犬のしつけがQ&Aで分かる!

保護されたスピッツのしつけ

m1.png我が家の犬は、スピッツのオス、4歳、去勢済み1匹です。処分される犬を引き取り保護する「ちばわん」から譲り受けました。ブリーダーの不適切な多頭飼育から9/10頃保護され、9/25に我が家にきました。

保護されたときは、殆ど人間と接したことはなく、15頭の群れで暮らしていたようです。我が家にきた時はおとなしかったのですが、1週間を過ぎた頃、私以外の家族に、威嚇でうなったり、噛んだりするようになりました。
 
まずは、リーダーウォークから始めようと思うのですが、スピッツは散歩の経験が殆どなく、リードをつけても、座りこむだけで、歩こうとせず、引っ張ってくれません。家の中なら、多少歩いてくれるのですが・・・
こんな場合は、どうすべきでしょうか?家の中で、少しの時間でも行えば効果があるのでしょうか?お教えください。
ちなみに、噛む可能性があるので、あおむけ固めはまだしてません。
 
家族は私(夫)44才、妻43才、息子は9才の3人です。妻と息子は犬の飼育経験なし、私はありです。
共働きのため、平日に犬と接する時間は、4~5時間位です。土日は休みなので、もっと長く時間がとれます、
 
過去の人との接し方は不明です。ブリーダーのところにいたので、ブリーダー以外の人とは接したことはないと想像されます。
 
平日の一日の流れはざっとこんな感じです。
6:30頃 ゲージから出し、庭で散歩(殆ど座ってるだけ、室内でトイレをさせようしますが、まだできないので、外ですませます)餌を与え、リビングをうろうろ(家の中放し飼い)・・・

8:00頃 ゲージへ戻す(留守番、おとなしく寝ているようです、ゲージ内で水をこぼしたり、トイレシーツ破いた等のいたずらはありません。近所の方に聞いても鳴き声は聞こえないそうです)
 
18:30頃 ゲージから出し、リビングをうろうろ・・・、家族の夕食が終わったら餌、散歩(抱っこして近所の公園まで行きます、犬と会うと相手の飼い主さんに事情を話し挨拶をさせてもらうこともありますが、今のところ飛びかかるとかなく、なんとかできてます。

ただし、人間にはびびって触らせません、10日前は全く平気だったのですが・・・)リビングうろうろ・・・

22:00頃 ゲージへ(寝かす、残業から帰ってきたとき等、また出すこともあります)
以上、お手数をおかけしますが、なにとぞよろしくお願いします。保護犬、しかも成犬ですが、何か注意することあれば、教えていただけましたら幸いです。


m2.pngまず「群れで暮らしていた」というのが不幸中の幸いでした。群れで暮らすと社会性そのものは理解し身に付きます。暴走したり甘噛みがひどければ、群れの仲間に必ず注意されます。また仲間のぬくもりの中で成長してきたので情緒も安定しているはずです。
 
一番いけないのが、生後1ヶ月足らずで親兄弟から引き離され、ショーウィンドウの中で孤独に生きる・・これが一番いけません。
 
問題は群れそのもので暮らすことには慣れているのですが、人間との接点が少ないことです。でも4歳まで生きてきたという事は食事も水も人間が持ってきたという事ですから、人間そのものにそれほど恐怖はないはずです。
 
ご主人以外の家族を権勢するのは、犬としてのごく自然な順位意識(優位性を感じている)という面が強いです。
 
ご主人は犬を飼ったご経験があるので、自信も落ち着きもあり犬はそれを察知しますが、他の家族はどう接して良いか分からない・・気にかけジロジロ見るが特にリーダーらしい対応もしない・・
 
犬は一週間それを観察していて、自分がNO2だと・・ご主人以外の家族よりは自分の方が優位性がある・・と感じたわけです。
 
まずは家族全員が犬の本能や思考パターンを良く勉強し理解し、「自分がリーダーで主導するんだ」という意識を強く持つようにしてください。必ず無意識のうちに態度やしぐさに表れます。犬はそれを敏感に感じ取ります。
 
そして何か簡単にできることを一つまず作ってください。オテでもスワレでもいいです。「指示を出す→犬が従う→褒める」。このパターンを繰り返すことが主従関係と信頼関係の積み上げになります。
 
意味なく見つめたり、触ったりするのではなく、犬との接点は必ずそうやって主従関係が確認できる接し方にしてください。特にゴハン前には入念にそれをやってください。リーダーウォークもそこでしてください。
 
リーダーウォークのお話になります。まずリーダーウォーク=散歩ではない、ということをご理解ください。そして歩かなくても良いのです。あお向けもそうですが、目的は犬の体をコントロールすることではなく、「リーダーとしての毅然とした強い態度を示す」のが目的なのです。
 
だから犬が動かない場合は、ジッと止まって反対を見て無視・・それでも良いのです。散歩でももちろん家の中でも頻繁にやってほしいです。廊下や部屋のチョットしたスペースでも十分に出来ます。急に止まったり反転したり、曲がったり、早歩き、ゆっくり歩く・・。何度も何度も毎日毎日やることです。結果は直ぐにでないのが当然ですから、あせらずやり続けることです。
 
ただし、今は子犬と同じ状態です。首輪やリードを見たことも触ったこともほとんど無いわけです。犬は知能が低いので、慣れるまでは人間の道具を道具として見れません。動くリードをまるで別の生き物のように見ることもあります。今はとにかく「慣れ」を重視してください。ですので家の中で放し飼いはせず、ケージから出すときは必ずリードを付けて誰かが持っていてください。それができない時間帯はケージから出さないでください。
 
また遊びも良いので、主従関係が保てるヒモ付ボール遊びもしてください。
 
それからあお向けもチャレンジしてください。最初は遊び半分で一瞬ひっくり返すだけでも良いです。すこしづつやってみてください。厚手の手袋をすれば恐怖なくできます。(強引に押し付けたりしないでください)。
 
>抱っこして近所の公園まで行きます
↑抱っこやオヤツは止めてください。犬の本能の視点からは従属的に映ります。抱っこは緊急時でしかたなくやる場合は、あお向け状態でしてください。
 
過去の状況を可愛そうに思って、それを態度や行動に表すのは絶対にいけません。犬は犬の本能に従って環境に順応するだけです。甘やかされたり大事にされすぎると必ず主従関係を誤認してしまいます。
 
何度も申し上げますが、まず犬の思考や本能をしっかり学んで、甘やかしをしない、主従関係を保てる接し方を常にする、リードや首輪・ケージなど環境に慣れる、リーダーウォーク、あお向け、ヒモ付ボール遊び・・まずはそんな流れでやってみてください。
 
長い間犬の群れだけの生活でした。人間との主従関係を覚え、生活のルールを学ぶのには時間がかかります。とにかくあせらず、あきらめず、気持ちを大きく持ってやり続けることです。結果はそれに比例します。
 
では、頑張ってください(^-^)


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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