犬のしつけがQ&Aで分かる!

子犬のしつけでリーダーウォークについて

質問内容
はじめまして。犬のしつけでご助言を頂きたく思いメールさせていただきました。

・問題の内容

3か月のポメラニアン(メス)を我が家に迎え入れ、一か月が経ったのですが――それまでのしつけに限界というか不安を感じて、「本質の犬のしつけプログラム」を購入しました。

実のところ、そう大きく不満があるわけではありません。むしろ覚えの早さ、無駄吠えも減っていき、毎日のように驚かされたり喜びを与えてもらっているようにさえ思います。

基本の合図も、トイレも、ちゃんと言う事を聞いてくれる。ときどき失敗するのは、ご愛敬。私の手や服、その他いろんなモノを齧りついてしまうのも、歯が生え変わるまで。すべては順調で、あとは時間の問題と思っていたのですが・・・。

しかし先日「名前を呼んで、こちらの目を見た直後に右手を見た」ときに、自分は何か根底から間違っているのではという不安に駆られてしまいました。

「オヤツで誘導し、その行動を強化し、習慣化させればオヤツを与えずとも大丈夫だろう」と、迎え入れる際に自分の中でやり方を取り決め、それを一貫してきました。

ですが、ほとんどこちらの目を見てくれないのです。ボール遊びの際など、オスワリをさせてアイコンタクトをしたら投げる――といった事もやってはいたのですが、そもそもの頻度としてはごく僅かだったのかもしれません。

そして散歩に連れて行ったときに、ひどくそれを痛感しました。

外に出たばかりなので、色々なモノが珍しくそれに目を奪われているという事もあるのでしょうが、こちらには一瞥もくれずに走り出したり突然伏せたりで、よく街中で見かける「飼い主と並んで一定の歩調で散歩している姿」が不思議に思えてくるくらいでした。

そこでリーダーウォークを実践しようと思ったのですが、なかなか加減が難しいです。
どこまでが「無理に引っ張る」事になるのでしょうか?

現状では、リードがたるむという状態がほぼ無いのです。常に 「走りだして前に出ている」か、「いつのまにか伏せて止まっている」ので、結果的に前へ後ろへ私が引っ張ってしまっているような有様です。

あくまで「散歩」という発想は捨てて、「リードをたるませて犬が勝手な方向に行けば方向転換」という行為に専念するべき、ということでしょうか?

ちなみに自宅はマンションでスペースの問題上、屋内でリーダーウォークを実践するのはなかなか難しいので、散歩する機会にしっかりとリーダーウォークをやっておきたいのですが・・・。

※ここからは、本題から逸れますが・・・。

テキストを拝読し、飼うと決めた際に心掛けていたつもりでしたが、 自分がかなり従属的な行動をとっていたのだと痛感しました。

それこそ「鉄の意志」を持たねばと思っていたはずなのに、多くの方がそうなってしまったように思い描いていた理想を打ち砕かれ、犬に幻滅し、またそんな自分に嫌悪感を持ち、それがいつしかストレスになってついに爆発してしまった時もありました。

私はそれまで「毅然としたリーダーシップ」ではなく、あくまで「コントロール」を目指していたように今では思います。うまくいかないことがあれば、それをいかに改善すれば犬が応えてくれるか――という手法的な考え方でした。

(ただ市販のドッグトレーナーの教材の購入などは、なんとなく胡散臭 くて自分が納得できる理屈しか実践しなかったのですが、それも「自分が気に入った手法のつまみ食い」だったかもしれません)

犬のしつけはキチンとしなければという責任感が、いつしか単なる課題になってしまい、それが些細な失敗も段々と許せなくなってしまったのでしょう。それこそ「オヤツという報酬も与えているのだから、出来て当然だ」という風に思っていた節もあるかもしれません。

あちこち齧りだす行為も、しつけ薬を使っても時間が経てばまたやりだすので、では何をすれば、何を使えば止めさせられるか――という発想を生み、物を使ったしつけや過剰に叱りつけるやり方にエスカレートしかねない状態でした。

正直、テキストを購入したのも「すぐに問題が改善される夢の方法」を求めてしまっていたところは否めません。なので、読みはじめの感想としては「たったこれだけの事?」という思いがありました。

しかしその時点で私は既に精神的に敗北していたのだと、テキスト読後には思い知らされました。意志と覚悟を持って迎え入れた筈なのに、いつの間にかペットビジネスのいいお客さんに成り果てる寸前になっていました(苦笑)

