犬のしつけがQ&Aで分かる!

犬のしつけで吠えと噛み付き(多頭飼い)・手法の前に関係作り

Q.ご質問:・犬種:トイプードル1歳(メス)と2歳(オス)の二匹
・家族全員の年齢、性別、一日の愛犬との同居時間:夫(35歳)・私(36歳)。夫は朝の出勤前と、帰宅後(深夜)少し相手にするだけで、あまりかまわない。土日はお散歩してくれる。私は午後に出かける以外は在宅していて、土日のお散歩以外の世話を全てしている。土日はほとんど午後は夫婦で出かけて、二匹とも留守番。

・問題の内容

1、来客時(ピンポンの音や電話にも)や、散歩中に人や犬に吠えます。二匹が同時に吠えるので口を押さえるにも手が足りません。

2、足を舐めていた時に、確認しようと指の間を開いて見てたら、ガルっと唸られて噛まれました(オス)。夫も物を取り上げる時に3回くらい噛まれています。

・過去の接し方と、一日の流れ
①どういうタイミングで、どういう「スキンシップ」をされてきましたか?
床で横向きに寝てくつろいでいる時に、「あらあら・・・」と言ってお腹をナデナデ。ついでに全身を触る。自分が抱っこしたい時に、お腹を上にした状態(赤ちゃんみたいに)での抱っこ。ソファに座っている時、お腹を上にしてモモの上に乗せ、じっとしていられたら褒めて開放してあげる。ガムを持ってきたら手で持ってかませる。

ブラッシングをほぼ毎日。トリミング・耳掃除・爪切りなどもタイミングを見て自分でしている。トリミングは形が決まらなくなってきたらトリマーさんにもお願いしている。月に1~2回、夫がシャンプーをし、私はドライヤーをかける。お手入れは終わったらご褒美におやつをあげている。

②どういうタイミングで、どういう「遊び」をされてきましたか?
気が向いたときに、オモチャを投げて取りに行かせる。おもちゃを隠して探す。タオルに結び目を作って引っ張りっこ等。

③どういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?
吠えた時は、「ウルサイ!」「静かに!」「ダメ!」「大丈夫だよ」などと言って、吠えるのをやめたら「いい子」「いい子だね」と言ってほめる。散歩中は、マンションなので吠えると迷惑だと思い、人を見かて吠えなければ、褒めてからおやつをあげている。

メスの方が怖がりで、エレベーターで一緒に乗った人や、急に人が現れたりしてビックリすると吠えてしまう。子供や杖をついたお年寄りなどにも逃げながら吠える。犬に対しては、二匹でリードを引っ張りながら立ちあがって狂ったように吠えまくるので、最近では犬を見かけたらどうしても避けてしまう。

④オヤツ、抱っこ、ナデナデ、声かけなどされてきましたか?
夫はあまりしていないが、私はどれもけっこう頻繁にしている。

⑤散歩は何分、どんなやり方でしたか?
散歩は一日一回(夕方)30分くらい。マンション内は二匹ともバギーに乗せて玄関で降ろして、リード2本をまとめて持って、出だしにリーダーウォークをしてからお散歩。以前はにおいをかがせてオシッコをさせていたが、今は黙々と歩いて終わり。道は日替わりで適当。

引っ張りだしたら止まったりリーダーウォークをする。先輩ワンコのオスは引っ張らないで横についているが、メスがほとんどずっと引っ張っている。立ち止ってメスのトイレの処理をしていたりかまっていたりすると、たまにオスに足におしっこをかけられる。

⑥一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?
平日)夫・起きてすぐトイレの処理→私・二匹をバギーに乗せ、玄関先で夫を見送る→朝ごはんをあげる(自分より前)→食後にアキレスガムをあげる→洗濯中にコングにおやつを入れて与える→昼ごはんをあげる→出かける時にコングにおやつを詰めてサークルに入れる(留守中は一匹ずつサークルに入れている)→帰宅後、落ち着いてから「ヨシヨシ」と言ってなでる→トイレを済ませてから散歩(二匹一緒・夏場は日が落ちる直前)→帰宅後、お座り・待て・ヨシの練習(おやつを与えながら・遊びに近い)→夜ごはんをあげる(自分の後)→ハミガキ・タブレットをコングに入れて与える→夜に寝る前に抱っこでバルコニーに出て風に当たる。

・愛犬のハウス周りの構成、環境など
リビングに隣接してある和室に、サークル二つをL字型に設置。サークルとサークルの間(L字のへこみ部分)に大きいトイレを一つ、メスのサークルに小さいトイレ。オスの方にはトイレは置いていないので、帰宅後にしている。両方にバスマットを入れてベッド代わりにしている。屋根つきのハウスはなし。サークルのサイズが90×60センチのため、ハウスを入れるスペースがない。

こうして振り返ると、私が構いすぎかと思いました。よろしくお願いいたします。


A.お答え:まず、二人とも素性は良い子ですよ(^-^)お腹も見せるし、1歳2歳まで大きな問題なくきたわけです。良い犬達と巡り会えたので、感謝して良い関係作りを頑張っていきましょう。

意識していただきたいのは、関係作りです。問題行動を直すための個別の犬のしつけ手法というのは、あくまで調教法にすぎません。犬のしつけの根本は、関係作りです。

同じ教え方をしても叱っても褒めても、関係次第でその効果がまったく違ってきます。そして、何気ない接し方やしぐさなど犬は相手の全てを全体的に感じ取っています。犬のしつけが手法の上塗りにならないように、注意しましょう。

