犬のしつけがQ&Aで分かる!

イタリアングレーハウンド犬が骨折したあとから噛むようになった

質問内容
お世話になります。よろしくお願いいたします。

■犬種:イタリアングレーハウンド
 年齢:4歳10ヶ月
 性別:オス
 飼い始めて4年8ヶ月

■家族:私本人(女)70代、娘(女)50代
■愛犬との同居時間:私 約20時間、娘 平日10時間、土日 12~13時間

「怒る」と「叱る」は違うと思うので、感情的に怒ることはしたくないと思っています。
叱ることが苦手だという自覚があるため、「誉めて」育てようと思い、そうしてきました。
しかし、ある日、何でもいいよ、いいよと許されて叱られることがないのは、ある意味残酷なことだ、と指摘され、目からうろこでした。

それ以来、少し厳しくするようにはなりましたが、主従関係が逆転しているのは今でも変わりありません。ダメダメ飼い主なのでカンペキなめられています。

噛みつかれたことは数知れず、そのたびに病院へ行き何週間も痛くて不自由で、人に聞かれてても「飼い犬に咬まれた」とは言えず。

日常はとても穏やかでおとなしく、寝ている時間がほとんどなのですが、いい子です。ただ、散歩に出ようとリードをつけようとすると、猛然となります。リードをつけようとしてその度に咬まれます。奥歯が物凄い犬歯ですので咬まれるとその傷は相当なものです。

「散歩」が嫌なわけではないと思うのですが、リードをつけようとするとその気配を察知してゲージにこもってしまうか、抵抗してくるか。歯をむき出して「う~」とうなり声をあげてこちらを睨みます。

朝の散歩は娘がします。娘がリードをつけても抵抗しません。

過去に2回骨折をしました。1回目は6ヵ月の時にソファーから落ちて骨折。2回目は2歳6ヶ月の時にお隣の方が抱き上げた瞬間に驚いて下に落ちてしまい、前回の時よりひどく、手術が必要と言われましたが、その手術も100%成功するとは保障できないと言われ、そんなリスクを抱えての手術はどうしても嫌でギブスにして頂きました。

奇跡的に骨はついて今では元気に、びっこをひくこともなく歩けるようになりました。

以前は散歩に行くよと言って、おやつを見せてリードをつけて、おやつをあげていました。しばらくして「おやつ」を見せても、来なくなり、ゲージにこもって1歩も出てこなくなってしまいました。

何度が挑戦する度に咬まれ、病院へ。傷が治らないうちにまた咬まれ、その繰り返しでした。

娘はおやつを使ったことは1度もないと言っています。

「おいで」といっても来ません。ごはんの時になると、私の顔を見てお座りしてまっています。

主従関係の逆転をなんとか修正し、リードをつけられるようになりたいと思っています。

追伸で補足:

過去の接し方について

①過去はどういうタイミングで、どういう「スキンシップ・遊び」をされてきましたか?

ボールもおもちゃも与えても興味を示しません。私も遊ばせ方をよくわかっていないもので、おもちゃを転がして置いておくだけでした。飼い始めて3ヶ月くらいの時は、私の膝の中で抱かれていました。娘が帰宅すると、払いのけて玄関へ飛んでいきます。

②過去はどういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?

ごはん、おやつをあげる時は、「ごはんよ」「おやつよ」と言って、私も喜んであげていました。留守をしているときは、ゲージの中で寝ています。帰宅して、「いい子だったね」と言っておやつをあげる。トイレ以外の場所でオシッコをしたときは「ダメ」と言って叱る。

③過去はオヤツ、抱っこ、猫なで声でナデナデなどされてきましたか?

抱っこはあまり好きではないようです。上記の様な行動で接しています。

④過去は散歩は何分、どんなやり方でしたか?

散歩は40~60分。マーキング、拾い食いをしながら。その度に叱りながら散歩。私の前をどんどん走っていく。私が引っ張られているように見えると思う。

⑤過去は一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?

