犬のしつけがQ&Aで分かる!

保護犬のしつけ飼い方・接し方(そこに子犬が仲間入り)

質問内容ご相談ですが、当方現在2頭のわんちゃんを飼っています。

1頭は保健所から引き取ってきた、柴犬(若しくは芝系ミックス)♀です。推定年齢6歳くらい(獣医さんが歯の感じからその位と言ってました)(現在外飼いです)

もう1頭は生後4か月の柴犬♀です。(現在室内にいますが、将来的には外飼いにしようと思っています)

ご相談は、まず保護犬のことですが・・・
リーダーウオーク、あお向け固めを実践しようと努力しているのですが、なかなかうまくいきません。

リーダーウオーク:
常に引っ張り続け、リードを弛ませて歩くこと自体が困難な状態です。おそらく自分がリーダーだと思っているのでしょう、常に「人より前」を、引っ張りながら歩くのが当たり前で、引っ張ったといって方向変換するとすぐに前に出て引っ張る始める。また方向変換。前に出て・・・の繰り返しになってしまいます。

また、あお向け固めも難しいです。保健所から引き取ってきた当初はなかなか人を信用していないようで、しかもとっても臆病。1か月経ってようやく慣れてくると、今度はめちゃくちゃ甘えん坊になりました。

そんなことも影響しているのでしょうか、「あお向け」にしようとするとめちゃくちゃ暴れます。前足を持ち上げ後ろ足を払ってポテってなった次の瞬間体をひねって抑えさせてくれません。

日にちを開けて挑みましたがやはりダメ。それではと、抱き上げておなかを上に向け地面に卸して抑え込もうとしてみましたが、抱き上げた状態から姿勢を低くしただけで猛反発です。

時間をかけて少しづつならしていくしかないとは思いますが、なにかアドバイスがありましたらお願いします。

もう1点、ご相談させてください。

保護犬と子犬、なかなか仲良くなりません。
2頭を近づけると、子犬は立ち上がって両前足を高く掲げて「ファイティングポーズ」。保護犬も頭を下げて軽いうなり声。

ドックランに2頭を連れて行ったら、大ゲンカ状態。体格差もあり、保護犬が上になって子犬を抑え込み、勝負あり。上下関係ができれば大丈夫かと思いましたが、しばらくするとまた同じことの繰り返しです。

なにかいい方法はないでしょうか?

①過去はどういうタイミングで、どういう「スキンシップ」をされてきましたか?
朝・夕方、仕事前と仕事後に「声がけ」&「なでなで」

②過去はどういうタイミングで、どういう「遊び」をされてきましたか?
土日を中心にドックランで鬼ごっこ状態が主

③過去はどういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?
エサで釣ってました。お散歩中の拾い食いなどは気が付いたときに口を押えて叱っていました。

④過去はオヤツ、抱っこ、ナデナデ、声かけなどされてきましたか?
頻繁にしていました。

⑤過去は散歩は何分、どんなやり方でしたか?
1日2回、朝と夜にいくつかのコースから自分が選んでいきました。基本、保護犬が引っ張り、後をついていきながらコースに誘導する感じでした。

⑥過去は一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?
朝5時半~6時半 お散歩
お散歩後 エサ&水
出勤前 声がけ(なでなで)
(天気の良い休日は、午前か午後半日の間にドックラン、公園、畑等に連れていき、遊ぶ)
帰宅時 声がけ(なでなで)
30分くらい休んでから(6時~9時。日によって異なる) お散歩
お散歩後 エサ&水
その後なでなでしておやすみなさい。

みたいな感じです。

⑦保護された経緯
市内をさまよっているところを保護したそうです。保健所の保護期間ギリギリのところで縁あって引き取りました。

保護犬を引き取って2か月くらいしたころ、動物愛護センターのドックランへ行った際に、そちらの職員さんから、多分前の飼い主と思われる情報をいただきましたが、そのお話によると、「犬(多分保護犬)が逃げてしまったので、別の子犬を飼ったが、その子犬も逃げてしまったので(その子犬を)探しに来た」のだそうで、最初の犬がいなくなった時期と保護された時期が重なり、保護された地域も近く特徴も一致しているそうです。

