犬のしつけがQ&Aで分かる!

犬のしつけで家族に対する噛みつきの問題(夜だけ凶暴になる)

質問内容
家族に対する噛みつきの問題があり、訓練所に一か月預けたのですが、返って悪化、顔の表情もきつくなり、チェーンリードを使ったしつけに疑問を感じ、ネットで調べていて堀川さんにたどり着き、解決に向けて頑張ろうというところです。

私と妻50代、20代と10代の子供3人。

飼った時は夫婦、次男、娘が同居。長男は時々帰省。二か月前より夫婦、週末のみ次男がいるという生活。長男、長女は別居。

愛犬:ウェルシュコーギー1歳4か月オス。もうすぐ3か月になる頃に購入、9か月で去勢。ペットショップで見つけかわいくてかわいくて、家族の同意を得て購入。

主従関係を作ることの重要性を知りながらもついつい甘やかし、犬が中心の生活をし、拾い喰い、飛びつき、やたらとかまいねだられれば抱っこし、遊び、散歩のひっぱりは普通、という状態。

遊びは引っ張りっこ、ボール遊びなどで、遊びたいと吠えたり、手を甘噛みしてきた時に遊んでいました。しまいには、遊んでくれるまで吠え続けるようになりました。

7か月くらいになると、ごはんの時だけオスワリ、マテはするけれど、他の時は全くフセ、マテ、オスワリ、出来ず。呼び戻しも全く無視。しかることもありませんでした。

おやつは散歩に行く前に玄関でオスワリ、マテができた時、家を留守にする時、ハウスの中へ入れてあげる。散歩は朝5時過ぎに父が30分くらい。そこでオシッコとウンチ。夕方は母が40分~1時間くらい。

オシッコとウンチは家のシートでもできたが、訓練所から帰ってきてから悪化したためサークルから出せないことが増え、以前はクレートで寝ていたが、いまはサークルの中のトイレシートが寝床になってしまって排泄することがなくなりました。

9か月なって去勢をした頃から、エサの音がすると興奮し吠え、走り回る。いつもサークルの中でエサをあげるので、走り回った後サークルの中で待っている。

エサをあげる時の凶暴性が増し、1歳過ぎた頃に、食後の食器を片づけようとしていた、接点一番少ない娘に対し噛みつく。家族にたいしての噛みつきがエスカレートしそうなので、訓練所に相談。まずは1か月預けることに。

一週間に一回飼い主の私たちも勉強しに通う。チェーンリードを使い、指示語で訓練。リーダーウォークも。預けて一か月経つ頃には、明らかに訓練所の先生のいうことは利くが、飼い主の言うことはきかないことが明白に。

連れて帰ると、また元通りに。先生曰く、チェーンリードを使い厳しくと。毎日チェーンリードを使い、目を血走らせてるのを見て、疑問を感じずにいられませんでした。

朝は従順なのですが、夜になると凶暴化し目が合うだけで唸り、さらに近寄ると噛みつく。エサをあげた後のかたずけの時はやはりまた唸り吠え、かみつく勢いです。今ではサークルの外からあげています。とりあえず、オスワリ、マテ、ヨシであげていますが。

主従関係が逆転していることはわかっています、まずは何をしたらいいのか・・・アドバイスをお願いします。

一日のタイムスケジュール:

5時~散歩、オシッコ、ウンチ
家族の食事、見送りをして、7時~8時の間にエサ。
日によって変化はあるが9時~18時の間、普通は6時間くらい、最長で9時間の留守番になることも時々あり。
帰ってすぐにサークルから解放。
母が夕飯の支度後、散歩。
家族の食事終え、7時頃にエサ。
留守番以外は部屋で解放。
食事の時に欲しがり、テーブルに乗ってくることもあり、最近はハウスにいれていた。
家族が食べ終われば解放し、家族が寝る時にハウスするが、嫌がって唸ることが増えてきた。

以上です。よろしくお願いします。


返答内容
「夜だけ凶暴」というのが、少し珍しい症状です。

例えば、「日が暮れたと同時に・・」であれば、本能的・遺伝的要素がありますが、同じ夜でも「ご飯の後」とか「○時過ぎ」であれば、過去の嫌な記憶と結びついている可能性があります。

その時間帯にいじめられたり体罰を受けた事はなかったでしょうか。

もともとの怒りっぽかったり言う事を聞かなかった症状は、明らかにしつけ不足による主従関係の誤解ですが、そこにさらに別の要素が加わっているようにお見受けいたしました。

他には、眠い時間帯でイライラする犬もいます。

他には、ドッグトレーナーが夜に犬をクレートに入れる際や、夜の訓練所の環境に何か問題があったかもしれません。

もともと犬の祖先は夜行性が強いです。オオカミも夜行性が強いです。厳密に言いますと、犬のサイクルは人間のような24時間ではなく6時間から7時間です。時間の流れ方が人間よりも4倍から5倍くらい早く流れています。

だから昼間熟睡していることもありますし、夜中に起きて一人遊びしていることもあります。ですので、犬は昼夜両行性と言ってもいいかもしれません。

そして、犬の中には祖先のオオカミ的な特性を色濃く持っている個体もいます。また、遺伝的多様性から、みんな個性があります。(人間も同じ)

