手術後から本気で噛むようになった4歳の犬のしつけ
初めてメールを送らせて頂きます。犬のしつけについて色々と調べ、堀川さんの興味深い体罰のないしつけ方に感銘を受けて書籍版を購入致しました。
メールを遅らせていただく前に、まず、本を何度も読み、今までのQ&Aを読ませて頂き、同じ様なお悩みを抱えていらっしゃる方がいることに少し安心し、また改善され、良い家族関係を築くチャンスがまだあることに大きな期待を持ちました。
私は40代主婦で、主人は50代、現在夫婦二人家族です。
犬はトイプードル4歳3か月の男の子で、生後4ヶ月位で我が家に来ました。犬を飼うことになった動機は、私と当時学生だった娘とここ○○県に引っ越してきて(私が再婚した為)新しい生活環境や学校へのストレスで疲れてしまっている娘の心の支えになるのではないかと思ったためです。娘は今は結婚準備の為、引っ越しているため一緒に生活はしていません。
犬が家に来て1年位になった時、レッグペルテスで手術を受けました。幸い、経過は良好で普通に走り回れる様になりました。この手術があってから、甘やかし過ぎてしまったのではないかと反省しています。
問題点ですが、噛みグセです。最初から甘噛みしていたのですが、ある時から抱っこして車に載せようとすると、威嚇する様に歯をむき出して怒るようになりました。
段々と怒る回数が頻度を増し、買い物カートから降ろす時に主人の手を本噛みし血だらけになることも。3キロ位のトイプードルですが凄まじい怒り方で、それ以来主人は自分から抱っこできなくなりました。
犬から抱っこをせがんでくる時以外は。私にも同様です。怒らせない様に布製のキャリーを持ち歩きながらの移動でした。お腹の調子が悪い時なども、お尻についたウンチのを綺麗にしようとしても怒って噛み付いて来ます。情けないのですが、動物病院の先生に事情を話して洗って頂いたこともあります。主人も私も、常に生キズが絶えない状況です。
以前はお散歩の時、「お散歩行くよ」と言うと、リードの下がっているところへ行って尻尾を振ってリードをつけさせてくれたのですが、昨年、リードをつけようとした私の手を本噛みして来ました。血だらけになった手の痛みより、どう接したら良いのか、何が悪いのか...本当に気が滅入ってしまい、この事が堀川先生の本を購入するきっかけとなりました。
どなたかのQ&Aで噛みぐせのひどい子にはリードを付けたままにしておいた方が良いという様なことが出ていたのを読み、空きを見て犬にリードを付けることに成功しました。負担の無い様に布製のやわらかいリードを見つけ、それをつけました。今は家の中でもずっと布製のリードを付けたままにしています。
①過去のスキンシップですが、ペットショップの方から手遊びは絶対にしないでくださいね...と言われていたのですが主人が全く守らず、好き勝手に手遊びしていました。あげてはいけないと言われていたのですが人間の食事も私が見ていないと上げてしまいます。
ボールや音の出る噛むおもちゃ、歯磨きガムのような骨状のもの(堀川先生のオススメされていた物です)などです。私も主人も仕事があるので、時間とかは決めず、時間ある時に遊んでいました。タオルで引っ張りっこなどもしていました。おもちゃはこちらから「○○タオル」と言うと持って来たり、また、ボールをくわえて犬が持ってくると遊んでいました。
②しつけ方...トイレが上手に出来たときは「良い子?」と頭をなでて褒めます。怒る時は「ダメ!」だけでなく「○○~!!」と名前を最初に大きな声で言って叱っていました。そして大嫌いな大きな音を立てて怖がらせてしまっていました。洗濯バサミのいっぱい付いた物干しの音や、鎖の音などです。
③おやつはドギーマンのやわらかい紗というオヤツが好きで与えていました。トイレが成功した時、噛んではいけない物を取り上げる時、気を引くために与えたりもしました。ご飯をあまり食べない時もあげていました。ササミなどもあげていました。抱っこは、猫なで声で足に飛びついて来て抱っこをせがんだりします。この時は怒らないです。
④&⑤散歩...私の仕事が不規則なので、毎日は行けず、お休みの日は昼間近くの公園で走り回ったり出来ますが、それ以外は夕方のお散歩です。グイグイ引っ張られるので、堀川先生のほんを読んでからはリードを短く持って、私より前にでない様に少しずつ慣れさせてます。