引き取る以前の飼い方などはわかりませんが、保健所にいたころは、担当職員さん位にしか近よらず、これまでにも犬が欲しいと見に来た方もいましたが、なかなか懐きそうにないと皆引き取るのを断っていたそうです。

以前どのような飼い方をしていたかはわかりませんので、引き取った当初の保護犬の様子を書きます。最初の2、3日は、近づくとチェーンいっぱいまで後ずさり、撫でることもできないくらいでした。エサもほとんど食べてくれませんでした。(水は飲んでいました)その後、ドライフード、生タイプ、それを混ぜたもののど、いろいろ試しているうちに、私たちが姿を隠すと少しづつ食べるようになりました。

最初のうちはおびえていた保護犬ですが、自分が何もしないで(おいでとかもしないで)、小屋の側に立っていると、自分の後ろから近づくようになり、そのうちに怖くないと理解したのか、正面から寄ってくるようになり、甘えてくるようになりました。ここまでに1月位かかりました。

ちなみに、現在では私と妻の2人には甘えてきますが、同居している両親に対してはまだ警戒心を解いていないようです。(子供はいません)また、物音には過敏で、予想外の音がするとおびえてで小屋に逃げ込みます。

・愛犬のハウス周りの構成、環境など
犬小屋は私が1×4材で自作しました。寒くなってきましたので、今後中に断熱材を入れ、入り口も加工する予定です。写真添付します。トイレはお散歩のときに、うちの畑などでし、排泄物はたい肥と合わせて畑の栄養にしています。

・ケージ、ハウス、トイレの写真などありましたらファイル添付ください
⑧外飼いは、直接鎖などでつながれているのでしょうか?
鎖に直接つないでいます。

以上、長文となりましたが、ご参考になればと思います。
写真については、ZIP形式で圧縮して添付いたしますので、ご確認ください。

それでは、よろしくお願いします。

 

返答内容

保護犬ちゃんの素性はとても良い子です。前の飼い主さんからも愛情はちゃんともらっていて、虐待も受けていなかったと思います。

ただ、主従関係はしっかりできていなかったと思います。例えば首輪が外れたとしても、本当に居心地が良くて家族に対して群れの認識がしっかりできていれば、遠くまでは行かず家の周りをウロウロするものです。

怖がりになったのは、少しの間放浪したことと、保健所の人に捕まったことです。

よく、保護された犬は怖がりで臆病だったり吠える印象を受けますが、それはその犬の素性が悪いのではなく、知らない人(保健所の人)に強引に捕まえられることと、慣れない環境下で過ごすストレスが原因です。

放浪すれば、迷い込んだ家の住人から追い払われたり、自動車にひかれそうになったり怖い思いもします。

家に来てしばらく怖がりだったのは、そういった影響です。犬は人間のような表情がないので分かりにくいですが、新しい環境ではとてもストレスになっています。引っ越ししてから吠えるようになった・・というケースが非常に多いのはそのためです。

ですが、幸いにして保護犬ちゃんの素性が良く、以前の飼い主も虐待していなかったので、わりと早くなじんだと思います。もっと年齢が低くて知能がまだ高くない若犬や子犬ならもっと早くなじむのですが、素性が難しい犬だったりつらい経験を多くした犬はもっと時間がかかります。慣れるまでに半年・1年かかる犬もいます。

さて、現状はもうかなり慣れていますので、これからはしっかり主従関係を作っていきましょう。今までのことは反省されなくても良いです。

ゴハンも食べない・・近づくことも出来ない・・という状況下なら、気遣いもしながら慣れさせないといけません。それで良かったです。

これからの事ですが、まず態度はしっかり変えていきましょう。あお向けやリーダーウォークうんぬんというのは、あくまでそれを補完するための一つの手法にすぎないのです。

普段の何気ない接し方全体が全ての基盤になります。それがしっかりできていないと、手法だけ上塗りしても崩れます。

お子様がいらっしゃらないご夫婦ならば、犬を溺愛したくなるのは当然です。しかし、犬にはそういった背景を理解できる知能はありません。犬の本能の視点で感じて、主従関係を誤解していくだけ・・になってしまいます。

