気に入らないことがあると唸る本気で噛む犬のしつけ
早速拝読いたしました。我が家の愛犬について今後どのようにしたらよいのか、ご相談したくメールさせていただきました。
・1年前かなり泥酔した義理の兄(一緒に住んでいません)に絡まれ、マズルをつかみ脅された結果、義理の兄続いて母に本気噛み、その後、気に入らないことがあると唸るもしくは噛み癖。
特に一番優しい母にすべての感情を表す(母は70代です)
・非常に臆病で散歩にも行きたがらず、散歩で歩いているときはほぼ後ろに引っ張る、もしくは止まる。
・電車が怖くて線路渡るときは抱っこする。
・犬種:イングリッシュコッカースパニエル5歳メス。2か月のときにブリーダーさんから直接購入。
それ以前、過去に飼っていた犬4頭は庭飼い。前回飼っていたダルメシアンが父と散歩中突然走り出し幹線道路にて事故死。その後両親があまりにも落ち込んでいたのがいたたまれず、小さい犬ということでスプリンガーのメスを飼いはじめる。
父(80代)、母(70代)主婦 一日のうちで一番犬といる時間が長い。夕方5時以降に家に帰宅し犬に唸られる経験あり。
私(40代)午後8時帰宅の場合は夕食後犬と散歩(河川敷まで20分。河川敷で20分くらい離す:無人、無犬)週2,3回。
①過去のスキンシップ・遊び
→夜一緒に寝ているので朝起きるとベッドに寝ています。
朝ごはんのあとヨーグルト(無糖)の残りをちょっと歯磨きにつけて歯を磨いていましたが、最近唸って歯ブラシに噛みついたので歯ブラシをなめさせるようにしています。
その後リビングにあるバリケンにハウスやソファにアップ、お手など5分くらいオヤツを使って行います。夜帰ってきたら顔をなめて近づいてくるので全身を掻いてあげます。
犬のごはんは庭で母があげます。自分が外に出るときは母も一緒にくるように腕をひっかいて強要し、庭に出た母の腕にじゃれつづけるようです。
週末は2週間に1度体を庭で洗うついでにボール投げや体当たりで遊びます。
②どういうしつけ・ほめ方・しかり方
→とにかく気が弱いので唸る、噛もうとしたら手を隠し無視、目を合わせません。
庭で遊んだあと足を洗い拭く時もたまに唸るので、その時は雨戸を閉め5分くらい庭に一人にします。生肉などを咥えて唸る場合には、フェンスなど大きな音の出るものを蹴飛ばして逃げる間に生肉を取り戻します。
→褒めることが多いかもしれません。かわいいとか、いい子だとか言われると気持ちよさそうな顔をしています。ウンチを庭ですると褒めてもらえると思い、近寄ってきてウンチしたことをアピールします。
③オヤツ・抱っこ・なでなで・声かけ
→オヤツは父が会社から帰った時、父のごはんが終わったあと、母が何かで釣りたいときにあげています。食べ物に興味があまりないのか、ごはんを食べないことも多く、電車の線路近くで食べ物で釣って歩かせようとしても口から食べ物を出してしまいます。
→抱っこは線路渡るとき、家から外にでて怖いとき(カフェでお茶しているときなど)抱っこですが、家の中で抱っこしようとすると唸り嫌がります。以前はさかさまにして抱いておなか出して抱いていたのですが、それも唸り噛もうとするのでもうやっていません。今は背中の上からこちらがのしかかるくらいです。
→声かけも必要以上に多いかもしれません
④散歩
→前記したとおり60分、週2回ほどです。あとは庭を走り回っています。
⑤タイムスケジュール
7:00 起床
7:30 第1回朝ごはん(母は自分が外出中に戻れず犬がおなかすいたら困ると言ってごはんを2回に分けます)
8:00 私の朝食後にヨーグルト歯磨き、ハウストレーニングなど(バリケンの扉金物が嫌いで扉がない状態でないと入りません)
9:30 第2回朝ごはん
10時くらいまで母が家にいる場合は居間のソファー中心にリビング、庭すべて自由にふらふらしている
午後は一人でリビングにいることがおおいようです
4:00 両親帰宅 おやつをもらう
5:30 父夕食開始
6:00 犬夕食
6:30 母夕食
(母が夕食食べているときは外に出ようと母の腕に飛びつき大騒ぎするので母がご飯を中断し犬と外に出るそうです)
8:00 私帰宅
9:00-10:00 散歩
母の部屋で就寝し夜中に私の部屋に移動してくる
たまに夜中にトイレに行きたくなり母を起こし庭に出る
⑥ハウス・トイレ廻り
→家の中にトイレもフェンスもないです。
写真がリビングですがダイニングテーブル側から正面がソファ。ソファの右後ろに巨大なバリケンを置いています(扉閉まらないように固定)
2階の母の部屋、私の部屋に各1つづつベッドが置いてあります。
かなり長くなりましたがご指導のほどよろしくお願いいたします。
今回は、もちろん義理のお兄様も悪かったわけですが、ご家族の接し方と環境も良くない部分がありました。
こうなってしまう素地があったことは、認めて改善していかなくてはいけません。
○○ちゃんの素性はとても良い子なのです。だから現状で済んでいるわけですが、少し素性に問題がある子だったならば、もう生後数か月で手におえなくなっています。
良い出会いに感謝して、これから頑張っていきましょう。
ただし、5年間もの長い間についた習慣や感覚がありますので、激変してはいけません。
本当に低い階段を一段一段登らせるように、優しいレベルから徐々に展開してあげてください。
そして、ご家族も接し方を見直さなければいけませんので、ご両親、特にお母様がどうとらえるか、になります。
残る余生を好きにさせてほしいと思うでしょうし、5年間の思いからなかなか修正出来ないかもしれません。ダルちゃんの事故死も当然影響しています。
