吠えの苦情や噛みつきで困っている保護犬のしつけ
堀川様、お恥ずかしい相談内容ですが、よろしくお願い致します。
犬の問題行動の内容:
■職場に犬をつれていっているのは、一人にすると何時間でも鳴き続けるからです。さすがに途中で諦めるだろうと思っていたのですが、録音して聞いたところ、ずーと何時間も絶え間なく吠え続けており、近所からの苦情もあった為、連れて行っている次第です。
■最近は、事務所に来客があっただけで激しく吠え続けています。また、事務所で一人になった時も吠え続けています。(両親は近所から苦情が来てしまうので、鳴かせないでくれ、と迷惑そうです)
■ゲージがある1階のリビングに引き戸があり2階に行く階段を昇ろうとすると、敵に吠えるように足を踏ん張って尻尾をあげて吠えまくります。朝の時間、私にだけです。
■食事をあげる時、唸り方がひどいので悲しくなります。
・犬種:ミニチュアダックスと(おそらく)ゴールデンレトリバーのミックス
・7歳オス。8か月前に我が家に来る
・家族:私(女)30代後半と長女10代前半、日中私の職場(実家)父母60代、祖母80代
・基本的に私と1日一緒(職場である実家に8時頃車で移動、事務所外にリードに繋いでいる)仕事中は事務所の玄関を閉め、私、母、父全員が外回りで留守になることも頻繁)。長女は朝学校に行く前1時間と夜3時間程自宅で同居。
・犬は捨てられて愛護センターに保護され、あるNPOが引き取り、飼い主を探していた所、もともと犬を飼いたがっていた娘の希望と、夫婦関係が悪かった中で娘の家族となってもらえたら、という私の希望。飼い始めた当初は夫もいたが、3か月前からは別居している。
・家族全員犬を飼うのは初めて。
・朝私が起きて朝の準備をしている時、犬はゲージの中で寝ていることが多く、娘が起きると動き始め、トイレで排尿、排便。私たちが朝食を摂った後、えさの時間。食べ終わってから、8時に家を出るまでの間に排尿排便をする時もある。(私たちがご飯を食べている間クーンクーンと騒いでいる)
・実家の8時半頃に実家についてから、軽く散歩。15分から20分。暑くなってから、実家の庭を好きに走る程度の時が多い。それが済んだら、事務所の玄関先(車庫の中)にワイヤー(2メートル)に繋いでいる。
・11時半前後母が庭を歩かせ、排尿。(おやつもあげているらしい)
・12時から13時:父が昼ごはんを事務所で食べる所をじっと犬が見ているため、白ご飯をあげていた。(絶対にあげてはだめと伝えても隠れてあげていた)
・17時前後に散歩(実家の近所)20分程度(できない時は自宅近所で18時過ぎ頃)
・19時から20時半(曜日によって異なる)私たち夕ご飯(ケージの中でずっとクーンクーン騒いでいる)
・その後エサの時間
・ケージや私たちの周りでくつろいでから、21時頃ゲージに入り寝ている
・朝起きるとおはようと声かけ。娘は起きるといつも体を撫でながら高い声で声をかけている。
・おとなしくゲージの中にいると、体を撫でていた。
・おすわり、待ては思ったよりもできたが、確実ではない。食べ物があると落ち着きがなく、常に食べ物を見ている。言うこともきかなくなる。餌をあげる時は、必ず唸ってゲージから出てきて、おすわりをするものの待てはほとんどできない。近くに人の気配がすると唸りながら食べている。とても触れない。
・スキンシップはほとんどできていない。おなか、足を触ると唸る。お腹を見せることもあまりない。
・私がブッラシングを、犬が唸るのに続けたことで噛みつかれ流血したので、唸られると怖い。
・叱る時は、こらーっっと大声を出す。娘は声が高いので、甲高い声で、コラッ、○○!!と。
・おすわり、まてができた時に、よーしといいながらおやつをあげていた。実家にいる時、昼の前に排尿した後、母が何をするわけでもなく人間が昼ごはんを食べるという習慣のようにおやつをあげていた。