それまでは犬が主導権を握っていて、行きたい方向に行かせ、臭いを嗅ぎたい所で止まって...そんな感じでした。家の中でリーダーウォーク練習しようとすると、止まってしまい、唸って怒ります。ご飯は以前はいつでも食べれる様に入れたままにしてありました。今は固形のフード朝と夜の2回、オヤツゼロです。セレクトバランスというフードです。
⑥ハウスですが、以前は2階が生活空間のリビングなのでそこで放し飼い、オシッコもあちこちにそそうします。寝る所もソファーの上だったり、カーペットの上だったり...。
今は、ケージから飛び出してしまうのででない様に天井を塞いで、ケージの中は寝る空間、ケージの外にホームセンターで購入したフェンスを結束バンドでくっつけて広げ、トイレとごはんの場所を作りました。人がいない時は基本、ケージの中に入れてます。夜は「おやすみ」というと、う?と怒りながら自分の家に入って行って寝ます。添付した写真です。
今もリードを付けたままにしてますので、来客の時も飛びつかない様に出来ています。また「ハウス」と言うと「う~」と唸りながらハウスに入って行きます。
以前はお散歩から帰ったら、バスルームで脚を洗ってからオヤツをあげていましたが、今はバスルームに行くのも怒るのでなかなかお散歩にも行けていません。食事も犬が静かになる様にいつも最初にあげていて、それからにんげんが食べると言った感じでした。堀川先生の本を読んで、主従関係が逆転してしまったのかも・・・と思っています。
大変長いメールで申し訳ありません。少しでも犬と家族と良い関係を築ける様に努力したいと思います。主人にも協力してもらうよう話しました。本当にダメダメな親ですがどんな些細なことでも改善をして行きたいと思います。そして犬が安心して過ごせる様にしてあげたいと。ご指導をよろしくお願いします。
もともとは今回のトイプードル君は素性は良い子なんです。
1歳過ぎて手術後に問題が出てきたということですが、本当に素性に問題がある犬は、もう生後半年くらいで手におえなくなっています。
ただ心配なのは、血が出るほどの本気噛みなのと、お写真を拝見した犬の表情です。
もちろん、カメラを向けられて驚いたのかもしれませんが、それにしても犬の表情がとても硬くて、怒りと威圧感に満ちています。少し心配です。
そこで原因は3つ考えられます。
①手術の恐怖と痛みが記憶に残った
②動物病院の扱い方が悪かった
③飼い主さんのしつけ方が悪かった(甘やかして主従関係を勘違いさせてしまった)
今回の一番大きな要素は①です。
犬の知能では、「なぜ自分が知らない場所に連れて行かれて痛い思いや怖い思いをしなければいけないのか」、という事情は、まったく理解できません。
そのストレス体験から、記憶が染み付き防衛反応が過敏になるのです。
また、麻酔前に犬の扱いが悪い獣医師やスタッフもいます。それも記憶に残り反応が過敏になる原因です。
そして、手術後(あるいは病気)の犬を可愛そうに思い、犬を甘やかしてしまうのです。もちろん、そうしたくなるのは人間としての自然な感情なのですが、そういった人間側の事情は犬の知能では理解ができません。犬の本能で冷淡に反応するだけになります。
犬の手術や病気後に問題行動を起こすようになるケースは、意外と多いです。
また、手術以前の接し方にも問題があって、それが手術後の接し方で決定的になり、主従関係がハッキリ崩れたかもしれません。
特に今回は、お嬢さんの転居・転校、そして一人っ子でしたから、余計に寂しさもあって、犬を溺愛したはずです。そういった事情も、犬の知能では理解できませんので、主従関係が崩れる原因になります。
その他には、お嬢さんかご主人が、奥様の知らない所で犬に体罰や威嚇的な怒り方をした可能性もあります。意図的でなくても、犬が手術後噛むようになってとっさに反応してそうしてしまった可能性もあります。それでさらに犬は過剰反応するようになります。「実は他の家族が・・・」というケースも実際に時々あります。
>噛みぐせのひどい子にはリードを付けたままにしておいた方が良い・・