研究は進んでいませんが、もしかしたら、今回の犬はその夜行性の特性や遺伝的問題があって、夜に交感神経が高ぶったり、ホルモンバランスがそのように働いている可能性もゼロではないかもしれません。


さて、いずれにしても過去は取り戻せませんし遺伝子も変えられません。現状が収まらないとまともに犬と暮らせない状況ですので、悲観されないで、これからやれることをコツコツ続けていきましょう。

まずは、あせらないでご家族皆さんの意識改革から始められてください。

お気付きになられたように、犬は相手一人一人を見て感じて判断しています。表面上の手法の上塗りだけではすぐに犬は見抜きますし、伝わりません。

犬にとってみれば、今まで家族はチヤホヤしていたのに急にチョークリードでゴチャゴチャされても意味が分かりませんし、矛盾やギャップを感じて反発するだけになります。

ドッグトレーナーは最初の接触から一貫したので、「そういう相手」として犬が認めたのです。

人の意識は、無意識に態度・しぐさ・何気ない接し方で自然に出るモノなのです。犬は知能は低いですが、感覚が鋭いのです。人間の幼子もそうですが、鋭い感覚で本能的に判断しています。

飼い主さんに本当の根本の意識がないと、犬はその本能の感覚で見抜いてしまうのです。伝わらないのです。

反対に言えば、その意識がしっかり根付いている方は、自然と表現されて一貫され続けますので、犬はそれを毎日見て感じ続けて認めるようになるのです。

まずはそこを目指してください。避けて通ってはいけない、逃れられない道なのです。

かえって激変しないで、時間をかけてそういった面から変えていったほうが犬は適応しやすいです。

ただし、そうは言っても生活があります。犬と接触しないと世話できない部分もありますね。

まずは、リーダーウォークを続けてください。チョークリードは使わないでください。(しばらく使ってダメだったようですし)かえってその効果に頼ってしまって、犬との本当の関係が見えなくなって危険です。

そしてその前に、犬にリードを付けるのも怖いと思います。

ホームセンターに作業用の革手袋が500円くらいで売っていますので、それを買っていただきたいのと、腕輪も買っても良いですし、長袖の古着を切って使っても良いです。

とにかく、ビクビクしないで犬と接触できる防備を整えてください。人間の緊張興奮は、ホルモンバランス(体臭)の変化や脳波の変化で犬に伝播します。犬の緊張興奮をあおらないように、まず飼い主さんがリラックスされてください。


さて、準備を整えたらリーダーウォークですが、お話したように、しつけグッズの効果に頼るのではなく、ご自分の精神性を示すことを意識されてください。

察するに、お優しいご家族なのだと思いますが、犬の世界では通用しない日本人独特の優しさがあります。人間同士でも、先進国の人の優しさを後進国の人が理解できないこともあります。優しさを『弱さ』と見る人がいます。

ちょっと心が痛いですが、心を鬼にしてリーダーウォークをしてみてください。お優しい方は直ぐには鬼にはなれませんので、毎日本書とQ&Aサイトを熟読されることです。意識と知識が深まっていきます。

直ぐの結果を期待するから、悲しくて苦しくなります。犬からしてみれば、自分の優位性が消えていくことが面白くないのは自然な反応ですから、今回のようなケースでは時間はかかって当たり前なのです。

特にお優しいご家族が変わっていくには、時間は必要です。あきらめないで、コツコツ淡々と続けることです。犬のしつけは、犬との長い根競べでもあります。


また、防備をしっかりされて、リーダーウォークで少し変化が出てきたら、コング遊びもしてあげて、その中で仰向けにもチャンレンジしてみてください。

それと、ケージから犬を出す時は、遊びでも団らん時でも、必ずリードを犬に付けて飼い主さんが持っておく癖にされると良いです。(完全開放にしないこと)

暴走や噛みつきも防げますし、もし噛みつかれたり吠えられたりしたら、「シ!」の注意音と同時にリードをガツンと引き上げて注意しましょう。

そしてそのままリーダーウォークに移行し、主従関係を示します。


それと別件ですが、お写真を拝見しますと、サークル内が広すぎます。テリトリーが広いと、それを守るための神経も使います。権勢本能も刺激します。運動は散歩もあるし、メリハリ・時間を作って主導型のコング遊びをすれば良いだけです。普段の居場所に運動場は要りません。

お写真のケージの一面を外して、そこにクレートの出入り口を合体させて、出来た隙間は単品の柵で塞ぎましょう。

本書の写真のような4点セットにしてみてください。入れるトイレは壁付の方が良いでしょう。

トイレで寝る犬はわりと多いです。

トイレシートは吸水性が高いポリマー素材ですので、吸湿性もあって気持ち良いのです。さらにメッシュカバー付は湿気がこもらないで寝心地が良いのです。冬場はクレートハウスを好み、春以降の温かい日は、トイレの上が好きだったりします。

犬はもともと分厚い毛皮を着ていますし、皮下脂肪が厚いです。もう5月以降になったら、人間と同じ空間は犬には暑い環境だと思われてください。


さて、では上記のように進めてみてください。本書とQ&Aの熟読も皆さんで必ず続けてください。噛み癖が強くてご相談いただいた件の解説も、たくさん載せてあります。

それでは、これから頑張って続けていきましょう(^_^)


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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