しかし率直に申し上げれば、現状は犬が女王様で、お母様が召使いになってしまっています。
お母様が意識を変えなければ犬も変わりません。
家族の誰かが犬のしつけをして完成・・という事は絶対にありません。
ご家族皆さんで正しく一貫するから、犬の中でそれが当たり前になって習慣になって理解できるのです。
誰かが違った接し方をすると、犬には矛盾になりギャップになり、理解できずイライラ反発することになります。
ではまず第一段階です。
犬を変える前に、ご家族皆さんが少しずつ意識改革していってください。
犬はどういう動物なのか、何をどう感じるのか・・
本書とQ&Aサイトを「ご家族皆さんで」熟読していただいてください。それだけでも変わっていきます。
環境ですが、犬の放し飼いは良くありません。
テリトリーが広ければ広い分、それを守るための神経も使います。自分を守ってくれるスペースがあることで安心できます。
そして、自分を守ってくれる頼れる存在がいないことも、臆病な犬にさせてしまっているのです。
良いバリケンがもうありますので、そこにゲージを合体させて、トイレを置いて、本書の4点セットにしましょう。
トイレも、夜中に起こされて庭に出る必要もなくなります。留守番時でもいつでもできます。犬の体の負担も減ります。
ただし、移行期間は長く取ってください。5年間もの長い習慣を急に切り変えるのは無理です。細かく段階を作ってあげましょう。
急に「ゲージに入れっぱなし」は無理ですので、毎日少しずつ入る練習です。
今日は1分、明日は2分・・・というふうに徐々に増やしていきましょう。
ゲージ内でコング遊びしても良いですし、ご自分が手を入れて誘って遊んでも良いです。ご飯もゲージ内で食べさせてください。
犬が入った瞬間、指差しジェスチャーと「ハウス」の指示音でポンポンポンで褒めてください。
最初は扉も閉めないで、まずは入ってみること・・・少しずつそこで長く居させること、を練習していきましょう。
運動も遊びも団らんも、飼い主さんが時間を作って主導の元でメリハリを持ってすれば良いのです。いずれは、普段はゲージ内で過ごさせるようにしてください。
そして、ゲージから出ている時間帯は、犬にリードを付けてそれを持って過ごすことです。(主従関係や呼び戻し・ハウスの指示行動がしっかりできるまでで良いです)
そうして過ごすことで、自然と犬を主導する形になりますので、主従関係作りに良いです。リードを付けて持って、団らんしたり主導型コング遊びをしてください。
そして、その中で時々一緒に歩いてみて、徐々にリーダーウォークに近づけていきましょう。
犬が唸ったり噛んだり吠えたりしたら、「シ!」などの注意音でリードをチョンと引き上げて注意しましょう。リーダーウォークでも仰向けでも良いです。
夜寝る時も、ゲージに犬を入れた場合は、そこのすぐそばでお布団を敷いて寝てください。そして、毎日少しずつお布団を離していき、隣りの部屋に移っても戸を開けておきます。慣れてきたら戸を少しずつ閉めていき、それにも慣れさせていきます。
トイレですが、いきなりゲージの中ではできません。
まずは今まで通りお庭でさせて、そこにトイレシートを持って行きましょう。
犬がオシッコ・ウンチをし始めたら、そこにサッとシートを敷いて、後半はシート上にさせます。
そしてその間、シートを指差しながらジェスチャーを見せ、チチチチなどの音と共にポンポンポンして褒めてください。
それを毎回毎日繰り返すことです。
定着してくると、シートを置いて指示音ジェスチャーで、犬がそこにするようになります。
それができたら、メッシュカバー付のトイレトレーにシートをセットして、次はそこにさせてみます。
そこで出来るようになったら、それをゲージ内に置いて、そこで指示音ジェスチャーでさせてみてください。
なかなか根気は要りますが、最終的にはゲージ内のトイレでするようになります。
そうなれば、もうガマンすることもなく、夜中でも留守番でもいつでも排泄できます。
オヤツは止めましょう。
好き嫌いを覚えてドッグフードを食べなくなる犬がいます。栄養のバランスも悪いです。そして、食べ物で釣って行動させてしまうことで、本当の犬との関係が見えなくなってしまうのです。これが一番怖いことなんです。
ジロジロ見つめて猫なで声でナデナデも止めましょう。
下位の犬は上位にすり寄ってナメナメ挨拶します。その従属的な挨拶と同じことを人間がしてしまっているのです。
オテでもスワレでも何でも良いので、何か犬に指示を出して行動させて、そこで褒めることです。指示で出来なければ型をこちらから作ってあげて指示音ジェスチャーで褒めてください。
褒める時も、リーダーらしく堂々と褒めてください。
甲高い声で大げさではなく、抑揚は付けつつも静かに堂々とすることです。良い型に指示音ジェスチャーを関連付けながら、犬の肩付近をポンポンポンして名前も呼んであげてください。(叱る時は絶対に名前は言わない)
>7:30 第1回朝ごはん、9:30 第2回朝ごはん・・
↑これは感覚が短すぎます。血糖値のバランスも悪いですし、消化器官にも負担です。成犬になったら、1日2回で良いです。朝・夕や、昼・晩などです。
>母の腕に飛びつき大騒ぎするので母がご飯を中断し犬と外に出る・・
↑この時も、リードを使って叱ったり、リーダーウォークをしてください。仰向けも良いです。無視で厳しい態度でしてください。
まずは皆さんで、本書とQ&Aを必ず熟読していただいて、家族会議でルールを決めて、お互い指摘し合いながら少しずつ修正していきましょう・・・