犬のしつけがQ&Aで分かる!

盲目の保護されていた犬が噛む吠える場合のしつけ

質問内容
警察に保護されていた犬を引き取ったので年齢はわかりませんが、獣医さんの話では5歳くらいだそうです。犬種はプードルで盲目です。

普段はあまえたなのですが、音に敏感で無駄吠えがひどく、テーブルに手をのせるのを注意すると怒り出し、牙をむいて噛んできます。昨日も手を噛まれました。

私も今までいろんな犬を飼ってきたのですが、盲目な子は初めてで、どのように接したらよいか悩んでいます。

普段は私にまとわりついてマウンティングがひどいのも悩んでいます。

縁があって引き取ったのだからきちんと育ててあげたいのですが、成犬でまして盲目で、どのようにしつけをすればいいのでしょうか。

トイレはきちんと散歩でし、留守番もおとなしくできるのですが、無駄吠えと、噛み癖、マウンティングをどうにかしたいです。


返答内容
まず盲目の犬は、当然ながら神経質で不安症にもなりますし、警戒心も強くなり、警戒吠えや過敏な反応で噛んでしまうことは、健常犬に比べれば多くなります。それは理解してあげないといけません。

ですが、今回メールをいただいた分での私の直感では、少し違うように感じました。特にマウンティングが問題です。

もしかしたら、吠えも警戒ではなく、要求吠えかもしれませんし、噛み付きも防衛のためのものではなく、要求噛みかもしれません。

もしそうであれば、やはり犬と飼い主さんの主従関係が崩れてしまっています。

その辺をもう少し判断してアドバイスを差し上げたいですので、下記のように、サポート要領にあります項目をお知らせいただきたいと思います。

・飼い始めてからの年月日数や犬を飼うことになった動機なども
・ご家族全員の年代、性別、一日の愛犬との同居時間
・過去の接し方と、一日の流れ ※①~⑥は必ずお知らせください
【ポイント】(※本書を読む前の、以前の状況を正直にお知らせください)
①過去はどういうタイミングで、どういう「スキンシップ・遊び」をされてきましたか?
②過去はどういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?
③過去はオヤツ、抱っこ、猫なで声でナデナデなどされてきましたか?
④過去は散歩は何分、どんなやり方でしたか?
⑤過去は一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?
⑥愛犬のハウス・トイレ周りの構成、放し飼い・つなぎ飼い環境など(なるべくお写真メール添付でお願いします)

それでは以上、お待ち申し上げております。

飼い主さんからのお返事.png
早々のお返事ありがとうございます。犬を飼い始めた動機は、タイムラインに記事が回ってきて今週中に飼い主がないと殺処分になると言う事だったので、仕事をしているので留守がちになる為悩んだのですが、犬を引き取る事にきめました。

引き取って約3ヶ月です。家族は主人と私50代、息子10代です。

来た当初から主人には異常に怯えていて男性の声が怖いようです。(最近はなれてきました)

一日の流れは、朝の散歩は大体7時前後で20分位で夕方6時過ぎに20分くらいです。

目が見えていないのが不憫で噛まれても声を荒げる位で体罰的な事はしていません。

私はAM9:00~PM5:00迄仕事で留守ですが、一人の時はおとなしく留守番しているようで、近所の人も鳴いていないといっていました。

私が帰るとまとわりつきマウンティングしたがります。食事中はテーブルに足をかけるので手で払うと牙をむいて怒ります。

ゲージを用意していたのですが、入れると暴れて鳴くので入れていません。おもちゃには反応しないので遊びといっても手でジャレさせるくらいです。盲目が不憫で甘やかせ過ぎたのでしょうか?

マウンティングをしてきた時にごまかす感じで手でじゃれつかせていました。目が見えていないのでおもちゃやボールでは遊べません。

あまりしつこいときはパチンと拍手の音でおどかしてダメと言っていました。抱っこや甘やかしは可愛そうで多分必要以上にしていたと思います。噛んだり吠えたりは来た当初からです。

よろしくお願いします。

返答内容
今回は、①視力が悪い、②以前の飼い主に問題があった、③現在の甘やかし、の三つが重なっていると思われます。

まず、物音への反応と「来た当初から吠えたり噛んだり」ということでしたので、これは犬の視力が低いことから警戒心が過敏になっています。それと、以前の飼い主さんがきちんとしつけしなかったからです。