朝、4:00頃、娘が散歩に連れていく。
5:00ごはん。
ごはんの後はゲージで寝ています。
8;00頃、起きてゲージから出てきて、リビングにいて、ベランダの外を眺めている。
9;30頃、私が外出するので「お留守番ね」と言って、おやつをあげてゲージに入れる。

昼15:00頃帰宅して、ゲージの中でおしっこ、うんちをしてしまっているときもあれば、していない時もある。トイレと言って、ゲージを開けても出てこないこともある。また、私が外出するのでゲージに入れて閉める。

16:00頃帰宅、散歩に出る。2年くらい前は、おやつをあげて、リードをつけていました。リードをつける時に抵抗するが、おやつにつられてつけさせていました。散歩に出てしまうと、散歩はすきなのでよく歩きます。

18;00頃、散歩から戻り、ごはん。
ごはんを食べたら、すぐゲージに入って寝ています。

21:00頃、娘が帰宅。玄関へ走っていく。
21:00頃 おしっこをして寝る。

⑥愛犬のハウス・トイレ周りの構成、放し飼い・つなぎ飼い環境など

ハウスとトイレは離れています。家の中では放しています。

⑦上記は、お母様とお嬢様、両方それぞれどんな接し方でしたでしょうか?

娘は叱るのが苦手だといい、「褒めて育てる」と決めたと言っております。はっきり言って、甘やかしすぎだと思います。

私はごはんを要求されても時間まで待たせますが、娘は、すぐにあげようとするので、言い争いになります。何度も咬まれたことからこわごわと接するようになってしまいました。

⑧お嬢様は犬に噛まれますか?要求吠えされますか?散歩で引っ張られますか?

過去に4回咬まれ、すぐに病院に行けなかったときは、腕まで腫れあがり大変なことになりかけました。イタグレの犬歯は物凄いので咬まれると奥が深く、治るまでに1か月近くかかり、その後も神経が痛いのが続きます。

最後に咬まれたのが4か月前ですが、それ以降は咬まれることはなくなったようです。要求吠えされます。散歩では引っ張られるというか走らせてあげようと思うらしく、娘も合わせて走ったりしているようです。

⑨イタグレ君は、散歩で他人や犬に攻撃的ですか?

まったく攻撃的ではありません。他のワンちゃんに対してむしろ引っ込み思案だと思います。ワンちゃんによっては近よっていきます。

人間(大人、中学生以上)には近寄っていきます。ただし、幼稚園児、小学校低学年の子供が嫌いで、必ず吠えます。病院とかで子供がいたりすると物凄い勢いで吠えます。

⑩噛むようになったのはいつくらいからですか?

3歳くらいからです。骨折をして4か月ケージから1歩も出ない生活をしていたせいかどうかは定かではないですが、治って歩けようになってから、その後だと思います。体の嫌な部分があるらしく、そこに触れてしまった時、リードをつけようとして抵抗した時に噛みつきます。

⑪リードを付ける時に激しく怒ったり体罰をしたことがありますか?

全くありません。

⑫散歩以外で首輪を触った時にも怒りますか?

怒ります。咬まれることを恐れ、こちらが引いてしまって触らないようにしてます。首輪はずっとつけたままです。


娘と私と一緒に接することがないので、それぞれのやり方でしていることが多く、それによって陸(名前)は混乱しているかもしれません。基本的なことは同じにしようね、と言っていますが、見ていないのでなんともわかりませんが、週末一緒に家にいる時は同じ態度で接してはいるつもりです。

週末の午後の散歩は娘にリードをつけてもらい、私が散歩に行きます。ですので、今は、平日は朝の散歩だけです。土日は、朝、夕と2回散歩に出ます。

散歩が1日1回になってしまったので、以前に比べ、筋肉が減ったように思います。以前は「いい筋肉している」と病院でも散歩の途中でも言われたものです。それども爪が伸びないくらい歩いてはいると思います。

飼い主と主従関係が逆転してしまっていると思います。

こんな状況ですが、なんとかいい関係に戻れるように指導してくださいまうよう、よろしくお願いいたします。


返答内容
追伸ありがとうございました。やはりお嬢様と犬も、関係が崩れていたんですね。そして接し方も、やはり問題がありました。

ただ、あまり自己嫌悪にならないでください。今回のイタグレ君は、ちょっと特殊な状況下にありました。

骨折がありましたので、その分家族としてもチヤホヤの接し方や世話をせざるをえない部分もありましたので、一概に責められません。また、骨折後しばらく、痛い場所を触られた時の、とっさの反応も癖になった可能性もあります。

人間は、ケガの犬を思ってそういう接し方をしますが、犬の知能にはそういう事情は理解が出来ませんので、本能で反応して主従関係が崩れただけになってしまいました。

でもあきらめないで、これから少しずつ変えていくことです。今までの長い習慣や関係がありましたので、激変してもパニックになったり反発するだけになります。

まずは飼い主さんの意識改革から始めて、少しずつ変えていきましょう。意識が変わると行動や態度も自然と変わっていきます。犬もそれを感じ取って変わっていきます。


一貫性を少し意識してみましょう。飼い主としては当たり前と思っていることも、犬には矛盾に感じることがあります。例えば、「普段放し飼いなのに、なぜか時々急に閉じ込められる」「普段チヤホヤしてくるのに急に訳も分からず叱られる」と、犬は感じます。