・実家で母が、○○ちゃーん、と常に猫なで声、撫でる、吠えるとすぐにかけつけるの繰り返しです。吠えた時(声がミニチュアダックスというより、レトリバー並みに太く大きい鳴き声で、近所から苦情が出るので、鳴かせ続けられない、クーンクーンち声を出すのも頭が痛くなるから鳴かせないで、という事から鳴かさないよう吠えさせないようにしている)
・祖母は犬の姿を見ると、遠くから大きな声で声をかける。
・散歩はしたり出来なかったり。20分前後。(できない理由は後で書きます。)途中で駄々をこねるように歩かなくなったり、立ち止まったり戻ろうとする事が多い。車の音(特にダンプやオートバイのように大きな音)にキョロキョロしている。他の犬が近寄ってきても、必死で逃げようとする。今まで散歩中の他の犬にお尻の匂いを嗅いだり嗅がせることは一度もない。
これだけで既にかなりの量になってしまっていて、申し訳ありません。
私がうつの傾向や対人恐怖のようなものがあるので、外に出る気分になれなかったり、人と会いたくないと散歩に連れ出すことができません。
こんな状況なのに、犬を飼った私が甘かった、これから実家以外の仕事を探し、犬に留守番をさせないといけないのですが、吠え声が気になりどうしたらよいか、と途方に暮れていた時に堀川さんのページを見つけ、まずは犬との関係だ、と思い購入をさせていただきました。(実家の犬に対する状況を知ってから、自宅で留守番ができるようにならないと、犬も人間もしんどくなると思っています。)
近所付き合いも良くないことから、特に吠え声、なき声には私が過敏になっており、それらをどうにかしたいというのが本音です。安易な気持ちで犬を飼い始めてしまった、自分の考えの甘さに落ち込むこともあります。
犬はうちに来て幸せなんだろうか、他の家に行った方が良かったのだろうか、正直そんなことまで考えてしまうことがあります。
それでもやはり、家庭が大変な時期に娘や私の心の支えになってくれた犬とこれからも一緒に生きていきたいので、これから一緒に学んでいきたいと考えています。
犬も私たちにはわからない辛い体験をしていると思うのですが、必死に生きているので、私も娘と頑張ります。犬が本当の家族となる為に、ご教示をお願いいたします。
今回は、まず一つ試してみて、そこから選択肢が三つあります。
あわてないで、冷静にやってみて、見極めていきましょう。
今回は取り急ぎ、吠えをなんとかしないといけません。
本サービスをご購入いただいたタイミングと、メールの内容、お写真からして、まだ試しておられないと思いますが、「布掛け目隠し」というのをされてみてください。
そのケージは天井が無いと思いますので、ホームセンターで単品の金属柵を買ってきて、ケージに乗せヒモでしっかり縛り付け天井を作ります。
単品の金属柵は、当然ながらケージの幅よりも大きい物が必要です。ケージの大きさからして一枚では足りないので、3枚くらい買わないといけないと思います。
そして、その天井から、毛布などの光を通さない厚手の布を掛けて、ケージ内を暗く目隠しします。
暗くて狭い穴倉が、犬には巣穴感覚で落ち着けて、本能的に大人しくなる特性があります。
それと、その天井部分が物置きスペースにも使えますので、有効活用できます。
ただ、異常な興奮状態や、異常な分離不安、主従関係の大きな崩れがある場合は、効果が無い場合もあります。100%の確証はありませんので、やってみないと分かりません。
そして、厳しく強いリーダーウォークをお部屋で行ってください。
今までのような接し方も180度変えなければいけません。これは飼い主さんも精神的につらいですし、犬にとってもギャップが激しく、今までの関係からしたら面白くないので、イライラ反発もしたくなります。
今回のような切迫した状況でなければ、もう少し徐々に変えていくのが良いのですが、今回は早めに方向性を見極めるために、厳しくやってください。
もし経済的に、少しでも余裕があるようでしたら、2・3日ご実家の仕事のお休みをいただいて、集中訓練と見極めをやりましょう。
さて、布掛けをする時は、エアコンは必ずつけてください。熱中症は心配です。
