犬のしつけがQ&Aで分かる!

ドーベルマン犬のしつけ飼い方の環境と接し方などなど

質問内容
この度、ブリーダー崩壊でレスキューされた保護犬の里親になることになりました。ドーベルマンの♂で1歳半(去勢済み)です。(明後日家に来ます。)

現在他に動物は飼っていません。過去には、ゴールデンレトリーバー♀、秋田犬♂♀を30年ほど前に飼っていた(外飼い)のと、最近ではパグ♂(家にはあげず玄関で)を12年飼っていて、昨年癌で亡くしました。

家族は、私(40代女性)、両親(年配)、息子二人ですが、息子たちは全寮制の学校に行っているため、同居していません。

80歳になる父は、いまでもゴルフやスキーを楽しむスポーツマンで、毎日2時間のウォーキングも続けている元気な老人です。

その父の、「人生最後の夢」が大型犬の室内飼育です。「精悍な犬」「賢い犬」ということで、ドーベルマンに犬種を決め、はじめはブリーダーさんから飼って子犬から育てるつもりでした。

いろいろ調べている時に、様々な事情で飼育を放棄されて保護されている犬がいることを知り、それなら「里親になろう」と家族で話し合い、今回のドーベルマンを里子にすることになりました。

堀川さんの本を読ませていただき、過去に飼って来た犬の行動の原因など、いろいろなことが納得できました。

ドーベルマンだけに、はじめは訓練所を考えていましたが、今は父と二人で自分たちでしつけようということになりました。前置きが長くなりましたが、そこで御相談です。

第1の相談。
まずは、このドーベルマンはとても大人しく、人懐こく、甘えん坊で良い子なのだそうですが、「猫に対する反応」だけがものすごく激しいそうで、気になって遊んでほしくて・・・というよりは、「食い殺そう」という勢いでの攻撃のようなものだそうです。

保護団体の訓練士さんは、私どもの家族構成から、普段の室内飼育は問題がないけれども散歩の時に猫と出会うとコントロールできないのでは、と一度は里親応募を断られました。

しかし、後日「ボディハーネスをつけてコントロールする方法で試してみますか?」という連絡を下さり、明後日から1ヶ月のトライアルに入ることになった次第です。

堀川さんの本やQ&Aを読ませていただくと、結局はリーダーシップの問題で、「追いかけてはいけない」「猫を無視しないといけない」という私たちの命令を犬が聞きたくなるようなリーダーに私たちがなっていれば、大丈夫になってくるということですよね?

ただ、保護団体の訓練士さんは「猫に対する反応が本能のようなもので矯正できないのではないか・・・」と言っておられるのですが・・・いかがでしょう・・・。

また、リーダーウォークなどが完璧に出来る関係になった時に、例えば猫のぬいぐるみなどで無視させる練習をしては?などと家族で話したりしているのですが、どうでしょうか?


第2の相談。
マーキングのことです。おそらくはじめはマーキングをするだろうと言われています。これもリーダーシップの問題で、自分がボスではないのでマーキングする必要がないと思わせればよいのですよね?

ただ、その関係を気づくまでの間に、家の中で、家族が見ているところでマーキングを始めてしまった場合、もう見ているしかないのでしょうか?

始める前に気がつけば、トイレと決めた場所に連れて行けばよいのですよね? でも、始めてしまったら、その途中でも引っ張って行った方がよいのでしょうか? また、例えマーキングでも始めてしまえば「チチチチ・・」などの音と結びつける方が良いのでしょうか?


第3の相談。
犬の居場所についてです。私どもの住居は3階建てで、1階は西側にLDKとパントリーと小さな軽自動車がギリギリ入るくらいの室内ガレージ、廊下を隔てて東側に母の部屋、2階が西側に父の部屋とゲストルーム、廊下を隔てて東側に私の部屋となっています。

3階部分は息子たちの部屋なので、今回犬には関係ない場所となります。庭はありません。今考えているのは、家族が集うLDKにケージを置いて、トイレと食事と寝るためのバリケンはLDKからパントリーを通っての室内ガレージに置いてやろうかと考えています。

はじめ、寝るのは私の部屋にバリケンを置いて、トイレと食事は室内ガレージにと考えていたのですが、寝る場所とトイレは同じところの方がよいと書いてあったので、そうしようと思っています。

それで大丈夫でしょうか?(トイレとケージが離れているけど大丈夫?食事は家族のいないところでもOK?寝る時全くひとりだけれど大丈夫?たぶん家の中で一番寒い部屋だけど大丈夫?などが心配です。)また、食事の場所へは、家族が食べ終わってからケージから出して誘導すればよいのですよね?

それから、私以外の家族が留守をして、私が仕事のために部屋にこもることがあるのですが、その時は私の部屋に犬を連れて行ってやるのは避けた方が良いのでしょうか?