そういうギャップや、甘い基準値を作らないことです。

ケージ内での無駄吠えや破壊癖は無いようですが、普段は放し飼いよりもケージに居させた方が良いです。それならば寝る時や留守番時とのギャップがないので、ストレスは少なくて済みます。

放し飼いでも犬は一日中動いているわけではなく、結局は大抵まったりしていますので、同じことですし、散歩と遊びの時間がちゃんとあれば運動不足にもなりません。


普段の接し方や団らんですが、関係作りが出来るまでで良いですので、犬にリードを付けて持っておく癖にすると良いです。

犬の行動全体を自然と主導する形になりますので、関係作りに良いです。

犬に噛まれるのをビクビクしていると、その緊張が犬にも伝わってあおってしまいます。また、見下されることもあります。

犬に接する時は、腕輪と作業用の革手袋をして、リラックスできる準備をしておきましょう。ホームセンターに行くと500円くらいで売ってます。軍手などは意味が無いので、革手袋にしてください。腕輪も厚手の物が良いです。もしくは古着の長袖を着てください。

遊びですが、コングが良いです。普通のボールだと興味を示さない犬が多いですが、コングは不規則に動いたり跳ねるので犬の興味をそそります。また、さらにヒモを付けてチョコチョコ動かすと良いです。

とにかく犬の遊び・行動を主導することです。そして毅然さを保つことです。「主導性と毅然さ」を常に意識してください。

その遊びの中で、時々犬の体を触ってください。最初は足先をチョンと触るなど優しいレベルから始めて、慣れてきたら、わき腹やお尻や背中・首輪などをチョンチョンと触れていきます。

その中で犬が噛んだり唸ったりしたら、すかさずそのままリーダーウォークに移行してください。お部屋の中や廊下でも出来ます。

大事なことは、態度で「主導性と毅然さ」を犬に示すことです。形のキレイさは求めなくて良いです。犬を無視してズンズン歩く・止まる・曲がる・Uターン、で犬をリードしてください。

「叱る」という意識よりも、「主従関係を示す」ことを意識しましょう。基本的に犬は、自分の行動と叱られたことを結び付けて反省できる知能はありません。

「褒めて育てる」ことは正解なのですが、多くの人はチヤホヤとの区別が付いていないのです。正しいことをさせて(あるいは型を作ってあげて)褒めるのは大正解なのです。そして従属的に褒めないことです。

大げさに猫なで声でナデナデ・・というのは、犬の世界では従属的な挨拶そのものなのです。

また、オヤツで釣っても意味は無く、本当の関係がどれだけ出来ているのかが見えなくなってしまうだけなのです。栄養バランスも崩れますし、好き嫌いも覚えてドライフードを食べなくなる犬もいます。


お話戻りますが、特にトイレは叱ってはいけません。犬はただオシッコしたくてしただけですので、その行為が叱られたとしか理解できず、さらに隠れて粗相することになります。


>ごはんを要求されても時間まで待たせますが、娘は、すぐにあげようとする・・

↑犬の要求に合わせてはいけません。こういう時も、リーダーウォークで主従関係を示しましょう。犬の要求を聞いていると、際限がなくなり、どんどん主従関係は崩れていきます。


>幼稚園児、小学校低学年の子供が嫌い・・

↑子供はチョロチョロしてキャーキャー言いますので、犬にとっては怖い存在なのです。子犬の頃から一緒に過ごしたり会わせたりしないと、子供を怖がるようになる犬はけっこういます。

吠えたら「シ!」の注意音と同時に、リードをチョンと引き上げて注意してください。


では、参考になる事例はQ&Aサイトにもたくさん載せてありますので、熟読されてください。

そして絶対にお願いしたいことですが、必ずお嬢様にも本書とQ&Aサイトとサポートメールを熟読していただいて、お二人でルールを決めてください。

そして一貫できているか、お互いにチェックし合っていくことです。それが出来ないと犬にとっては単なる矛盾であり、理解できませんし、どちらかに攻撃してきたりもします。

続けていけば、犬もちゃんと変わっていけます。ただし、今回は長い根競べになる可能性もありますので、そのご覚悟はしておいてください・・・


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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