気が狂ったように走り回り人の手や足にも咬みつく子犬のしつけ
≪問題の内容≫気が狂ったかのように、部屋中を走り回り、ありとあらゆるものをかじり、人の手や足にも咬みつく。
私は中学生時代に犬を3頭(いずれも雑種)飼っていた経験があり、外飼いでしたがとてもお利口で、しつけも難なくできていました。
その経験があったので、今回は初心者に不向きと言われているけれどずっと憧れていたミニチュアピンシャーを購入しました。
購入したときは、まだ52日しか経っておらず、細くてか弱くて守ってあげなくてはならないと強く思わされる容貌でした。
購入した日、ブリーダーさんから「3週間はケージから出してはいけません。約束を守らなければ責任とれません。」と言われましたが、社会化期に閉じ込めたままでおくのはおかしいと思い、いろいろ調べて、基本的にゲージに入れて置き、遊ぶときや散歩(バッグに入れた状態)の時は出すという形をとりました。
これは、家に来て4日目に始めました。(今となっては、なんて愚かなことをしたのかと後悔です。)
ケージから出すと、3日間は部屋のにおいをかいで回り、静かに過ごしていたのですが、4日目になったら気が狂ったかのように、部屋中を走り回り、ありとあらゆるものをかじり、手や足にも咬みつき(甘噛みを通り越して唸って本気咬み)、獣のようになりました。
咬むようになってしまってはダメだと思い、ネットでいろいろ調べて試みました。
・「あ」と言ってケージに戻す。
・「痛い」と言って手を引っ込めて、代わりにおもちゃを突き出す。
・「ダメ」といって口の奥に手を突っ込む。(私が昔やっていたやり方です。)
どれをやっても日に日に咬む強さが増していく一方で、ほとほと困っていたところに、堀川さんのサイトを見つけて、購入・実践することにいたしました。
しっかりと読んで準備万端。いざケージから出してみると、まずは手をぺろぺろと舐めてきました。そして、リードにつながれて思い通りに動けないことが分かると、私の膝の上に乗って、顔に向かってジャンプをしてきました。
リードをしっかり引っ張っておいたので何もありませんでしたが、次は私の手を咬んできました。最初は甘噛みでしたが、私が「ダメ」と言って口にさらに手を突っ込んでみると、唸って力強く噛んできました。私も負けじとやり返し、お互いが一歩も引かない状態でした。
このままではだめだと思い、書かれていた通り紐付きコングで遊んでみることにしました。が、2,3回はコングに咬みついたのですが、その後紐に気を取られ、最終的には私の手に執着し、手をめがけて唸って咬みつくようになりました。
こうなったらリーダーウォークをしようと思い、始めてみました。すぐさま、足の指・足の甲を目がけて咬んできました。リードをくっと引っ張りましたが、また咬みつき、また引っ張り、咬みつき・・・の繰り返しです。
もちろん、こんな状況なので、「スワレ」「マテ」「ツケ」などは教えることができません。
ただ、堀川さんの教えに出会う前にしていたオヤツでのしつけによって、「ウォッチ」(目を見る)と「カム」(おいで)と「タッチ」(掌に鼻先をタッチさせる)の3つはできます。(堀川さんがHPでご指摘されていた通り、指示の後に私の手を見ます。)
このような状況です。一向に咬むことを止めず、ますます咬む力が強くなり、唸って威嚇してくるので、私以外の家族は「怖い」「可愛かったけど今はちょっと・・・」「ヤダ」と言うようになってしまいました。
このままでは愛犬も家族も不幸になってしまいます。どうかお力添えいただけないでしょうか?
まだまだ読み込みが甘く、理解しきれていないのだと思うのですが、質問にお答えいただいた上で、何かご指導をいただければ本当に幸いです。
≪質問≫
①犬の口に手を突っ込むときは、こじ開けてでも突っ込むべきですか?
