犬のしつけがQ&Aで分かる!

犬のしつけは飼い主さんの意識改革・リーダーウォークと散歩の役割

m1.png愛犬の犬種= ラブラドール・レトリーバー( 性別= 雄 ・今年1月に去勢しました。)(年齢 = 生後13ヶ月)

同居家族= 私とその妻 ( ともに59歳 )
同居時間= 私は特に外出する用件がなければ終日( 最近外出することがよくあり、その間は留守番 )
妻は仕事の関係上、朝出て、夕方帰ってくる生活


拝啓  はじめてお便りします。よろしくお願いします。
 
さて問題の内容ですが、大型犬なので力が強く、リーダーウォークなど取り入れながら、散歩をさせているのですが、リードを短く持って私の横を歩かせていても、前に出ようとします。

その都度ターンしたり、静止したりしていますが、長くは続きません。そして、人や車に出会ったりすると、跳び付こうとするため、特にお年寄りの方などに怖がられたりします。家の中で飼っていますので、以前は時々ガードをして居間などに出して遊んでいたのですが、ここ2ヶ月くらいは散歩のとき以外は添付した写真の部屋の中に置いています。

落ち着きがなく、部屋に入ると、腕をかんだりすることがよくあって困っています。


それでは、過去の接し方についてですが、堀川さんの本を読ませていただいた時は目からうろこ状態で、今までやってはいけないことばかりを9ヶ月の間続けていたことがわかりました。

子犬のころから噛み癖があり、噛み始めると私や妻は遊びをやめてその部屋から出るようにしていたのですが、その繰り返しであまり効果はありませんでした。ゴムのおもちゃなど噛みながら遊ぶ時も、必ず私の膝の上でした。

用もないのにこちらの都合で声をかけ、可愛がったり、要求吠えのときも、「どうしたの?」と相手をしたり、しつけ以外におやつを与えたりと、猫可愛がりしているうちに犬の方が優位に立ってしまったわけですね。

散歩の時も、犬の行きたい通りに自由にさせていました。自宅の周りは田園地帯で農道が散歩コースなのですが、あぜ道に落ちているありとあらゆるものに興味を持ち、空き缶・ビニール袋・金属類・牛糞・土など、跳んで行ってくわえてみたり、飲み込んだりしたので、一度は犬を連れて散歩コースのゴミ拾いをしたこともありました。

力が強くなってくると、一本のリードだけでは制御できず、短めのサブリードを作り、両手でひっぱりながらの散歩していたこともありました。

また、散歩は天候やその日の用件によって、午前中と午後に、2回の時もあれば1回のみの時もあり、時間は特に決めておらず、30分から1時間程度でした。

雨の日は家の中で投げたボールを取ってくる遊びをやったりしていました。投げたボールをダイレクトで取った時など妻と一緒に歓声をあげ、ご褒美に犬用のビスケットをあげたりしていました。

また、取ってきたボールをくわえたまま、なかなか離そうとしなかった時など、スキンシップのつもりで居間のソファーで上から覆いかぶさるようにしてもぎ取ったり、遊びを中断したりしていました。

食事は朝6時~7時ごろまでにやっていましたが、私たちの食事はそのあとでした。夕食もしかりで、どうしても人間の食事の方が後になってしまいます。その私たちの食事の光景を自分の部屋の小窓からしっかり見ていました。


まだ情報が不十分かもしれませんが、今現在困っていることは、散歩と、噛み癖、落ち着きのなさです。付け加えですが、堀川さんの本にあったように、散歩の時に最初の出だし付近でウンチをする場所がほぼ決まっているのですが、その付近でしなかったり2回目のウンチをするかもしれないような気配がある場合、リードを持つ手が甘くなり、犬の行きたい方向へ行かせてしまいがちで、散歩のペースが狂ってしまいます。散歩の前にウンチをさせるのは難しいですね。

長々と書いてしまいましたが、まだ主従関係や信頼関係が築けていないのでしょうか?

また、それがもし確立した場合でも上下関係を示すような行動をとり続けていかなければならないのでしょうか?

 現在は以前のような猫可愛がりの状態をできるだけしないようにしているので、可愛い犬を前にして少々つらいこともあります。
 
どうかアドバイスをよろしくお願いいたします。

敬具

m2.pngやはり意識改革は必要です。私たち人間は色んなことを考え犬に感情移入し、愛情の見返りも求めたくなりますし、また注ぎたくなります。

でも、それらは犬の知能では理解できません。犬は犬の本能の視点で私たちを見て、反応してきます。今はまだまだ主従関係は積み上がっていません。

犬は相手を「言う事を聞くべき存在かそうでないか」で見ています。褒められて嬉しくなる、言う事を聞きたくなる・・そういう存在にならなければ、関係作りをしなければ、やはり問題の根本は解決できません。

だからと言って、私は体罰やしつけグッズによる嫌悪刺激を推奨しているわけではありませんし、力でねじ伏せるわけでもありません。接することが悪いわけでもありません。

おおいに接してください。でもその接し方の、ちょっとした違いだけなんです。

意味なく声掛け、オヤツに抱っこナデナデではなく、オテ、スワレ、マテ、フセ、ゴロン何でも良いので必ず何か「指示→従う→褒める」というルールにされれば良いのです。

主導型のヒモ付ボールであれば、運動もでき、狩猟本能のはけ口にもなります。これなら楽しくスキンシップもでき、主従関係も深まっていきます。

「悪いことを止めさせるための手法や罰」と考えるのではなく、「褒めるための準備であり過程」なのです。

犬も人間も、強い群生と社会性を持っています。そうなると必ず役割も必要ですし、自分を導いてくれる存在を求めるようになります。そういう人に従って生きるのが犬の幸せなのです。人間のような緻密な平等文化や精神は、犬の知能では理解できませんし、本能の中にもないのです。

