犬のしつけがQ&Aで分かる!

1歳で引き取った犬のしつけで・餌を食べない・抱っこ・寝る時・興奮吠え・環境への順応

質問内容
犬を飼うのは20年振りくらいでほとんど初心者同然なので、
どうしたら良いのか迷い迷ってネットサーフィンしておりましたところ、
堀川さんのHPを見つけて 「お~ これだわ!」と、
こころの中で手を打ってしまいました。
それで早速購入させていただき、もう2回は読みました。

犬との絶対的な信頼関係が、人間にも犬にとっても
幸せなことなのだと良く理解できました。(あくまでも頭で、ですが)
これから私たちも日々勉強しながら、犬にとっても幸せで
仲良く暮らせて行けたらと願っておりますので、
アドバイスをどうぞよろしくお願いいたします。

犬はトイプードルのオスで、ちょうど1歳です。
うちに来て10日経ちました。
うちの家族は60代の夫婦二人です。
夫が病気になり療養中なので二人ともほとんど一日家におります。
たまに娘が遊びに来ます。

犬がうちに来た経緯ですが、
ペットサロンをやっている友人がいまして、
そこに、この子が里子探しに預けられたのです。
それで友人が飛行機で送ってくれてうちの子になりました。

この子は元々は、前の家のご夫婦の息子さんが、
欝のお母様の病気を心配してプレゼントされたらしいのですが、
ご自分の病気の事もあり、犬の世話も大変で、
おまけにだんな様のほうにばかり懐くので、
お病気が悪化してしまい、今回入院する事になって、
泣く泣く手放さなくてはならなくなったそうです。
息子さんは飼えない環境にあると伺いました。

以前のおうちは広くて外を散歩した事もなく、
家の中で自由に放して飼っていらしたみたいですが、
それ以上の情報はありません。


さて、当方の環境ですがマンションで、
一日のほとんどは12畳ほどのリビングで過ごしています。
元々塾を開いていたため、午後から行動する生活だったので、
夫婦とも夜型人間で、休む時間は夜の2時か3時です。

朝一度起きてケージから出し、おしっことウンチを見届けてから、
今度は一緒にお昼ごろまで寝ています。

夫がお昼寝する時も一緒に寝ています。
うちに来たその日からそうだったので元から寝る時は一緒に...
の生活だったのだと想像されます。

夜私たちが本格的に寝る時は今はケージに入れています。
最初 120×100 高さ60cmのフェンスを作り、
(リビングは狭いので可動式です。昼間は折りたたんでいます。)

その中に水とケージを置いていたのですが、
ぴょんぴょん飛んでそのうち出てしまい、
いつの間にベッドの私たちの横でニタリとしているので、
ケージに入れるようになりました。

最初は泣き叫んでいましたが、この2日ぐらいはおとなしくしています。
このまま、夜はケージ の生活で良いのでしょうか、
それとも上にもフェンスで蓋をしてケージから出したほうが良いのでしょうか。


うちに来てまだ少ししか経っていませんが、
基本的な性格はとても良い子だと思います。

けれど今までわがまま放題にされてきた様子で、
私たちが「いけない!」「だめ!」など言うと、
ストレスだと思いますが尻尾を追いかけ、ぐるぐる回ってから
急にワンワン吠え出します。興奮スイッチが入ってしまうと
しばらく吠えまくっていますが、昼間は無視しているとそのうち収まります。

しかし、真夜中にもこういう事があり困ることがあります。
小さいくせに大きな声で吠えるとご近所にも迷惑なので、
捕まえて「ワンワンいけない!」「ハウス!」 と言ってケージに入れています。

ケージの中でも吠えたら軽く口をにぎって「ワンワンいけない!」
と言うと吠えるたび何回かするとおとなしくなります。
しばらくしておとなしくなったら出して褒めてやっています。