そして、中年男性を怖がっていたことから、以前の飼い主(中年男性)が犬を虐待していたか、もしくは保健所の職員(中年男性)の扱い方で恐怖を与えてしまったと思います。

ただ、これはもう過ぎたことなのと、他人のしたことですので、反省ができません。

これから関係作りをしながら、コツコツ教えていきましょう。正しく教え続ければ必ず良い方向に進歩はします。あきらめたり落胆されないで、淡々と続けていきましょう。

そしてもう一つの③現在の甘やかしもあります。

「マウンティング」と「食事中はテーブルに足をかけるので手で払うと牙をむいて怒ります」ということから分かります。

盲目による恐怖で噛むのであれば、どんな場面でも犬に触った瞬間に反応して噛み付いてきます。でもそうではなく、犬が自分の気に入らない状況になった時に噛むことが多いようですので、これはやはり主従関係を誤解しています。マウンティングも支配欲の表現です。

そして、今回のプードルちゃんですが、私の主観ですが、完全な盲目ではないように見えます。

お写真拝見しまして、視線の向け方と目の輝き方からして、もしかしたら少し見えているのかも知れません。

犬はとても嗅覚・聴力が高く、また空気のゆらぎも感じることができますので、目が見えなくても物の位置は大体把握できます。それで散歩もそれなりに歩けますし、部屋の中をウロウロできます。

ですが、「テーブルに足をかけたり人にマウンティングしてくる」あたりは、完全な盲目では難しいように思います。

さて、いずれにしましても、まずは主従関係作りはきちんとやっていきましょう。

前回も少しお話いたしましたが、犬の知能では「自分がかわいそうな境遇だから優しくしてくれているんだ」という理解はできないのです。

犬の本能でクールに冷淡に反応するだけです。

でも、人間の自然な感情として、目の不自由な捨て犬を不憫に思って溺愛したくなるのも、これもまた自然なことです。無理にその感情を押し殺すことはしなくて良いのです。

ですが、それだけでは犬の将来にとっても、ご家族の将来にとっても不幸なことになってしまいます。

ですので、主従関係作りは、やっぱりしていかないといけません。

かと言って、目が不自由な犬でもありますので、激変したり調教的なテクニックはいけません。まずは、ご家族全員が本書とQ&Aサイトを熟読していただき、犬の本質を良く理解していただければ、意識が少しずつ変わっていきます。意識が変われば自然と態度が変わっていきます。それを犬は感じ取りますので、自然に表現できるようになるまで、教材で学んで毎日意識していただきたいのです。

まずはそれが大前提です。それがなく表面的なテクニックだけでは、犬に見抜かれてしまいます。

さて、その上での教え方ですが、まずは少しずつケージ内の生活に慣らしていきましょう。

激変しないようにして、計画的に進めてください。例えば、今日は1分×3回、明日は2分×4回・・・などのように、優しいレベルから始めて少しずつ慣らしていきましょう。

そして、犬をケージから出している時間帯は、犬にリードを付けて飼い主さんが持っておくようにしましょう。

そうして団らんしたり遊ぶことで、犬の行動全体を主導する形になりますので、主従関係を意識しやすくなります。

そして、現行犯で教えやすくなります。

噛み付きも、吠えも、マウンティングも、テーブルへの足かけも、その瞬間に「シ!」などの注意音を出しながらチョンとリードを引き上げて注意してください。

それをコツコツ続けていただきたいですが、時には集中的に反復練習しましょう。

例えば、玄関チャイムでも良いですし、携帯の音でも良いですので、わざと音を出して犬が吠えたくなるような状況をあえて作って、練習していただきたいのです。

単発で突発的に教えられても、人間も犬もなかなか身に付かないものです。何度も繰り返して練習すると、理解力が高まります。

犬の前に片腕を見せてマウンティングさせても良いですし、犬の足を片手で触って噛むか反応をみても良いです。噛んだりマウンティングしたら、すぐにリードを持っているもう片方の手をチョンと引き上げながら音を出して注意してください。

それを繰り返すことで犬も理解していきますし、飼い主さんの毅然さや主導性も伝わります。

それから、お散歩はそのまま続けていただいて、出来ればもう少し時間が増えれば一番良いです。

遊びですが、もう少しだけ工夫してやってみてください。今あるボールやオモチャ、出来ればコングも買っていただいて、ヒモを付けて動かしてみてほしいのです。

あまりにも速い動きは、目が不自由なので反応できないかもしれませんが、ゆっくりジグザグ動かしてみたり、犬の目の前でチョコチョコ動かしてみることで反応する場合があります。

それと、わざと犬の口の中にコングを入れて、「キャッチ」などの音で褒めてあげると意味を理解し、転がして指示音を出すことで取りに行く遊びを覚える場合があります。今はまだ、遊びの楽しさを分かっていない可能性が高いです。

これもあきらめないでコツコツ教え続けます。

遊びの楽しさも、実は主従関係が影響します。遊びたい相手なのか、そうではない相手なのか、によっても同じ遊びでも反応が違ってきます。

これからは、愛情もかけつつ、お互いの将来のために良い主従関係を作っていきましょう。

それでは、今回は以上です。これから頑張って続けていきましょう(^_^)


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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