支配や上下関係という感覚をお持ちにならなくても良いです。しかし「主導」は必要です。それは絶対に忘れないでください。

遊びの中に「主導」を取り入れる・・ちょっとした挨拶やスキンシップの中に「主導」や儀式を取り入れる・・それで良いのです。


では、具体的に見ていきましょう。まず散歩です。

リーダーウォークをするために散歩に出る・・という感覚は持たないでください。リーダーウォークは本来は主従関係を作るための一つの手段でしかありません。家の中やあらゆる場面で頻繁に行ってください。

ねじ伏せるわけでも、コントロールすることが目的でもありません。犬に合わせない、リーダーとしての主導性を犬に示すための「儀式」なわけです。

今はまだ「優雅な散歩」は期待しないでください。遠くに行くことも考えないでください。外での散歩は二つの目的にハッキリ分けると良いです。

一つは社会化です。人が通らないあぜ道ではなく、できるだけ人や犬に多く会える通りを探して、そこでベンチなどあれば座ってジッとしていても良いんです。人とすれ違う時は、飼い主さんもしゃがんであげて、首輪をガッチリつかんでスワレ・マテをさせます。

その姿を、犬好きの人が見れば寄ってきますので、その時は声をかけてもらったり触ったりしてもらってください。その積み重ねで犬は、「良い子にしていればかまってもらえる」ということを学習していきます。

そしてもう一つは、外でのリーダーウォークです。家の中で出来ても外ではできない・・という犬は多いです。これは外の世界があまりにも魅力的だから、当然気が散ります。やっぱりその環境を多く経験し、それで練習を重ねるしかありません。

外でリーダーウォークの練習をするには、車の通りが少ない安全な場所を選んで、歩くことよりも態度をしっかり示すことを意識しましょう。リードは長く持ち、張らないようにします。リードを張ると犬は「抵抗反射」で必ず力の加わる方に引っ張るようになりますので、短く持って張ると悪循環になります。

リードを長く持って、犬が前に出たら張る前に犬と反対方向を向きます。犬がリードを張って引っ張ろうとしても反対を見てジッと止まって無視です。

私のリーダーウォークは、歩かないこともリーダーウォークの一部です。

もし腕が疲れるようでしたら、リードを腰に縛って腕で補助するようにすると楽です。(ですので短めのリードはNGです)。

そして犬が引っ張りを止めてリードに緩みを感じたら、歩き始めます。

すると犬は、また人間を追い越して前に出たり横へ反れますので、また犬と反対方向に歩く・・あるいは反対を見て止まる・・ひたすらその繰り返しです。引っ張らなければまた散歩が再開されることを、犬は徐々に理解していきます。

ウンチはする素振りを見せたら無理に止めさせたりしないで、音の関連付けをする機会ととらえましょう。フードのあげ方にもよりますが、2回に分けてウンチするのは普通です。人間もそうですが、その日その日の体調によって違ってくるのは普通ですので、いつも通りじゃないから・・と違和感を持ったり感情的にはならないようにしましょう。

ただし、2回ウンチしたら基本はもう出ないので、3回目の素振りは「止まりたいためにウソでウンチする素振り」を見せたりします。その時は、しっかりリーダーウォークで対応しましょう。

噛み癖も、主従関係の構築で自然に止める場合が多々ありますが、型と音の体現でも教えていきましょう。

噛んだら「ダメ!」と同時に強い視線を送って、犬の口を手で軽く閉じます。当然噛めません(悪い型が止まって良い型ができた)ので、そこですかさず「良い子!」で褒めます。肩をポンポンたたいてあげましょう。

噛み癖のある犬は、頭や背中を嫌がってまた噛みますので、犬から見える肩付近が良いでしょう。

解放して手を見せると再び噛んできますので、再度「ダメ!」と同時に強い視線を・・・ひたすらこの繰り返しです。シンプルに現行犯で体現させて教えないと、犬の知能では分かりません。

そして、主従関係の出来ていない人の言う事は聞く耳を持ちませんし、褒められても嬉しくなく、いわゆる「うざったい」と感じるだけです。


急に犬のしつけを強化すると、今まで好きにやってきたラブ君も○○様も戸惑うと思いますので、まずは楽しいボール遊びを通じて主導し、関係作りを始められると良いと思います。

ただし、もう1歳過ぎて成犬の仲間入りをしているわけですから、甘やかしはいけませんし、徐々に強化していかなければいけません。

特に噛み癖があるのは危険です。根本的に犬のしつけを見直さないと、段々悪化して最後は手がつけられなくなる場合も出てきますので、今からしっかり接しておかないといけません。2歳や4歳になって手が付けられなくなった・・という犬もよくいます。

犬は犬の本能に従い、その環境に適応するだけです。ですので、何歳になっても犬のしつけは可能ですが、同時に犬の生涯続ける必要があります。

しかし、それは特別に難しいことではなく、主導性の重要さをご理解され意識改革ができたならば、毎日どんな時も自然にそういった振る舞いができるようになります。

では、また頑張って続けてください(^-^)


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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