それと、犬と接する時はビクビク怖がったり噛まれて大ケガをしないように、作業用の革手袋を買うと良いです。ホームセンターで500円くらいで買えます。
ということで、まずは上記のように(本書とQ&Aも必ず熟読されてください)、
・毅然な接し方
・布掛け目隠し
・厳しいリーダーウォーク
を2・3日やってみます。
もしこれで良い結果が出れば、あとは接し方を気をつけて(飼い主さんの意識改革を深めていただいて)、日々主従関係の構築に努めていただければ大丈夫です。
そして、もし良い結果が出なかった場合ですが、3つ選択肢を持ちましょう。
①勇気ある撤退
もちろん、本来は事前に犬のことをしっかり勉強し、接する皆さん全員で徹底すれば、犬もここまでにはなっていませんでした。責任も感じておられると思います。
ただ、もともとNPOに行った犬ですから、前の飼い主さんが無責任な育て方をした結果、こうなったのかもしれません。
犬の素性は悪い子ではありません。これまでのような接し方をされていれば、犬はこうなってしまうのは自然なことです。
ということで、NPOの見極めにも問題がありましたので、「頑張ってみたのですが残念ながら無理でした」と事情をお話して、犬をお返してまた引き取っていただくという選択肢です。
勇気ある撤退も、時には必要です。
②引っ越し
今のご近所との関係では、精神的につらいですし、修復もむずかしいでしょう。思い切って引っ越しも選択肢の一つです。精神的に楽になるかもしれません。新しい人生のスタートとしても、区切りが出来て良いかもしれません。
ペット可のアパートや借家で、近所から少し距離がある場所があれば一番良いです。お嬢さんを転校させなくても良い条件が望ましいです。(なかなか条件に合う物件は難しいとは思いますが)
もちろん、新しいご近所さんには、「犬のしつけを頑張っているのですが・・」と、事情は必ず話してお詫びしておいてください。最初にお詫びしておくと、苦情はそうそうこないものです。
そして、引っ越しは犬との関係においても転機になります。
犬は環境が変わると、そこで自分の立場を確立しようとする意識が生まれますので、リセットの良い機会になります。そこでビシッと、犬のしつけと関係作りをやり直すのです。
ただし、デメリットもあります。犬は環境の変化にとても敏感で、引っ越しは興奮ストレスが強くなります。引っ越しによって、そこから吠え癖や噛み癖が出てきた・・・というケースは多いのですが、今回はすでにそうなってしまっていますので、もう気にしてもしょうがありません。
③ご近所にお詫びして、もう一度頑張ってみる
もう開き直って素直になり、現在の住居の「向こう三件両隣」のご近所さんに菓子折りを持っていき、「犬のしつけを今頑張っているので、ご迷惑をおかけしますが、もう少し待っていただけないでしょうか」と、お詫びしておくことです。
謙虚さと頑張っている姿を見たら、そうそう人は悪い気はしません。
「いいよ、頑張ってね」と言ってくれる人もいるはずですので、それで落ち着いて頑張って続けられますし、事前に謝ってあるので、その後に苦情を言われることは無くなります。
そうやって、今の住居のままで犬のしつけを頑張って続けるという選択肢です。
という以上の3つの選択肢を上げてみました。
さて、犬のしつけ方ですが、上記の補足になります。
まず三日間、完全無視作戦をされてください。
エサ、水、トイレの世話、散歩だけして、あとはケージから出したり遊んだり触ったり団らんもしないことです。
布掛け目隠し作戦を中心にして、もしそれでも吠えが収まらない場合は、厳しくお部屋でリーダーウォークします。
散歩もたっぷりしましょう。声掛けしたり触ったりしないで、完全無視でリーダーウォークで歩きます。1時間くらい連続でたっぷりされてください。心地良い疲れがあれば、犬も静かに寝て過ごします。
それでは、Q&Aサイトも必ず熟読していただいて、
これから頑張って続けていきましょう(^_^)