愛犬は、一瞬咬みついては離れ、咬みついては離れ・・・というように咬むので、その一瞬に手を突っ込むことが難しく、捕まえて口を開けた瞬間に、私の方から手を突っ込んで「ダメ」と叱るようにしていました。
これは虐待につながるのでしょうか?
②口を閉じて「シー」の方法に切り替えてみているのですが、褒めて手を放したとたんに咬みついてくるので、ずっとこれを繰り返している状態です。
どのくらい繰り替えてしていても良いのでしょうか?
あまりにしつこくやってしまうと、悪循環になるかなと思い、迷っています。
③とにかく咬みつくことに必死な愛犬に、「スワレ」「マテ」などは教えられるものでしょうか?
④コング遊びですが、コングを投げて、犬が咥え、それを私が手繰り寄せて奪うという形でやっていますが、合っていますか?
≪愛犬について≫
・ミニチュアピンシャー(メス)2ヶ月半(飼い始めてからもうすぐ満1ヶ月です)
・子育ても落着き、私にも癒しが欲しいと思い、以前からずっと飼いたかった犬種を購入しました。家族は犬を飼うことには賛成でしたが、夫は「抜け毛と臭いのとうるさいのは嫌だ」と最初から言っていました。
そのため、現状(吠える・咬む・匂う)のすべてを受け入れることが難しいようで、そんな夫に私も気を遣う毎日です。
・家族構成と犬との同居時間は次の通りです。
夫(40代)朝1時間・夜4時間(触るのは1日の中で5~10分程度)
私(30代)朝1時間・午後~夜9時間(触るのは1日の中で40~60分以内)
長男(12歳)朝1時間・午後~夜6時間(触るのは私の監視下で30分以内)
次男(10歳)長男と同じ
三男( 7歳)長男と同じ
①過去はどういうタイミングで、どういう「スキンシップ・遊び」をされてきましたか?
私が時間の取れる午後と夜に20~30分くらいずつ(1日2回)、猫じゃらしやボール(紐なし)などで遊んでいました。後は、部屋を好きに歩かせ(走らせ)ていました。
②過去はどういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?
1日10分程度、おやつを使ったトレーニングをしていました。褒めるときは、頭をなでなでしていました。
③過去はオヤツ、抱っこ、猫なで声でナデナデなどされてきましたか?
トレーニングの時にのみ、おやつを与えました。抱っこは子供がしていました。玩具をかじる時は、私の膝の上で噛んでいました。猫なで声でなでなでは、家族全員がしていたように思います。
④過去は散歩は何分、どんなやり方でしたか?
バッグに入れて外に連れ出すのを3回だけ行いました。(4週間の間で)
⑤過去は一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?
・7時起床 家族はそれぞれ自分のことをする
・7時半 家族&愛犬朝食
・8時出勤 出勤&登校
・15時帰宅(私)愛犬食事
・16時遊び ケージから出して、好きに走らせる。
・17時習い事
・18時入浴
・19時夕食 家族のみ夕食
・21時 子供就寝
・22時 愛犬食事
・24時 就寝
⑥居住環境は添付写真の通りです。
リビングの片隅にケージが置かれています。成長に合わせて大きくできるもので、現在は一番小さなサイズです。
このような状況です。お忙しいと存じますが、どうかご指導をお願いいたします。
頑張っておられますね(^_^)
まず今回は、子犬の現実を理解してあげることから始めましょう。
この月齢の子犬は、知能も経験も何も無い、『小さな猛獣状態』が普通なのです。
むしろ、「元気で良い子」と、喜ぶべきかもしれません。
「一瞬咬みついては離れ・・」は、遊びであり、実験なのです。
遊び・発散・防衛本能・興味、という、本能の感覚のまま衝動的に動いているだけなのです。
この月齢の子犬では、ごく普通のことですので、今はこれで良いのです。
本来は、まだまだ親兄弟と過ごす必要がありました。
犬は生後1カ月くらいから活発になり、動く物は何でも追いかけて噛み付きます。