リーダーウォークやあお向け固めといった具体的な事も参考になりましたが、何より元々の群生動物としての習性についてや、それを基にした姿勢を重視する考え方に救われました。

私はトレーナーになりたい訳ではなく、楽しく犬と暮らしたかっただけなのにと我に返りました。

まず、何かと犬に構う行為、それからオヤツを止めてみました。急激に何かが変化したわけではありませんが、少なくとも睡眠時間が圧倒的に増えました。

それまで結構な頻度であくびを繰り返しているのを見たのですが、ストレスを与えていたんですね・・・

なんだか申し訳ない気持ちで床に突っ伏している姿を横目で見ています。できればクレート内で寝てほしかったですが(笑)、それもおいおいなんでしょうね。

長文になってしまいましたが、まだまだ実践が足らないので、今回はリーダウォークについて質問させていただきました。仰向け固めについてなどは、また何かしら思うところができた時にメールさせていただこうと思っております。

・愛犬の犬種、年齢・月齢、性別
ポメラニアン/4か月(3か月目に迎えてから1か月)/メス
ペットショップにて購入しました。

・ご家族全員の年代、性別、一日の愛犬との同居時間
本人のみ30代男性。在宅勤務のため、外出時以外は常に同居。

・過去の接し方と、一日の流れ

①過去はどういうタイミングで、どういう「スキンシップ・遊び」をされてきましたか?
「オスワリ、フセ、マテ、ハウス、トイレコマンド」を教えることを中心に、成功すれば褒めるという形で接していました。
また遊びについては、「ボール遊び」でイガイガのゴムボールを単純にポンと投げて、それを追いかけて捕まえる――ついでにこちらの傍に持って来たら「チョウダイ」と言ってボールを拾い上げ、褒めていました。

それから白いタオルの先を結び振り回すと勢いよく飛びつき、捕まえては唸りつつ首を振ったり引っ張ったりして、こちらが辞 めるまで食いつきがよいので「狩りの模倣」として犬本来の性質に適しているのかな?と思い、その遊びがメインになっていきました。

②過去はどういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?

タイミングとしては、「早くしつけをしなければ」という思いがあったためか、今にして思えばずいぶんベッタリかかりっきりだったように思います。お恥ずかしい話、少し仕事に差し障るレベルだったかもしれません。

居住空間をカメラでモニタリングし、仕事中でもトイレの兆候があれば駆け寄り、あの手この手でトイレへ誘導しながらトイレ コマンド(掛け声は「ワンツー」です)を行っていきました。

排泄後は、すぐに片づけをしています。いちおう数週間でトイレそのものは覚えてくれました。

※ただ、こちらが寝ている間の深夜、または外出時の排泄時、オシッコはトイレでするものの直後にウンチもしたくなった場合、汚れたシーツで用を足したくないのかウンチだけは別の場所にしてしまうのが常です。

その他「オスワリ、フセ、マテ、ハウス」などは、まあまあの成功率で覚えてくれました。(どれも瞬間的にそれをやるだけで、たとえばハウスならば直ぐに出てしまいますが)

ただその時の気分なのか、コマンドとしては咀嚼されていないの か、キョトンとした顔でこちらを見るだけの時もあります。

ただ、報酬の手段としては「よしよし」という褒め言葉とオヤツ(フード一粒など)でしたので、徐々にオヤツなしに移行させていったものの、それによって従っていただけかもしれません。

褒め方としては――頭を撫でようとすると「カッ」と口を開いてくるので、(ネットの情報を見て)下からゆっくり手を差し伸べて胸を1、2回さするように撫でていたという感じです。

叱り方は、飼う前に「なるべく叱らず、失敗をさせない環境づくりを構築し、成功率をあげて褒めることによって覚えさせよう」という思いがあった――の、ですが・・・。

多分に漏れず、そう事はうまくいかなくて失敗が続くと「なんで出来ないんだ!?」と感情的になっていってしまいました。
特に噛み癖をやめさせようと「ダメ!」を言い続けても、直後にまたけん制するように噛みついてくるようになっていき、まったく止める兆候が見えなくなったとき、こちらの感情が爆発して思わずお尻を強めに叩いてしまったことが数回、あります。(そもそも飼う以前には、しつけに体罰は必要ないと思っていたにもかかわらず)