もちろんこれは、メルちゃんにも同じことが言えます。将来外飼いにされるのであれば、なおさらです。チヤホヤを癖にしてしまうと、外に出した時に「入れろ!」の要求吠えに悩むことになります。

そして、保護犬ちゃんですが、外飼いの難しさも影響しています。本来は、外飼いは心身ともに一定の距離感があるので、わりと主従関係も保ちやすいのですが、飼い主さんが犬を溺愛している場合、「外でさみしいだろう・・」という余計な気遣いが加わって、かえってチヤホヤ意味の無い接し方をしてしまいがちです。

家の中にいれば、常に目も届くのでお互い満足感もあり、あえてベタベタしなくても済むのですが、「普段外飼いで寂しい思いをさせているから」という理由で、チヤホヤしたくなるものです。それは気を付けないといけません。

それと、本来は「外飼い」「ケージがなく鎖での直接の繋ぎ飼い」は、犬にとってかなりのストレスになっています。「敵は侵入できる・でも自分は逃げられない」という状況ですし、音も臭いもストレートに伝わってきます。過敏になって当然です。

また、将来的なお話ですが、二頭で鎖で・・となると、からまったりして危険性も高いです。できれば、二頭室内飼いか、外飼いでも二頭分を柵で囲って鎖には繋がない・・というものが望ましいです。

さて、しつけのお話に戻りますが、申し上げた通り大前提は普段の何気ない接し方になります。接することが悪いのではなく、「毅然さと主導性」を意識することです。

オテでもスワレでも何でも良いので、何か指示を出し行動させ褒めることです。指示で出来なければ型を作ってあげて褒めて教えれば良いです。

猫なで声でナデナデはいけません。犬の本能には従属的に映ります。指示音ジェスチャーと関連付けながらポンポンポンで毅然と褒めてあげます。

オヤツもいけません。栄養バランスも崩れますし、食べ物の好き嫌いも覚えます。そして、オヤツで釣って行動させてしまうと、関係作りがどれだけ出来ているのかが見えなくなってしまうのです。これが最も怖いことです。

仰向けはしばらく無理しないでください。保健所に捕まった時の恐怖はまだ残っています。そして、リーダーウォーク中心になりますが、これも強引な切り返しや強い引っ張りはしないで、ご自分の態度をしっかり示すことです。

例えば、止まって短く持って反対をジッと見て無視・・少し歩く・・また止まって短く持って反対をジッと見て無視・・そんなところから始めても良いです。

外は興奮の要素が強いので、家の敷地内でたっぷりやりましょう。また、主導型のコング遊びもそこでやってください。リードを付けて持ったまま遊べば、自然に主導性も発揮できます。

いずれ慣れを見ながら、遊びの中で一瞬ひっくり返してすぐ褒めてすぐ解放・・をやってみてください。おそらく6年間の生涯で仰向けになった経験がないかもしれませんし、まだ保健所に捕まった時の恐怖がよみがえることもあります。しばらく結果は求めないでください。

まずは、飼い主さんの意識改革です。意識がしっかり固まってくると、自然と態度やしぐさなど接し方全体に表現されます。犬はそれをちゃんと感じ取ります。手法の上塗りではなく、自然な表現が大事です。

自然にできるようになるまで、毎日毎日意識して続けることです。必ず変わっていきます。

保護犬ちゃん・子犬ちゃん二頭の関係は、その後です。保護犬ちゃんが勘違いしている状況下では何も変わりません。二頭それぞれと、飼い主さんがしっかり主従関係を作ってください。

それが出来れば、ケンカの仲裁も機能します。群れとしてのコントロールも出来るようになります。

子犬ちゃんもまだまだ大変です。少なくとも1歳までは大変です。もうすぐ反抗期に入りますので、かえって子犬ちゃんの方が大変になるかもしれませんね(笑い)

しばらくは、二頭とも期待しないことです。やるべき事を毅然と淡々と続けられるかどうか・・飼い主さん側の問題です。犬はただ単に、その環境に本能で適応しているにすぎないのです・・・

 

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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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