堀川さんのご本を読んで早速やっています。
吠えまくる事は、うちに来たときより大分減ってきました。

けれど、捕まえる事がとても大変です。
いつもすごくすばしこくてなかなか捕まりません。
ハウスさせる度に二人がかりです。

普段おとなしくしているときも「おいで」 でそばには来ますが
抱こうとするとすばやく逃げてしまいます。
抱っこして欲しいときは自分からひざに乗ってきます。
呼んで抱っこできないと何かあったときに困ると思うので、
是非おとなしく抱かれるようになって欲しいです。


それから餌の問題があります。
この子は小さくて 1歳なのに2.1kgしかありません。
元気ではありますが獣医さんに
「もう少し餌を増やして体重を増やす方が良いです。

腰骨が当たっているので痩せすぎよ」と言われ、もっと食べて欲しいのですが
元から食べていたという「ロイヤルカニン」というドライフードを
一緒に送ってもらったのは全然食べません。プイっていう感じです。

あごの力が少し弱そうな気もします。
ガムも硬いものは噛みません。

餌も硬いと今は全く食べないので
牛肉を煮て冷まして脂をとってから汁でふやかし、
細かく刻んだ肉を混ぜたり缶のフードをまぶしたりするのですが、
上手においしいところだけ食べて後は残します。

そういう感じで全く食べていないわけではないので
このままで良いのでしょうか。
ドライだけを食べるようになるのでしょうか。

もし前の家でこのドライフードを食べていたとすると、
うちで食べないのは環境が変わったせいでしょうか。


散歩の時間は今は暑くなってきたので夕方です。
堀川さんのお話にもあったので何時とか決めてはいませんが、
主人の身体の為もあり、普段は主人と30分ぐらい散歩してきます。

お散歩は大好きです。今までお散歩した事がないと言うのが
嘘みたいに、嬉々として歩いています。
ペースも私たちに合わせ、引っ張る事もありません。

他のひとにも他のわんちゃんにも全く人見知りせず、
大喜びでじゃれ付いていきます。誰にでもです。
通りがかりのひとにも寄っていきます。
それなので、どなたにでも可愛がってもらっています。
散歩に関しては満点です。


後はこの子がうちに、どのぐらいで馴染んでくれるのか、
それが心配でもあります。
うちに来てまだ10日なのですぐ馴染めないのは理解していますが、
環境が変わった事でストレスを感じていると思うと不憫です。
無意味に無駄に可愛がり過ぎないように気をつけていますが、
放っておきすぎるのとの境界線がまだよく判りません。


問題点は5つあって

・餌の問題
・抱っこさせない
・寝る時の場所について
・興奮したときの吠え
・環境への順応について

です。  お忙しいとは思いますが、
ご意見お聞かせいただきましたら光栄です。
長文で申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。


返答内容
今回の子は、頭も良いですし性格も穏やかで怖がりでもなく、良い犬ですので、ご心配なさらずに少しずつ変えていくことです。

長い習慣がありましたので、激変するのは良くないのです。おそらく前の飼い主さんも甘やかしだったはずですが、それはもう過ぎたことですし、そのレベルから少しずつ変えていくことです。

ただし、ワガママは定着させないことと、まだ成長期が残っていて柔軟な時期でもあるので、悪い基準値を作らないようにしっかり意識は持たれてください。


■環境への順応について

犬は環境の変化にとても敏感です。お部屋の模様替えをしただけでも数日興奮が続くくらいです。表情からは分かりにくいですが、とても強い緊張興奮ストレスを抱えています。

最低でも落ち着くまで1か月くらいは想定してあげてください。

ましてや飼い主さんまで全て変わっていますので、犬としては半ばパニック状態です。

それと、犬は新しい環境に入ると、そこで自分の立場を確立しようとする意識が出ますので要注意です。最初の接触が基準値になりますので、すでに悪い習慣が少し残っていました。それでも今回の犬が素性の良い子だったのでこれで済んでいます。