ただ、さっきまで猛烈な勢いがあったのに叩いた直後に(強さが自分が思うより酷かったのか)シュンとした暗い顔でトボトボと 歩いて離れていくのを見た瞬間、強烈に自己嫌悪に陥って以来、もう体罰は絶対にしないと思いました。

※今では、手を差し伸べても舐めてくれます(オヤツを期待しての行為かもしれませんが・・・)。

ただ、ケージから出してあげたりブラッシングをするための移動時に抱き上げようと両手を差し出すと、それを悟ってか姿勢を低くしお尻を持ち上げ、距離をとってそれ以上近づこうとはせず、やはり牽制するような行動をとってきます。

ただ、それはもう自分の過去のやり方に問題があったので、ゆっくり慣れさせようと思っています。

③過去はオヤツ、抱っこ、猫なで声でナデナデなどされてきました か?

「オスワリ、フセ、ハウス」など「私(飼い主)がそうして欲しい行動をとった際」にオヤツをあげて行動を強化しようとしていました。

抱っこに含まれるのか、こちらが正座し、その上に仰向けにさせて、大人しくなったら褒めてオヤツ、というのも時々やっていました。

購入したショップの方に「高い声で褒めるのが良い」と聞いたので、褒め言葉をかける際には意識的に猫なで声を使っていました。

撫でるというか、両手でわしわしと揉むように触るのは一日一回はやっていました。

④過去は散歩は何分、どんなやり方でしたか?

「三回目のワクチン完了までは散歩を避けたほうが良い」とも聞いていたので、ほとんど出していませんでした。

ただ、余りにもエネルギー(というか、ストレス)が溜まっているように見かねて、自宅(マンション)前のスペースをぐるぐると30分から40分くらい歩いたり走らせたりしていました。

いちおう、リーダーウォークのような真似事もしていました。※ただ、時間にしてみれば正味数分だったと思います。

⑤過去は一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?

08:00 朝食
14:00 昼食
20:00 夕食
24:00 消灯 

※時間は基準で、ずらしたりして食事を与えていました。

この間に、仕事の休憩がてら傍に行って「オスワリ、フセ、マテ、ハウス」などをさせたり、上記のように遊んだりしていました。時間は私のタイミング次第でまちまちです。

ちなみに消灯後も、私がトイレに行く際など物音がすれば目を覚まして起き上がったりもしていました。

⑥愛犬のハウス・トイレ周りの構成 

現状としては、クレート(Sサイズ)、トイレ(レギュラーサイズ)その間に45×60cm程度のスペースで玄関マットを敷いています。マットは(将来的に活動範囲を広げられればと思い)トイレと区別できるようにあえてという目的と、おしっこ後に踏んずけた足を拭くための意味合いもあります。

給水器は、マットスペースの一角にフェンスへ取り付けてあります。どうしてもポタポタ水滴がこぼれてしまうので、マットはその受け口としても利用しています。

玄関マットは、裏地がゴム製でそれなりの重さもあるので床のフローリングからずれにくく、おもちゃにはされにくいので利用しています。

それまで100円均一のお風呂の足拭きマットなども試してみたのですが軽いわ、端を齧るわ、裏返しにされるわ、トイレの上に放り出されるわ、挙句の果てに表面を齧ってボロボロになるわで、そうならないものをと思って選択しております。


返答内容
今回ですが、現状はまったくご心配いりませんので、落ち着いて安心して続けていただければ大丈夫です。

まだまだこの月齢では、知能も経験も何もない小さな猛獣状態です。経験しても知性にできません。

まだまだ主従関係もできませんし、落ち着く時期ではありません。

むしろ、これからもっと大きな変化がどんどん出てきます。

5か月から反抗期に入り、成犬としての権勢本能・警戒心・独立心・自我・相手を見抜く視点が鋭くなっていきます。

7か月あたりからは更に知能が上がり、ズル賢さだけが目立つ難しい時期です。


そんなことで、最低でも10か月くらいまでは期待されない方が良いです。あるべき態度で、コツコツ淡々と続けて、子犬の成長を待ってあげないといけません。

かと言って「まだいいや」と思って何もしなかったりチヤホヤの甘やかしでは、成長期の学びの中でそれが基準値になってしまいます。

結果は出ない・・でも正しくやり続けなければいけない・・・という、根気が要る時期です。


さてリーダーウォークですが、今はまだ準備段階で良いです。遊びから入りましょう。

やっと4か月になって、「そろそろ骨格が少しずつしっかりしてくる時期なのでリーダーウォークを少しずつ始めても良いです・・」というだけの時期ですので、まだ本格的にしない方が良いですし、やったとしても理解できる知能も集中力も全然ないのです。