↑これは、犬をどこかに縛り付けておくのが良い・・ということではありません。犬に付けたリードを飼い主さんが持って、犬の行動を主導して主従関係を示すことが良いのです。
また、噛まれないようにリードで制御できますし、噛まれた時は「シ!」などの注意音と同時にリードをチョンと引き上げてすぐに教えられます。
そして、あえて手を犬に見せて噛みたくなるような状況を作って、何度も反復練習しましょう。見せるだけでなく、犬の身体を触っても良いです。
ケガ防止と、リラックスして行うために、作業用の革手袋を準備します。ホームセンターで500円くらいで売ってます。それと、古着と靴下を重ね着してスリッパも履きます。
犬に手を見せたり体を触って、犬が噛みついたり噛もうとしたら、「シ!」などの注意音と同時にリードをチョンと引き上げて教えます。
そしてまた手を見せて噛んだら再度「シ!」などの注意音と同時に・・・
これを何度も繰り返してください。手を見せて噛まない時は、名前を呼びながらポンポンポンして褒めてあげてください。そこで噛んだらまた注意・・・です。褒める時は名前も言っていただきたいですが、叱る時は絶対に犬の名前を言ってはいけません。
それと、オヤツも止めましょう。釣って行動させてしまうことで、犬との本当の関係が見えなくなってしまいます。とても危険なことです。
さて、以上は直接の教え方ですが、それ以上に重要なのが関係作りです。
むしろ、主従関係がないところに調教的なしつけ方をしてしまうと、犬のストレスがさらに増して悪循環になってしまいます。
教えられて言うことを聞きたくなる関係、褒められて嬉しい関係、叱られて気まずくなる関係が土台としてないと、全く意味がありません。
そこで、先ほどお話しましたように、犬をケージから出している時間帯は、犬にリードを付けて飼い主さんが持っておくようにしましょう。その体勢で団らんしたり遊んだりします。
そしてその遊びの中で、リーダーウォークも少しずつ混ぜ込んでいってください。今はまだ仰向けは怖くて出来ないかもしれませんが、リーダーウォークを続けて変化が出てきたら、防備をして仰向けもチャレンジしてみてください。
そしてその前に、毎日毎日ご主人とお二人で、本書とQ&Aサイト全体を熟読されてください。
犬のしつけの根本の根本は、飼い主さんの意識改革なのです。教材を読み込むことで、少しずつ変わっていけます。飼い主さんの意識が変わると、自然と接し方や態度が変わっていきます。それを犬はちゃんと感じ取っていき、一貫することで認めるようになっていくのです。
その土台がなく表面的な調教テクニックだけ使っても、犬は見抜きます。矛盾に苦しんで反発します。
ただし今回は、今までの長い習慣や関係もありますので、激変しないことです。
例えば、犬をケージに居させる時間も、今日は1分、明日は2分を2回・・・などのように、毎日少しずつ増やしていきながら適応させていくことです。
また、犬のしつけが本格的に始まれば、犬も面白くないので反発することもあるでしょう。
三歩進んで二歩下がることもありますが、一喜一憂されないで、やるべき事を淡々と続けていくことです。
それでは、これから頑張って続けていきましょう(^_^)
早速お返事いただきまして、ありがとうございました。内容は十分わかります。
コングで私が遊んでいるところを見せるようにします。家の中でもリーダーwalkしていますが、座って動かなくなります。後ろに歩くことをやってみます。
今日は帰宅したら夫が散歩をすませて、一緒に居間にいました。「おいで」と声をかけましたが、来ないので、リードを引き、引き寄せようとしたら、すぐにウーと唸りました。リードを持って歩こうとしても、まったく動かなかったです。夫が引きずるように他の部屋まで連れて行き、もどったらハウスに自分から入って当分出てきませんでした。
しばらくして出てきました。夕食後、夫がエサをやり、おすわり、まてなどさせていました。
あまり急な変化も無理とのことですので、出来ることから、安全第一でやってみます。
質問:
①ゲージに入れるのは、もう少し様子を見てからでいいでしょうか?
②ゲージの用意ができるまで、リードをどこかにつないでおくほうがいいですか?
③留守番の間、骨ガムを与えるのはよいことですか?
