犬のしつけで以前は良かったが最近オシッコのみアチコチで失敗する
堀川様お世話になります。お忙しいところ恐縮ですが、再度ご相談に乗っていただきたくメールさせて頂きます。
昨年に一度ご相談させて頂き、トイレのしつけが上手にできておりました。
実は、ここ4か月ほど前から急にオシッコのみ頻繁に他の場所でするようになり(原因不明)、試行錯誤しております。
どうぞよろしくお願いいたします。
問題の内容:
(1)おしっこをトイレ以外の数か所ある程度決まった場所にする
現在の対処→無視して片付け。現行犯の時はダメと怒る。気休めにおしっこ防止スプレー。
(2)吠える(急に現れた人や犬以外の動物に対して吠える。)
現在の対処→なるべく他に気をそらす。
(3)歩きながら頻繁に道路の臭いを嗅ぐ
現在の対処→リード引っ張る。しばらく歩くの停止。
3) 犬種: ヨークシャーテリア
年齢: 1歳7か月
性別: オス(去勢なし)
5) 国際結婚に伴い○国で暮らし、実家で飼っているヨーキーが恋しくなり犬を飼うことにした。
6)同居家族:夫(38歳)は外国人。
7)一日の愛犬との同居時間:私はほぼ一日一緒、夫は平日8:30-18:00の出勤時間以外
8) 過去の接し方と、一日の流れ ※①~⑥は必ずお知らせください
①過去はどういうタイミングで、どういう「スキンシップ・遊び」をされてきましたか?
夕飯後、ぬいぐるみやボールを投げたりの遊び。
日中、遊べとクンクン要求したらコングをあげる
②過去はどういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?
好ましくない行動をしたときNeinと目を見て言う。
良いことをしたら、Good boy と言う。
トイレで用が足せるようになってから、部屋において放し飼いで問題なく過ごせてきました。急にオシッコのみトイレとトイレ以外のある程度決まったところにオシッコをする。
(特に私が見ていないときor要求を聞いてもらえなかったあとしているようです)
③過去はオヤツ、抱っこ、ナデナデ、声かけなどされてきましたか?
おやつ:オシッコを外すようになってから、トイレでオシッコをしたときにあげています。
声かけ:時々、子どもに話しかけるように話しちゃいます。
④過去は散歩は何分、どんなやり方でしたか?
散歩:30分
方法:リードをして引っ張ったり臭いを嗅いだりするたびに、歩くのを停止又はリードを引っ張る。
リーダーウォークを外で試しているが...うまくいかない(自分が先に行きたがる。散歩後半は合わせては歩いてくれる)。
⑤過去は一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?
朝7:00頃に散歩。帰宅後はご飯。日中は放し飼い。夕食後はボール遊び。就寝。
⑥愛犬のハウス・トイレ周りの構成、環境など
トイレの写真を添付しました。犬用のチェアで日中は休んでいます。時々床に伏せて寝ることも。
どうぞご指導の程、宜しくお願い致します。
頑張っておられますね(^_^)
今回の行動変化の原因ですが、3つほど考えられます。
①性的な成熟の結果
②権勢本能が強まった(主従関係の崩れも影響)
③たまたまオシッコを失敗して、それを叱ったことで悪化
今回は、『オシッコ、吠え、臭い嗅ぎ』の3つの問題が同時に出たということであれば、①と②の影響が強いと思います。
ただ、③も悪化の要因になります。
本書でもQ&Aでもお話ししておりますが、犬のしつけではトイレ(食糞含む)の失敗では、絶対に叱ってはいけません。
犬の知能では、『場所の失敗』という概念が理解できません。怒られた場合は、排泄の行為そのものと結び付けてしまうので、余計に隠れて粗相するようになってしまいます。
犬はもともと知能の低い動物です。
何か興奮や緊張する要素が突然ふりかかってくると、そこで漏らす場合もあるのは、自然なことです。
たまたま何か緊張興奮するような出来事(怒りや恐怖も含む)があって、オシッコを漏らしてしまった場合に、怒られたことでさらに緊張等があおられて嫌悪感と結びついてしまうのです。
そうなってしまうと、どんどん飼い主さんの見ている前でしなくなり、隠れてアチコチに粗相するようになります。人間の幼子のオネショのしつけなども同じです。トイレのしつけだけは、絶対に叱ってはいけないのです。
さて、トイレの環境としつけのお話です。
お写真を拝見する限りですが、犬は室内で放し飼いで、お部屋の一角にトイレを設置されている状況だと思います。