今は、犬をケージから出して団らんしたり遊ぶ時に、「リードを付けて飼い主さんがそれを持って過ごす」ということから始めてください。

それで十分です。

リーダーウォークの目的は、散歩のための練習法ではなく、飼い主さんの主導性と毅然さを犬に示すための手段の一つでしかありません。

ですので、『犬にリードを付けてそれを持った状態で遊ぶこと』で、ご自分の主導性と毅然さを示せば良いのです。

それと、畳二畳分のスペースでもあれば、十分リーダーウォークできます。お部屋が狭かったら、リードを短めに持って良いです。廊下や別のお部屋まで歩いて行っても良いです。


>飼い主と並んで一定の歩調で散歩している姿・・

↑これはまだまだず~と先のことだと思われてください。1歳過ぎくらいで十分です。

むしろ、1歳未満で落ち着いて歩ける方が不自然で、根本的な体力不足や体調不良のほうを疑いたくなるくらいです。


>どこまでが「無理に引っ張る」事になるのでしょうか?・・

↑犬と対面して、グイ~~と2・3秒以上引っ張り続けることです。

横目で犬をチラチラ見ながら、犬が前に飛び出したり後ろで止まりそうになったら、一瞬チョン!と引いてください。ご自分の太ももをポンポンして来させて「ツケ」で褒めてあげてください。

あるいは、お部屋でしたら、リードを短めに持って1歩進む→止まって3秒待つ→また1歩進む→止まって3秒待つ・・・。犬を完全無視して、これを繰り返すだけでも良いです。

ですが、お話しましたように今の月齢では遊びから入りましょう。

今の段階では、いきなり外でガツガツやるのは無理があります。


まだこの時期では外の世界そのものに慣れていませんので、ものすごい緊張興奮ストレスを抱えています。

今はお散歩では、「外の世界に慣れる」を重視されると良いです。

どこかキレイで安全な場所を探して見つけたら、そこに飼い主さんはノンビリ座って、その周囲を犬にウロウロさせてたくさん時間を過ごして、観察させることです。(もちろん犬にリードを付けて飼い主さんが持っておく)

まずは外の世界に慣れていないと、パニックで何を教えても入っていきませんので、リーダーウォークどころではないのです。さらにあせってガツガツやってしまい、余計にパニックをあおることになってしまいます。


まずは今は遊びから・・室内での練習から始めてください。そして、外の世界に慣れさせるべく外で過ごす時間を長く作ることです。

仰向けも、コング遊びの中にまぎれて少しずつ、一瞬だけやってみる・・・を繰り返してください。最初は遊びの一環で良いです。

そこから慣れを見ながら、徐々に回数と固め時間を増やしていけば良いです。

【その他】

・オヤツですが、すでに習慣がついていますのであまり劇的に変えないで、少しずつ計画的に減らしていけば良いです。オヤツは使わなくても、型をこちらから作ってあげて指示音ジェスチャーで褒めるだけでも十分覚えてくれます。(指示する時も指示音ジェスチャーを出すこと)

・タオルの引っ張りっこは止めましょう。対面しての力比べになりますので、対抗心が強くなったり、人の動きに過敏になり噛み癖・引っ張り癖・興奮癖がつきやすいです。遊びは主導型コング遊びにしましょう。

・「しつけに体罰は必要ない」というよりは「害になる」のです。犬や人間の幼子の知能では、体罰の意味を理解できないのです。特に犬の場合は、防衛本能を刺激するだけになってしまいます。

・高い声で褒めると犬の興奮をあおるだけになり、さらに従属的に映ってしまいます。リーダーらしく静かに堂々と、良い型と指示音ジェスチャーを関連付けながら、肩付近(前足の付け根付近)をポンポンポンして褒めてください。嬉しさは表現して良いです。


では今日は以上ですが、本サービスをご購入いただきましたタイミングとメールの内容からいたしまして、まだQ&Aサイトを熟読されておられない段階だと思います。

今日の解説もすでにQ&Aサイトに載せてあることですので、必ず熟読されてください。情報のつまみ食いが一番危険ですので、情報源を一つに決めて、決めたらそこから全て学び取って一貫されることです。

それでは、これから頑張って続けていきましょう(^_^)


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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