またしばらくしましたら報告するのでアドバイスお願いします。
①ご飯をケージ内で食べさせたり、コングをケージ内に転がして遊んでも良いです。そんなふうに簡単なところから始めてください。
それと前回お話したように、いきなり入れっぱなしにしないで、ケージ内に居る時間を計画的に毎日ちょっとずつ増やしていけば良いです。
②飼い主さんの時間がある時は、そのリードをご自分で持っていてください。噛まれないように制御もできますし、噛まれた時に「シ!」などの注意音でリードをチョンと引き上げて教えることもできます。
時間が無い時は、どこかにつないでいても良いですが、なるべく早くケージ&クレートハウスを準備されてください。
③破壊癖が無ければ与えなくても良いですが、発散も必要ですので、それで発散して変化は出るかもしれません。
(その他)
リーダーウォークした時に犬が座って動かなくなる場合ですが、前回お話した「バックして歩く」の他にも、「犬が動かないこと」を利用してマテを教えるのも良いです。
動ない犬に対して、マテの指示音ジェスチャーを出して、褒めます。
そして、そのままずっとマテの指示を出し続けていると、今度は犬が動きたくなってソワソワしてきますので、そのタイミングでコイやツケの指示音ジェスチャーと同時にチョンとリードで誘導してあげて動かすのも良いです。
そうやって、犬が反発した行動や自然とやっている行動を利用して教えてしまうのも一つの手です。(これも本書やQ&Aで解説済みです)
それでは、頑張って続けてください(^_^)
堀川さん、お返事ありがとうございます。今日は、散歩に連れて行こうと、2階から抱いて1階に下りるときに、ウーとなり始め、階段を下りて、床に降ろしたとたんに、吠えて私の足に抱きつく感じになりました。
噛みはしませんが、ウーと怖い顔で私を見上げています。これまで、こう言うときは黙ってそっぽをむき、無視してきました。今は、リードをしているので、一呼吸おいて、リードを持ち、「散歩」と言ったらその気になってついてきました。
今日のリーダーウォークは公園を行ったり来たり。わりと出来ました。
エサの時の「まて」はできます。ハウスの前でエサをやりますが、そこで「まて」と指示して、台所まで取りに行き戻るまで5,6秒ですが、動かず待っています。「○○、いい子」と声をかけ「見て」と言って私の目を見させて数秒、「よし」というと食べます。
今日の質問:
①犬は2階から1階に下りることが出来ません。始めの1段が怖いみたいです。真ん中で一度曲がる階段です。曲がり角から先は下りれたこともあります。
エサで釣るのはダメとわかっていますが、階段を抱いて降ろすときは手袋をした上で、手袋にえさをひとつまみ載せて、エサに気を取られている間に抱き上げて運んでいます。
犬が自分で下りる方がいいのでしょうか?
運動能力からしたら、一度覚えれば下りられる様になると思います。トイプードルですが、結構大きくてしっかりした体です。
②うーっと唸ったときに何か言った方がいいですか?
凄く怖い顔なので、なんか言う気も起きなくて、そっぽを向き、無視しています。
毎日質問してもいい、とのことでお言葉に甘えます。お返事は夫も読んでくれていますので、よろしくお願いします。
>私の足に抱きつく感じになりました・・
↑これはマウンティングという行為です。性的な意味ではなく、相手への支配欲の表現です。スワレの指示音ジェスチャーを出しながら、リードか首輪をつかんでチョンと引き離して、スワレの型を作ってあげて褒めてください。
①一石二鳥になるのが、犬の移動用バッグです。
http://osiete-wanwan.com/p23.png
↑我が家のはこんな感じですが、デザインは色々です。最近は、ホームセンターでも安く売ってます。
メリットは色々ありますが、犬を抱かないで済むので、主従関係の誤解もさせませんし、家の中と飼い主さんが汚れなくて良いです。外の散歩から帰れば、足などが汚れている時がありますが、バッグの底にタオルを置いて犬を入れて運べば、家の中も汚れませんし、ある程度足も拭けますので、そのままケージの入口で降ろして犬をケージに入れます。
そして車での移動時も、バッグがあると重宝します。また、犬が年を取った晩年も、そういう物が必要になります。
しつけ方(教え方)としては、犬を抱き上げてバッグに入れた時に、「コッチ」や「バッグ」などの指示音と指差しジェスチャーで褒めます。繰り返していくと、バッグの中を指差して指示音を出すだけで犬が自分から入っていくようになります。
あとは、褒めてバッグを肩に担いで移動するだけです。
②その時の状況と、しつけの進捗状況によって変えましょう。
例えば、たまたま犬のそばを通りかかった時に犬が唸った場合は、そのまま無視して目も合わせないでください。
いっぽう、犬と遊んだり接触している時は、犬が唸った瞬間に「シ!」の注意音を出しながら、リーダーウォークしてください。それを続けて噛み癖が無くなってきたら、仰向けにもチャレンジしてください。主従関係をビシッと示さないといけません。
さて、お話を拝見する限り、少しずつ進歩していますね。犬が飼い主さんの変化を感じているだけでも良いことです。
もちろん、先日もお話しましたように、犬からしてみれば今までの自分の優位性が消えていくわけですので、当然面白くありませんから、反発もあります。それも自然なことです。
そして、しつけが上手く進むとつい気が緩んでスキが生まれてしまい、そこでまた犬が豹変して噛み付いてくることがあります。
しばらく根競べになりますので、短期的な結果は一切気にされないで、このまま淡々と続けてください。まだしばらくは、うっかり素手で気軽に触らないことです。
それでは、また頑張って続けてください(^_^)