犬のしつけがQ&Aで分かる!

頻繁に噛んだり唸ったりする犬のしつけ

質問内容
堀川様お世話になります。初めてメールさせて頂きます。

犬の問題:
■唸る(気に入らないことや恐怖?で頻繁に)
■噛む(主人は1度、仕事柄、手の怪我は困るので気を付けているせいもある。私は今日で3回目、内2回は少しの出血)

○1歳頃に散歩後に手足を拭くのを嫌がって唸りるようになり、3ヶ月後に手を持っていた主人の指を噛んだ(親指の爪が取れてしまうほど)。

それからは手足に触ろうとしたり、抱き上げようとすると唸るので殺菌液を付けたタオルの上を歩かせるようにしている。

○散歩などで身近な慣れている人(近所の人、私の両親、親戚)に会わせると尻尾を振って走って近づくが突然唸り、ダメと言っても止めない。

相手が1人の時は唸る事は殆どないが3人以上だと唸るような気がする。

○来客には基本的にゲージの中から唸る。

○最近は主人の帰宅時や眠い時?にゲージに近づくと姿勢を低くして唸り、時には歯を剥き出してくる。

○ゲージ越しに私に甘えるような感じで近づいてきたので撫でたら突然に手首を噛まれた。

※足拭き以外の唸りや噛みは今年の3月頃(1歳5ヶ月)から始まりました。

以前は入浴だけは泣き叫んで嫌がりましたが、それ以外は誰にも抱っこされて、人懐っこく、注射の時なども尻尾を振っていました。

■飛びつき
嬉しい時?や留守番後などはとにかく飛びついてきたりジャンプする。時々、興奮して?オシッコを漏らしながら唸る。

■マーキング
散歩前にトイレを済ませても何十回とマーキングしようと引っ張る。

■落ち着きがない、興奮し易いなど

今まで本やネットで調べたり、他のテキストも購入してきました。堀川様のテキストを実践して3ケ月程経ちますが、まだ余り効果が感じられずおります。(リーダーウォークは毎日、ひっくり返しは噛もうとするのでまだ数回しか出来ていません)

問題行動の原因として思い当たることは、幼く引き取り過ぎたこと(社会性の無さ、身体が弱かったことで神経質に扱っていたことと甘やかし)や上下関係の反転(食事、散歩、遊びなど犬が中心、優先)などです。

1歳半位までは問題を感じる事がなく、実家では私が生まれた時からずっと犬を飼っていて躾もそれほど難しいものと思っていなかったことや長年の願いが叶っての犬ということもあり躾が甘かったのかもしれません。

ですがこのままの状態では困るので頑張っていくつもりですが何かアドバイスして頂けることがあるでしょうか?

ちなみに今日は朝からゲージに近づいたら唸ったので(今まで朝から唸ったことはない)数時間経ってからドックフードを食器に数粒づつ入れていたらいい加減早くしろという感じで噛まれました。

宜しくお願いします。

柴犬1歳11ヶ月、オス。日本犬専門のブリーダーさんから生後46日で購入。
主人(男)サラリーマン40代、12時間
私(女)主婦40代、20時間位

①ボール、ぬいぐるみなどのおもちゃ、タオルなどでひっぱりっこ
(遊びたそうな時にお座りさせてから与える)

②食事、遊びの前にはお座り、マテ。
噛んではいけないものなどダメと言って取り上げる。聞かない時は首輪を持って叱る。

③1歳位まで(反抗してくる頃まで)は全てしていた
特にコーポの2階に住んでいた(1歳2ヶ月まで)ので散歩などの時はゲージから抱っこして連れ出すなど抱っこは頻繁にしていた。

④雨の日以外は1、2回
合わせて1時間程。基本、犬の行きたいようにしていた。

⑤6時起床、主人の出勤後7時から7時半まで私と散歩、8時に食事後午前中は寝たりしている。
それから17時くらいまでは私の都合で4畳程の広さのウッドデッキで30分位一緒に遊んだり2時間位犬だけ出しておく、以外はゲージで過ごす。
17時半の主人の帰宅に合わせて主人、私と30分前後散歩、週に2回位は行かない。
18時半から19時の間に食事、後はゲージで寝たりしている。

⑥1歳2ヶ月まではゲージの中でトイレをしていたが引っ越してからは朝(散歩前)ウッドデッキのトイレシートでさせている。

夕方は散歩中にウンチをしてしまったり食事後にウッドデッキでさせる。

基本的にはゲージの中で。
遊びとトイレはウッドデッキ。
ゲージとウッドデッキの出入りは繋がずお座りとマテ、ヨシで動かすが自由に行動はさせない。
雨の日は室内で遊ぶ。