視線を合わせたり、無意味な声かけなどはせず無視しても(実際、仕事に集中するのでかまうことは出来ないと思います)、誰もいないLDKのケージやバリケンで長時間過ごすのは寂いしいし、人の気配だけでもした方がよいかと思いまして・・・(ドーベルマンのブリーダーさんなどは、とても寂しがるので長時間ひとりにしないで下さいと言われていますし・・・)


第4の相談。
家族でしつけについての認識や犬に対する意識を一致させるため、全員が堀川さんの本を読みました。私や父はとても共感でき、納得できているのですが、母が「これではなんのために犬を飼うのかわからん・・・私のようなおばあさんにはなんの楽しみもない」と言い始めました。

これまで飼って来た犬は、おやつを勝手にやったりはしませんでしたが、声をかけたり、時々撫でたりしていました。母にどう言ってやったらいいのだろうかと・・・実際、堀川さんのお母様は現在どのように接しておられどうように感じておられるのでしょうか?(お母様が堀川さんと同じようにされていないためにお母様には吠えたりされていたと書かれていましたが・・・)

今までは犬は犬、人間は人間・・・と割り切っていて、家にあげたこともなかったので、このように悩んだことは一度もなかったのですが、今度は室内飼いでドーベルマンとなるとしつけに失敗できないという思いが強いです。

里子を迎える前に聞いておき、しっかり心の準備をしたいと思っております。はじめが肝心ですものね。

長くなりましたが、アドバイスどうぞよろしくお願い致します。


返答内容秋田犬のオスを飼ったご経験があれば、ご心配されることはないですので自信を持って毅然と対応されてください。最初に家に来た数日を、特に気を付けましょう。

犬は環境が変わると、そこで新たに自分の立場を確立しようとしますので、そこで家族がチヤホヤ接しては絶対にいけません。特に今回は、ドーベルマン君の生い立ちを可愛そうに思って、そういう感覚で接してしまうと犬も関係を誤解しやすいです。

意味の無い声掛けナデナデは一切せず、世話もし過ぎないことです。ゴハン・トイレ・水・散歩、という最低限の世話だけ淡々としてください。最初の3・4日は特にそうしてください。環境に慣れてきたら、少しずつ主導型コング遊びや、リーダーウォーク・あお向け・スワレ・マテの基本形の教えを展開していってください。

それから、犬の訓練所に預けても意味はありません。犬は相手一人一人を見て感じて対応を変えていますので、訓練士さんとのギャップを感じてかえって見下されます。ご家族全員で学んでいただき、一貫して正しく接してほしいのです。


第1のご相談:

>猫のぬいぐるみなどで無視させる練習・・

↑これは良い事です。というよりも必要なことです。犬は知能が低いので、体現でシンプルに教えてあげないといけません。状況を作って教えてあげることと、言う事を聞きたくなる関係作りが大前提です。

そしてコング遊びも良いです。犬のしつけの意味もあるのですが、本来は捕食動物ですので小動物を追いかけるのは自然な反応ですので、それを発散するはけ口も作ってあげないといけません。

外の散歩での注意点ですが、ドーベルマンが突発的に引っ張った場合は大人の男性でも手だけでリードを持つのは危険です。リードをいったん、ご自分の腰に1周縛って、余った部分を手で持ってコントロールされると楽ですし、犬を逃がすことがなく安全です。

あまりボディハーネスにこだわらなくても、サイズが合った首輪で良いです。首輪が良いのは、飼い主さんが首輪をつかんで犬に型を取らせやすいというメリットもあります。

散歩中に猫や鳥や小型犬がいると反応するはずですので、すぐに犬の首輪をガッチリつかんで、犬におんぶするような形でスワレ・マテの指示を出しながら型をキープしてください。

そのままスワレでマテている間、犬をポンポンして褒めてください。もし吠えたら、「ダメ」とハッキリ伝え犬の口を手で閉じ吠えを止めます。そして叱って終わりにしないで、口閉じで良い型が出来たら、そこに「シ~」の指示音を関連付けながらポンポン褒めます。

褒めたらすぐ口を解放します。するとまた吠えますので、再度「ダメ」と・・・ひたすらこれを繰り返します。繰り返していくと口を放しても吠えない瞬間がきますので、そこでまた指示音を関連付けて褒めて反復します。

そういうふうに、慣れて経験できる場、教える場を積極的に作ってあげましょう。そして、何を叱っても褒めても教えても、犬との関係次第でまったく結果が違ってきます。普段の何気ない接し方に重点を置いて、関係作りを続けてください。


第2のご相談:

>自分がボスではないのでマーキングする必要がないと思わせればよい・・

↑もちろんこれもそうなのですが、良い型で褒める教えも必要です。手で犬の足を下げてあげて、オシッコしている良い型を作り、「チチチチ」の指示音でポンポンして褒めてください。