■餌の問題

小型犬は食が細い子がとても多いです。それと環境がコロコロ変わった緊張興奮ストレスで食欲も落ちています。

ただし、食材の選別が上手いことからして、しつけの悪さからのワガママもあるはずです。おそらく前の飼い主さんも、オヤツや人間の食べ物やドッグフードにトッピングを与えていたと思います。

犬は食と安全に関わる記憶がとても鋭いです。

一回でもオヤツやトッピングなどを経験すると、それを記憶して色々試したり反応が変わる犬が多いです。

まずは、オヤツやトッピングを一切止めることです。それと、わりとロイヤルカナンを嫌う犬が多いのも事実です。高級品は臭いが強い傾向があります。もう少しランクを下げて、ヒルズのサイエンスダイエット、アイムス、ユーカヌバあたりを与えてみてください。(ロイヤルカナンを捨てるのももったいないのでブレンドする)

◆食べさせる方法

色々やり方や段階があります。まずは、犬とフードをケージに入れて、ドライフードのまま出してみて、食べないようでしたら20分くらいで無視して下げてしまって、次のご飯の時間まで何も食べさせないことです。

声掛けしたり、ナデナデしたり、手で食べさせてはいけません。

そして、次のご飯の時間も同じように与えます。ここで少しでも食べれば、もうあとは同じ方法で毅然と続けてください。(15分から20分で食べない分は無視で下げる)

一方、そこでもまったく食べない場合は、スープ作戦に移行します。

フードはもちろん無視で下げます。そして同時に、飲み水を止めてください。水分を一切与えないことです。

そして、ドライフードをごく少量だけ、たっぷりの熱湯でふやかします。20分から30分でドロドロになります。さらにそこに水を加えて、サラサラに近いスープ状にします。

それを、しばらく水もガマンさせた犬に与えます。もちろんかまったり声掛けしないで、エサ皿を置いて「ヨシ」の指示だけして去ってください。あるいは同じお部屋で知らんぷりしていてください。

横目でチラチラ見るか鏡に映して観察しましょう。

それでスープを飲めるようになってきたら、毎回徐々にお湯の量を減らしてフードの量を増やしていきます。本当にごく少量ずつ変えることです。

少しでも飲めば、それを根気よく続けてください。ノドが乾けば犬は必ず飲みます。根競べです。

それでももし、丸二日間まったく何も食べなかった場合は、さすがに低血糖になるので動物病院で点滴注射してもらいましょう。

犬に根負けしてトッピングするようなことはしてはいけません。犬は確実に学習してもっと要求したり実験します。


■寝る時の場所について、抱っこさせない

添い寝・抱っこ、の二つは今回はガマンして止めてください。

例えば、ベテラン飼い主さんで、本当に犬との主従関係をしっかり作ったあと、毅然さと主導性を保った意識でやる分には良いのですが、そうではない飼い主さんと犬の場合は、ほぼ100%主従関係が崩れて問題が起こります。

要求吠えや甘噛み程度ならまだ良いのですが、主従関係が崩れて、さらに素性が少し難しい犬の場合は、激しい本気噛みや威嚇や吠えで手に負えなくなってしまいます。

今回の子はそこまでにはならないと思いますが、まだ成長期が残ってる事もありますし、将来のことは分かりませんので、ここできちんとしておいたほうが良いです。(現状も要求吠えで困っていますし)

さて、普段の環境と接し方ですが、冒頭でお話しましたように激変もいけません。あまりにも犬が適応できない大きな変化では、先に進めませんので、少しずつ変えていくことです。

まずは、毎日毎日、少しずつケージ内で過ごす時間を増やしていきましょう。

ケージ内で一緒にコング遊びしてあげたり、手を入れて誘ってあげたりしながら、今日は10秒×3回、明日は20秒×4回・・・など、毎日少しずつ増やしながら徐々に適応させることです。

吠える場合は、ケージに毛布などの厚手の布を掛けて暗く目隠しします。巣穴感覚で落ち着ける犬が多いです。ケージの天井に柵を置いてヒモや針金でしっかり縛ってください。そうすれば毛布も落ちませんし、脱走もできませんし、そこが収納スペースにもなります。