右側奥がハウス(プラスチックダンボールで目隠ししています)、手作りのゲージで前の部分が開閉します。


返答内容
まず今回は、がっかりさせてしまうかもしれませんが、少し時間がかかることはご理解ください。

成長期の接し方のお間違いがあった場合は、それが基準値になっていますので、そこを変えていくにはかなり根気は必要です。犬も飼い主さんも、お互いに変わらないといけないからです。

でも変化を受け入れるのは簡単ではありません。時間はかかります。

短期間で結果を出すことは期待されないで、根本であるお二人の意識改革から始めていきましょう。

今回は、少し長い、犬との根競べになりますので、そのおつもりで頑張って続けていきましょう。


まず、現状になった原因から把握していきましょう。すでにお気付きになっておられる部分もございますが、大きく分けて二つ要因があります。

■親兄弟から引き離される時期が早すぎた

■飼い主さんの精神的背景から、犬が主従関係を誤解した

まず、今回の柴君は親兄弟から引き離されるのが早すぎました。本来ならば、45日はまだまだ勉強不足です。その辺からやっと本格的に親が子犬のしつけを始め、兄弟ゲンカも強くなっていきます。

その繰り返しで、最低でも2か月から3か月くらいかけて初期の社会化を果たしていきます。

しかし、ブリーダーもショップも利益効率優先で、ほとんどの事業者が動物愛護法の違反をしています。

45日で売るのと3か月で売るのとでは、コストは2倍以上になりますからね。

それと、親犬は子犬が早く居なくなればその分、早く次の発情期がきます。回転効率が良いのです。

もちろん、子犬もそれぞれ生まれ持った素性があります。同じ親犬から生まれた同じ性別の兄弟でも、性格が全然違ったりもします。犬種や性別で決めつけることは正当ではありません。

そして、今回の柴君も悪い犬なのではありません。生い立ちや育った環境がそうさせてしまったのです。

犬は犬の本能に従って、精一杯生きている結果なのです。

そして、過ぎたことはもう取り戻せませんので、悲観されないで、これからやるべき事を淡々と頑張っていけば良いのです。


さて、お気付きいただいているように、成長期に犬に主従関係を誤解させてしまった結果でもあります。

5か月くらいから反抗期が始まり、成犬としての本能がドンドン出てきます。7・8か月くらいでさらにそれが顕著になり、知能も上がってきます。

普通はその辺が一番大変なので、そこで気付いて躾も修正していくのですが、今回の柴君はもともと素性が良い子でそこまでいかなかったことが、かえって運悪く、気付くことが遅れてしまった・・・という結果になってしまいました。

そして、1歳過ぎてハッキリと問題が浮かび上がってきたわけです。

今回の柴君の素性が悪いのではありません。むしろ良い子だったから気付きにくかったわけです。

どんなに良い子でも、やっぱり犬は犬です。知能の限界もあります。生きていくための本能には逆らえないのです。犬も人間も、生存競争の中を生き残っていくための本能があります。その本能のもとで、素直に精一杯生きているだけなのです。

もちろん、私は人間であり大人の日本人ですので、お二人のお気持ちはよく分かります。

キツイ仕事を終えて帰ってくる・・癒しがほしい・・。子供さんがいらっしゃらないようですので、擬人化もしたくなります。気を付けていても、無意識にそうなります。ずっと犬を飼いたかったならばなおさらです。

そして、大人の日本人は少し特殊です。和の心、惻隠の情。相手に合せる器用さ。外国人にも理解できないことがあるほどです。

大人の日本人から見たら、「相手に合せられる良い人、優しい人」と映りますが、犬の本能には違って映ります。

「弱い相手、従属的な相手」としか見れないのです。だから外国人にも誤解を与えることが多々あります。

そして犬の知能では、家庭の事情など理解できません。「僕がかわいいから・・」などとも理解できません。

「弱い相手、従属的な相手」と見て、主従関係の誤解が定着していくのです。


以上の現実は、しっかり受け止めないといけません。

犬にいくら解説しても、理解できる知能はありません。知能の高い私達人間の大人が、犬の特性を理解し、犬に理解しやすいような接し方をしてあげなければいけないのです。

このマインドセットはとても重要です。お二人でしっかり心に刻んでください。

それが無いと、教材やメールで私がお話する内容が理解できないのです。吸収できないのです。


さて、それでは具体的に実践していただく内容です。

まず、犬の反応を誤解しないようにしましょう。

シッポを振ったり、ピョンピョンジャンプですが、嬉しいから・・とは限りません。

犬は怒っていてもシッポを振ります。ですので、要素は『興奮・緊張』なのです。

(恐怖による緊張の場合は、シッポをお腹にピッタリ付けます。柴犬は巻尾なので分かりにくい時もありますが)