犬のしつけで物事を教える時は全て同じです。「悪い型を止めて・良い型を作りそこに指示音とジェスチャーの関連付けで褒める」。これだけです。そして「言う事を聞きたくなる関係作りです」。

しかし、唯一トイレのしつけだけは、犬のしつけで唯一叱ってはいけません。犬はただオシッコ・ウンチしただけですので、場所の失敗と結び付けられず、オシッコ・ウンチの行為そのものと叱られたことを結び付けてしまい、人の見ていない所でアチコチ粗相をしたり、隠れて食糞するようになってしまいます。

>家の中で、家族が見ているところでマーキングを始めてしまった場合、もう見ているしかないのでしょうか?・・
>始めてしまったら、その途中でも引っ張って行った方が・・

叱って止めるのではなく、マテの指示で止めましょう。スワレ・マテが色んな動作の基本にもなりますので。まずスワレ・マテは早く教えてください。そして、ケージから犬を出すときは、リードを付けて持っておく癖をつけましょう。

そうすれば、トイレへの誘導もできますし、犬の行動全体を自然に主導できますので関係作りにもなります。

それと、犬がオシッコしたくなる要素がありますので、寝起き・食前食後・ケージから出した時・ボール遊びなどの興奮で、その要素を作ってあげてください。

散歩中の外でしても叱らないで、足を下げる良い型と指示音の関連付けに注視してください。


第3のご相談:

やはり私が最初にご指摘した「犬の生い立ちを可愛そうに思って過保護に・・」の感覚をお持ちのようです。過去に飼われた犬は全て人間の部屋には上げなかったわけです。それだけ毅然さが保てていたわけです。

今回のように過保護の意識をお持ちですと、必ず犬との関係が崩れます。私達知能の高い人間の大人は、平等の精神や弱い者を助ける感覚がありますが、犬には理解できません。ただただ冷淡に「相手が自分にどういう態度で接してくるか・・」しか感じられないのです。

人間はドーベルマン君の境遇を可愛そうに思って接しますが、ドーベルマン君にはそれは理解できず、犬の本能で「コイツはなんだか従属的だな・・俺のほうがエライんだな・・俺は好き勝手するからお前は俺の言う事聞け・・」という感覚になっていきます。

犬の居場所をコロコロ変えるのはいけません。ケージ内にハウス・トイレ・水ボトルの4点セットで、居場所は固定して安心させてください。

子犬期はとっくに卒業していますし、新しい環境にはちゃんと順応しますから、家族のルールを決めたら毅然と対応するべきです。

客間は止めましょう。犬もお客さんもストレスです。今回は、ご自分の部屋かリビングか室内ガレージに決めて、常時居させるようにしてください。

犬の居場所を何ケ所か設定すると、気に入った場所に行きたい気分の時に、吠えて要求するようになってしまいます。それと犬中心の生活になってしまい、犬のための行動パターンになってしまいます。それは必ず何気ない接し方しぐさ態度に表れてしまい、いずれ関係が崩れます。

犬は群生が強いですから、みんな寂しがり屋で常に誰かと居たいです。でも人間と一緒に暮らすルールは教えないといけませんし、犬を中心にしてしまうと必ず関係が崩れます。自分を律することが、犬のしつけの第一歩です。


第4のご相談:

>母にどう言ってやったらいいのだろうかと・・

↑犬と接することが悪いのではないのです。意味の無い声掛けナデナデが誤解を与えます。ですので、声をかけたい・・触りたい・・と思われたら、オテでもスワレでも何でも良いので何か指示を出し行動させ褒める・・指示で出来なければ型を作ってあげて教えて褒める。という「意味のある接し方」にすれば良いだけです。主導性と毅然さが示せれば何でも良いのです。

主導型のボール遊び・・ゴロンで仰向け・・。いつでもどこでも「主導」を意識してほしいのです。

ですので、スワレ・マテ・コイ・オテで褒めるくらいなら、ご年配の方でも出来ます。(私の母にも「何か指示を出し行動させポンポン褒める・・」をしつこく言ってきましたので要求吠えされなくなりました)。

まず型で根気よく教えて定着させましょう。また、あお向けが出来る方がされている時に、そこにお母様を参加させてください。

>今までは犬は犬、人間は人間と割り切っていて・・

↑この意識は絶対に忘れてはいけません。むしろ室内飼いだからこそ、余計にその意識を強く持たないと、必ず関係が崩れます。


では、今回は以上です。最初の数日が一番大事です。犬は最初の印象で、相手との基準値を作ってしまいますので、チヤホヤ世話を焼き過ぎないように毅然と淡々と接してください。

頑張って続けてください(^-^)


犬のしつけマニュアル&個別相談の案内ページへ

 


【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
運営者の写真
犬のしつけ方針