お写真も拝見しましたが、ホワイトゴールデンでとっても可愛いですね(^_^)
表情がとても柔らかくて、素性の良い子ですし、ストレスなく暮らせているはずです。
さて、まず一つ理解しておかなければいけないことは、ゴールデン君の月齢です。
今は反抗期のど真ん中ですし、犬のしつけの中で最も難しい時期になります。
その時期で今の状況ですので、とても上手く育っていると思います。
ですが、この月齢の限界はあります。
まだ知能が低いですし経験不足ですし、そのわりに好奇心が強く体力も有り余っていますので、現状はごく当たり前の状況です。
ここで結果を求めすぎて、体罰的や感情的に怒ってしまうと、人間との関係の基盤が悪い形で作られてしまいます。
もちろん毅然さも必要ですし、厳しくしていかないといけない時期なのですが、結果は求めすぎてはいけません。
まだしばらく続くものと思い、少なくとも10カ月から1歳まではまだまだ変化が激しく落ち着きません。
そして、成犬となると1歳半から2歳くらいですので、まだまだしばらくはヤンチャが続きます。
それは理解してあげて、マインドセットとして持っておいてください。
さて今後の進め方ですが、特に2つ意識してやっていきましょう。
まず一つは、なるべく時間を見つけては、家の中や敷地内でリーダーウォークをしましょう。
まだ経験不足ですので、外の世界では興奮が強すぎて機能しづらいです。
外よりは落ち着いてできる、室内やお庭で、たっぷり練習して定着させることです。
「一緒に歩く癖」を付けることが重要で、毎日続けていくと癖になりますし、外でも条件反射で自然とできるようになっていきます。
もちろん時間はかかりますので、あせったり結果を急がないことです。
しばらくは外の散歩では無理されないで、「外の世界に慣れさせるのが目標」くらいで十分です。
また、リーダーウォークそのものも、キレイな形を気にしなくても良いです。
目的は、「飼い主さんの毅然さと主導性を示すこと」ですので、それが示せれば何でも良いのです。
ドッグショーのようにきれいに歩くのは、あれはもう完成形ですので、それはまだまだ先のことです。
形のキレイさよりも、飼い主さんの意識が重要です。
ですので、切り返しが無理ならば、止まる→進む→止まる→ゆっくり歩く→早歩き→止まる、というように簡単なことで良いです。
それと、大型犬の場合は、リードを手だけで持たないほうが良いです。
大型犬がとっさに引っ張ると外れやすいですし、コントロールも伝わりにくいです。
リードはご自分の腰に一周縛ってから、あまった部分を手で持つと良いです。
リードの持ち手の部分は輪になっていますので、そこに金具側を通します。そうすると投げ縄のような形になりますので、それをご自分の腰に縛ります。
そうすれば外れる心配はありませんし、ふんばりが効くので、体全体を使って犬を制御しやすくなります。
それで切り返しもやってみてください。
あとは、リードを素手で持つと、犬が急に引っ張った時に手をヤケドしてしまいますので、革の作業用手袋をしましょう。外国でもホームセンターに行けば安く買えるはずです。(日本ですと1000円以内で買えます) 冬の散歩も暖かいですし、力も入りやすいです。
さてもう一つですが、主導型のコング遊びで「呼び戻し」を定着させましょう。
お庭やお部屋で、犬にロングリードを着けるか、もしくはコング側にヒモを付けて、犬を主導しながら遊びます。
コングを転がす前には必ずスワレ・マテをさせ(できなければ教えて褒める)、出来たら褒めて転がします。
そのままだと犬は自分だけで好き勝手遊んでしまうだけですので、少し好きに遊ばせたら、犬の名前を呼びながらヒモかリードを軽くたぐり寄せて来させ、指示音ジェスチャーで褒めます。
コングを回収して褒めたら、またスワレ・マテさせて褒めて、コングを転がして呼び戻し・・・
この繰り返しを定着させていきます。
これも先ほどと同じく癖になり、名前を呼ばれたり指示音ジェスチャーに条件反射するようになっていきます。
ということで、まずはそんなところから始めていきましょう。
まだ本書をお読みになられたばかりですので、Q&Aも熟読されて、知識と意識を深めていただきたいと思います。
それでは、これから頑張って続けていきましょう(^_^)
堀川様、こんなに早くお返事をいただけるとは思ってもみませんでした。ありがとうございます。
まずは勇気付けていただいたことに何より感謝いたします。リッキー君の写真などを見てしまうと元が違うんじゃないか、なんて否定的に考えてしまうものです。ましてや先代で懲りていますので(笑)
まずはホームページを長く拝見させていただいて購入いたしました。大型犬の話は少ないものの見つけては我が事のように読ませていただきました。とても良いです。
コングの持って来いは、雨の日などのために是非マスターさせたいと始めてみたのですが、付けた紐が白かったせいかそちらにいたく反応してしまって猫状態になってしまいました。
2、3回持って来て興味を失ってしまいました。今度は庭で彼に長いリードを付けてやってみます。
リードが手に擦れて火傷状態。よくご存知です。まさにその状態でした。手袋だと滑るので諦めていました。革のものを付けます。
ただ、ひとつできないと思うのはリードを腰に巻くことです。先代の時にひらめいてやったのですが急な飛び出しに私ごと引きずられて危うく車に轢かれそうになりました。庭での練習にこの手は使わせていただきます。
今朝もめげずにに歩いて止まって歩いて止まって。挙句に近所のチワワに反応して生け垣つたいに引っ張りまわしてその後動こうとせず。はがすのに一苦労でした。でも若いゆえのことなんですね。冷静になればわかります。
私も何となく犬の機嫌や様子にこちらが神経質になりすぎているのが、返ってよくないのではないかと気がついていたところでしたので、堀川さんの本に背中を押されて犬を横目で見つつ忽然としておりましたら、あちらからこちらを見つめている視線を痛いほど感じました。
優しい主人の方には甘噛み、小突くなどをするのに小柄な私にはしません!あーこれなんだと!
これが外でも有効になる日を夢見て少しずつトレーニングを続けていきます。焦りません。結果をもとめすぎません。が合言葉です。
またご相談できた際にはどうぞよろしくお願いします。
昨日、一つお話し忘れてしまったことがありましたので、追記いたします。
外のお散歩に出る前の流れとして
・室内かお庭でたっぷり遊ぶ(できれるだけ主導型で)
↓
・室内かお庭でリーダーウォーク
↓
・その流れのまま外のお散歩に出かける
という流れにされると良いです。
そうすることで、散歩に出る前にはもう、犬には心地良い疲れが出て、暴走する体力が無くなっているからです。
そして、主従関係の意識が残った状態の流れで外に出ますので、比較的に落ち着いて歩けます。
もちろん、前回お話ししたように、これからまだまだ長い目で見てあげないといけないわけですが、普通に家でノンビリしていた状態から元気一杯ですぐに出かけるよりは、落ち着いて行動できる傾向にあります。
それでは、またQ&Aを熟読いただきながら、頑張って続けていきましょう(^_^)