ということで、犬からシッポを振られることを「あ~嬉しいんだ、自分のこと好きなんだ」とは思われない方が良いです。反対に言えば、犬が自分にシッポを振ってくれないことを悲観されることもありません。

またそして、そういう犬の反応に対して猫なで声でナデナデや大げさな反応は、犬の本能の視点からは従属的に映るのです。

リーダーらしく静かに堂々と、スワレ・マテの指示を出して、ポンポン褒めて落ち着けてあげてください。

今は噛み癖が強い段階ですので、無理に触らなくて良いです。

触る時は、背中のオシリ側のほうをポンポンする程度で良いです。

ただし、コング遊びの中に紛れて、いろんな部分をチョンチョン触って慣れさせていく練習はしましょう。慣れと主従関係の進捗を見ながら、少しずつ頭に近づけて行けば良いです。

それと、噛み癖が強い子は、上から近づいてくる手を嫌がりますので、犬の目線よりも低い位置から手を近づけると良いです。


犬との遊び方ですが、「タオルなどでひっぱりっこ」は良くありません。

人間と対面しての力比べですので、対抗心が強くなるのと、人の動きに過敏になって、噛み癖・引っ張り癖・興奮癖が強くなります。

遊び方は、主導型のコング遊びにしましょう。

今回は、コングはヒモ無しでいいので、犬にリードを付けて飼い主さんがそれを持った状態で遊びます。団らんの時もそうされてください。

これによって、常に主従関係を示せますし、犬に噛まれるのを制御したり、引き離したり注意することができます。

犬が噛んだり噛もうとした時は、「シ!」などの注意音と同時にリードをガツンと引き上げて注意します。そしてすぐにそのままリーダーウォークに移行して、主従関係を示しましょう。

今は噛み癖が強すぎて敏感なので、あお向けはしばらく待ってください。リーダーウォーク中心にします。


そして↓これは止めましょう。

>2時間位犬だけ出しておく・・

↑遊んだり団らんするために出す時は、犬にリードを付けて飼い主さんがそれを持った状態で、常に犬を主導する形を作ってください。それができない時は出さないことです。

犬の放し飼いは、テリトリーが広くなりますので、その分それを守るための神経も使い、権勢本能を刺激します。


お散歩の時のリーダーウォークも、厳しく一貫していきましょう。お二人でギャップや矛盾も作らないことです。接し方全体も、お二人で一貫します。

雨で散歩に行かない時は、最低でも30分以上は主導型のコング遊び、もしくは家の中でリーダーウォークです。

【その他】

>ゲージに近づいたら唸ったので数時間経ってからドックフードを食器に数粒づつ入れていたら・・

↑こういうことは、犬には意味が理解できず、また食べ物でコントロールする要素になりますので、されないようにしましょう。

こういう時は、いちいち相手にしないで毅然と無視するか、2・3分くらい厳しい態度でリーダーウォークして去ることです。


>殺菌液を付けたタオルの上を歩かせるように・・

↑これは正解です。今は無理に足拭きしない方が良いです。

そして、玄関からケージまでは、↓ペット移動用の肩掛けバッグに入れて肩に担いで移動すると良いです。

http://osiete-wanwan.com/p23.png

そうすれば、家の中は汚れなくて良いです。


>ゲージ越しに私に甘えるような感じで近づいてきたので撫でたら突然に手首を噛まれた・・

↑今は相手にしない方が良いです。

グルーミングやリードを付ける際や遊びなどでは(犬と接触する時は全て)、作業用の革手袋と長袖の古着や腕輪を着用しましょう。作業用の革手袋は、ホームセンターで500円くらいで買えます。


>入浴だけは泣き叫んで嫌がりましたが・・

↑今回は特に短毛種の柴犬なので、よほど泥汚れなどない限りは入浴は要りません。

移動用バッグに犬を入れ、高い台に乗せて、そこで蒸しタオルで拭いてブラッシングする程度で十分です。


では今日は以上ですが、しばらく精神的にきつい時期が続きます。犬も面白くないので反発しますが、それも自然な反応です。

お二人で本書と必ずQ&Aサイトも熟読していただき、知識と意識を深めてください。まだまだ精神的に強くならないといけませんし、知識も蓄えていただきたいです。

それでは、また頑張って続けていきましょう(^_^)


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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