そして関係作りと並行して、物事はシンプルに体現で教え、悪い型を止めて良い型を取らせ褒める・・音とジェスチャーの関連付け・・それだけです。

まず家族への噛み付きの原因は、主従関係の崩れです。今回は幼少期の甘噛みでもないですし、相手の反応を見るために噛んでいるものでもありません。すでに自分の優位性を今までの生活の中で感じ取っていて、犬が気に入らないことをされて怒った反応です。

これは本書でお話した犬のしつけ法を続けてください。そして噛んだり、噛む素振りを見せたら、「ダメ!」と厳しい視線を送り犬の口を手で閉じます。これで悪い型は止まり良い型になったので、肩をポンポンして褒めて口を放します。

噛まれるのを怖がってビクビク対応していると、犬もすぐ感じ取りますので、ホームセンターで作業用の皮手袋を買ってリラックスできる準備をしてのぞんでください。

練習する時間を意識的に作ると良いです。手袋をして、オモチャ遊びで練習します。いったんオモチャを犬に渡して、ダセの指示で取り上げます。もちろん素直に返したら褒めますが、噛んだり怒ったら先ほどのように口閉じで叱ります。

それでも怖ければ、最初に犬にリードを付けておいて、犬が怒った瞬間リーダーウォークをしてください。

今までのような甘い意識では何も変わりません。「自分が犬を主導するんだ」という意識を強く持って、いつも犬と接しないといけません。必ず伝わっていきます。

ただし、今まで犬が感じていた自分の優位性が崩れていくわけですので、犬からしたら指示されるのも叱られるのも面白くありません。反発して怒ってくる時もあります。気持ちで負けないで、毅然とリーダーウォークで対応して下さい。

今回の噛み付きの原因は主従関係の崩れです。手法で直すというよりは、関係作りで直す・・という意識にしてください。

関係作りは全ての接し方やしぐさが関わってきますので、ここで過去の接し方を振り返ってみましょう。

>「あらあら・・・」と言ってお腹をナデナデ・・

↑犬が自分からお腹を見せることは良い事なのですが、マッサージを要求している場合があります。犬の要求に合わせることと、ナデナデの行為自体が従属的になってしまっています。

そういう時は、そのまま撫でないで、いったんスワレの指示を出し褒めて、次にゴロンの指示であお向けにさせ褒める・・という「主導」にしてください。接し方は何でもそうですが、犬の要求に合わせず主導を徹底することです。

あお向けで体中触ることと、犬の要求に合わせたナデナデは違いますのでご注意です。

それからナデナデという行為そのものですが、犬は下位が上位やリーダーに挨拶する時は、すり寄って舐めます。犬のナメナメと人間から受けるナデナデが類似しますのでご注意です。

褒める時も猫なで声や大げさにナデナデではなく、犬の肩をポンポンしながら名前を呼んで「○○良い子!」で毅然と褒めます。

抱っこも止めましょう。犬同士では、上位の犬が下位の犬の体の上に自分のアゴや足を乗せてマッタリします。つまり体位が関係を表しています。抱っこも従属的に見る犬がいますのでご注意です。

オヤツも止めましょう。態度が従属的に映るのと、オヤツで犬の気を引いたりコントロールしている分、どれだけ関係作りが出来ているのか見えなくなってしまうからです。

遊びのお話も含みますが、まずコングの与えっぱなしは止めましょう。飼い主さんと遊ぶときのための特別な物にしましょう。そして「犬の物」ではなく、「飼い主さんの物」という意識にしてください。

ヒモ付にして、遊びを管理し主導します。投げる前にスワレ・マテの指示・・出来たら褒めて投げる、できなければ型を作って教えて褒めて投げる。投げたらヒモを引いて回収しながらコイ・ダセの練習。とにかくいつでもどこでも主導です。

引っ張りっこはオススメしません。対面しての力比べなので対抗心が強くなったり、服を噛んで引っ張ることなどと区別がつかなくなる場合があります。

吠えの原因は主従関係も影響していますが、主原因は幼少期の社会化不足(経験不足です)。とはいっても手遅れではなく、犬は生涯学べる動物ですから経験できる機会・・教える機会を積極的に作ってあげることです。避けていては、余計に臆病になりストレスに弱い犬になります。

> 吠えた時は、「ウルサイ!」「静かに!」「ダメ!」「大丈夫だよ」・・

↑いろんな言葉を放っても犬には理解できません。言葉というよりは「短い音」にしてください。

まず人や犬とすれ違う時は、先にスワレ・マテの型を作ってあげます。飼い主さんもしゃがんであげて、首輪をガッチリつかんで型をキープします。

そして吠えたら「ダメ!」と伝え厳しい視線を送り、犬の口を手で閉じます。これで悪い型は止まり良い型になったので褒めて口を放します。この時に「シ~!」という音を関連付けながら褒めます。

口を放すとすぐまた吠えますので、再度「ダメ!」と伝え・・・この繰り返しです。毎日毎日続けてください。宅配などの、ちょっとした来客時にもリードを付けて会わせてそこで教えます。

ご主人と協力してチャイムを鳴らせて練習してください。

まずご主人の平日は帰宅が遅いということなので、休日はもちろん、できるだけ朝一緒に散歩に出かけていただきたいのと、日中や夕方は一頭ずつ散歩に連れ出してください。一日最低30分以上で、休日はたくさんです。距離をたくさん歩く必要はないのです。どこかに座って、行きかう人や犬を待つ・・これでも良いのです。

では、あまり一度にたくさんお話すると混乱されるといけないので、今日は以上にいたします。

1歳過ぎて知能も高くなっていますので、ちゃんと続ければ理解しますし、関係作りも進みます。結果を求め過ぎないで淡々と毅然と続けることです。頑張ってください(^-^)


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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