お部屋の床に置いてあったものをその上に乗せれば、お部屋も広く使えます。その分クレートハウスを置くこともご検討ください。(ケージと合体させる)

寝る時も犬はケージに居させ、布掛けをしましょう。ただ、今の段階では急に別の部屋に隔離するのは難しいですので、しばらくは誰かが犬のケージのすぐ隣りで寝てあげてください。

そこから毎日10センチずつ布団を離していき、お互いお部屋の角で離れて寝ることに慣れてきたら、犬が寝た後を見計らって、そっと部屋を出ましょう。それを繰り返して離れて寝る練習(適応)をします。


さて、誤解してはいけませんが「無視が良い、犬はずっとケージ内が良い」ということではないのです。

スキンシップも大事ですし、遊び・運動・指示行動の教えも必要です。

大切なことは「接し方」なのです。

例え接触が短い時間だったとしても、接する時に従属的な接し方をしていては意味がありませんし、主従関係が崩れていきます。反対に、接する時間が長い場合でも、主導性と毅然さが一貫できているならば、どんどん関係が良くなっていきます。

ということで、その接し方になりますが、今の段階ではケージから出している時間帯の方が長いわけですが、その時間帯でやってほしい事があります。

犬にリードを付けて、それを飼い主さんが持っておく癖にしましょう。

家事などされたい場合は、リードをご自分の腰に一周縛って、そこに犬を付けます。

そうやって過ごすことで、自然と犬の行動全体を主導する形になりますので、優しく自然な主従関係作りの方法として機能してくれます。

もちろん、飼い主さんに主導性や毅然さの意識がなく、チヤホヤの従属的な感覚では意味がありません。本書もそうですし、必ずQ&Aサイトも全体的に熟読していただいて、毎日意識と知識を深めていってください。

それと抱っこですが、犬も人間も、相手の体の上に乗ることで関係性を示します。(犬で言えばマウンティングや仰向けが良い例です)

主従関係を誤解する犬がいますので、抱っこは緊急時以外止めましょう。

犬が乗ってきたら、「コッチ」や「コイ」の指示で床を指差しながらもう片手で首輪かリードをつかみ誘導して隣りに移動させて褒めて、スワレやフセ、マテをさせて褒めます。

反対に、緊急時に抱っこをしなければいけない時ですが、普段『マテ』をどれだけ定着させておくかになります。主従関係ができてきて、マテが定着すれば、マテの指示で犬の動きを止めて抱っこは容易にできます。


■興奮したときの吠え

先ほど「犬にリードを付けて、それを飼い主さんが持っておく癖・・」とお話しましたが、関係作りだけではなく、トイレへの誘導やお散歩の練習にもなりますし、暴走や誤飲事故なども防げます。

そして、吠えや噛みつきのしつけにも活用できます。

犬は現行犯で、その瞬間に教えられないとまったく理解できません。少しでも時間差があると理解できないどころか、別のことと結びつけてしまってかえってマイナスになってしまいます。

犬が吠えた瞬間、「シ!」などの注意音と同時にリードをチョンと引き上げて注意します。

例えば、チャイムなど何か吠える条件があれば、わざとそれを出して集中的に反復練習すると良いです。

また、先ほどお話した「ケージに入れて布掛け目隠し」も良いです。来客や夜中など手が離せない時はそれをやってみてください。


では今日は以上ですが、すぐに結果を期待されないことです。まだ成長期ですのでしばらく落ち着きは出ませんのと、環境・飼い主さんが変わったばかりでもあります。

まずは飼い主さんご家族の意識改革からスタートされてください。Q&Aサイトの熟読をお願いいたします。

それでは、これから頑張って続けていきましょう(^_^)


犬のしつけマニュアル&個別相談の案内ページへ

 


【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
運営者の写真
犬のしつけ方針