外国にお住まいで外国人のパートナーをおもちですで、私が推奨する環境(ゲージ内にトイレと水とクレートがあって犬は普段そこで過ごす環境)を好ましくないと思われたのだと思います。
しかし、その弊害があるのです。
広い家の中を好き勝手歩き回れるのに、トイレだけはココだけ・・・という条件が、犬には難しいのです。
室内で放し飼いにされる場合は、お庭をトイレ場所としてしつけされても良いです。
それか、私の推奨する環境、のどちらかにされたほうが良いです。
さて、そういった要因も含みつつ、①と②の影響が大きいと思われます。
月齢、症状、去勢の有無からして、性的な成熟の結果もあると思います。
そして権勢本能の強まりです。
これは主従関係の崩れの可能性もあります。
一時期しつけが良くなって、気が緩んだかもしれません。主導性や毅然さが弱まったことはなかったでしょうか。無意識にそうなる場合が多いです。
それによって、犬の権勢本能が高まり、警戒吠えやマーキング(あちこちオシッコ)が強くなってきたかもしれません。
では、これからやっていただきたいことです。
(1)去勢
(2)主従関係の再構築
(3)トイレか居場所の環境を変える
(4)トイレのしつけ、吠えのしつけ、臭い嗅ぎのしつけのやり直し
になります。
まず去勢ですが、犬のストレスや将来の健康面を考えたら、去勢はしてあげたほうが良いです。
性的な欲求が満たせないわけですので、ストレスになります。去勢手術すれば、そのストレスから解放されますし、将来の精巣ガンやホルモンバランスの不安定から起こる各種のガンなどのリスクが減ります。
統計的にも、去勢・避妊した犬のほうが長生きです。
それで『マーキング、吠え、臭い嗅ぎ』が一気に解決するケースもあります。
ただし、それで主従関係ができるわけではありません。
もし崩れていたならば、もう一度学び直して、ご夫婦で統一・一貫されてください。家族間で一貫できないと犬は理解できないどころかパニックになります。
(4)の教えをするときに、主従関係があるのと無いのとでは、結果がまったく違ってきます。(2)と(4)はセットです。
(3)の環境ですが、出来れば私が推奨する環境が望ましいですが、どうしても文化的に受け入れられない(室内でフリー)という場合は、『トイレは家の外』に固定化されたほうが良いです。
とにかく現行犯の場面を見つけるようにして、しかし怒るのではなく、指示音を関連付けることに注力します。
主従関係がしっかりあって、指示音の関連付けができると、飼い主さんの指示音ジェスチャーで排泄できるようになります。
マメに飼い主さんの指示で排泄させておいて、オシッコをためないことです。外で出来た場合は、しっかり褒めて関連付けを強化することです。
オヤツは止めた方が良いです。
その姿勢を従属的に見る犬がいますのと、食への執着が強くない犬もいるからです。(その時々の食欲も影響)
しつけスプレーも意味はありませんので止めましょう。
吠えのしつけですが、吠えた瞬間に「シ!」の注意音を出しながら、リードをチョンと引き上げて注意します。
効果を見ながら引き上げる強さを調整してください。
もし前方から人や犬が見えるようでしたら、先にスワレ・マテをさせて、首輪をガッチリ両手でつかんで、型をキープしておきます。
吠えたら、注意音で首輪をチョンと引き上げて注意します。
練習法としては、なるべく外で過ごす時間を多くし、人や犬が通る場所を選びましょう。
ただし、いきなり近距離ではなく、最初は遠目から見えるような場所から始めてください。
そこで慣れさせながら、教えながら経験を積ませ、吠えなくなったら徐々に距離を短くしていきましょう。
優しいレベルから、段階をたくさん作ってあげると良いです。
他には、もしテレビなどにも反応するようでしたら、パソコンでユーチューブ動画を犬に見せながら練習しても良いです。
散歩中の臭い嗅ぎですが、これも注意音と同時にリードをチョンと引き上げて注意します。
リーダーウォークでの切り返しも行ってください。
あるいは、どこかキレイで安全な場所で止まって、飼い主さんはそこでノンビリ座って、その周囲を犬にウロウロさせて(リードは付けて持っておく)、犬が飽きるまで好きに嗅がせてしまうのも良いです。
経験し過ぎて、飽きて止める場合も多いものです。
特に子犬や若犬はそうです。
先ほどの吠えのしつけで、人や犬を待っている間に、それをやっておけば良いです。
それでは、またQ&Aを熟読いただきながら頑張って続けていきましょう(^_^)