それを親犬がしつけで叱ったり、兄弟ゲンカで学びながら初期の社会化を果たしていきます。また、情緒も安定していきます。
今回はそれが出来ないまま、早くに引き離されてしまいましたので、今はこうなって当たり前なのです。
今は子犬の知能の発達を待ちながら、淡々と教えてあげる必要があります。
かと言って、知能が低すぎるので、何かを教える時には「早く完成させよう」とは思わないでください。
結果は一切期待しない、求めないようにされてください。
4カ月くらいまでは、まだ噛み付きやジタバタは残ると思われてください。
こういう理解がないと、「おかしい、こんなはずじゃない」となり、結果が出るまで無理したり悲観的になってしまうのです。
今はこれが普通です。
さらに、生後4カ月で完成するわけではありません。
5か月くらいから、知能も体も発達しますが、そこから反抗期に入り、7・8か月くらいが一番難しく、1歳くらいまでは変化が大きく不安定になります。
ということで、まだまだしばらくは、淡々と続けながら子犬の成長と経験の積み上げを待ってあげないといけないのです。
さて、ご質問の件についてです。
①②③に共通する解説です。
>捕まえて口を開けた瞬間に、私の方から手を突っ込んで・・
↑これはいけません。虐待というよりは、現行犯でないので犬が理解できないのです。
何かをした後、もう数秒以上経ってしまったことについては、叱ったり褒めてはいけません。
犬は今自分がしたこと・していることに結び付けてしまいます。
例えば今回ならば、「何が何だか分かんないけど、追われて捕まえられて口に手を突っ込まれた」としか思えず、「飼い主さんに近づくのは嫌だ、触られるのは嫌だ」という感覚しか残らないのです。
あくまで、噛まれたときにそのまま手を押し込むので意味が分かりやすくなります。
それが現行犯でできなかったのであれば、もう忘れて知らんぷりしてください。
他にも、何か良い事があって、その数秒後に褒めても意味がありません。別のことと結び付けてしまう可能性が高くなります。
今回のように、噛んだ瞬間サッと逃げられるような場合は、すぐ注意できる準備をしておかなくてはいけません。
そのために良いのが、犬にリードを着けてそれを飼い主さんが持って過ごすことです。
そうしておくと、噛まれた瞬間に「シ!」の注意音と同時にリードをチョンと引き上げることで、教えることができます。
また、リードを短めに持って、その手を上の方に持ち上げておけば、犬に噛まれること自体を防ぐこともできます。
そして、犬の行動全体を主導する形になりますので、主従関係作りにも良いのです。
まずはその方法でコツコツ教えて、噛み癖に変化が出てきたら、仰向けにもチャレンジしてみてください。また、主導型コング遊びの中で、スワレ・マテを教えていきましょう。
今はまだアレコレ詰め込み過ぎないことです。
仰向け、スワレ・マテは後にして、今は遊び主体にして、噛まれた時はリードを使って注意・・・変化が出てきたら、その時に仰向け、スワレ・マテを少しずつ取り入れていきましょう。
それと、犬に噛まれるのをビクビクしていると、犬に見下されますし、犬の興奮をさらにあおってしまいます。
ケガを防止し、犬の興奮をあおらないためにも、防備をキチンとしておきましょう。
ホームセンターで、500円くらいで作業用の革手袋が売っていますし、腕輪も売っています。リラックスできる準備をしておきましょう。
④のコング遊びはそれで良いです。
ただ、まだ幼いので、あまりガチガチに厳しく回収されないで、自由に噛ませる時間を作ってあげたり、パッと取り上げたら直ぐに褒めて直ぐにまた転がしてあげることです。
じらせすぎたり、転がす前にアレコレさせないことです。
「渡してもまた直ぐ転がして遊んでもらえる」
ということを理解させ、信頼関係を作ることも重要です。
噛み癖が落ち着いてきたら、コングを転がす前に、スワレ・マテの型を作ってあげて指示音ジェスチャーで褒めて、転がしてあげます。
それでは、またQ&Aを熟読いただきながら、頑張って続けていきましょう(^_^)