犬のしつけがQ&Aで分かる!

1歳過ぎた本気で噛む犬のしつけ

質問内容
先日は返信ありがとうございます。過去の状況などをお知らせします。

いかに私達のして来た事が、犬を困惑させていたかを思い知らされました。実は先週もドッグトレーナーの方2名と面接して来たところだったんです。今大変困っている事がありまして、出来ればご助言頂きたいと思っております。
 
もともと甘噛みの多い子犬で本気噛みも何度もされていたのですが、(私も例に漏れず)色々なしつけ本やネット上の記事を読んだり、ペットショップの店員さん、獣医さんなどの助言を聞いて、何とか噛む癖はいったんは治まっていたのです。

ところが先月上旬頃より、サークル内のトイレにしたウンチを片付けようとすると、物凄い形相で唸り、今にも飛び掛らんばかりの興奮状態になってしまうんです。前日まで私が手を突っ込んで普通にキレイにしていたのに・・・。誰がやっても同じ様に歯をむいて唸ります。

これまで何度か噛まれて血だらけになった事もあるのですが、めげずに世話してきました。でも今回はショックが大きすぎて呆然と云う感じです。そして何より恐さを感じてしまうのです。

何がきっかけか、と言うより、今まで私達が犬に対して取ってきた態度全てが間違っていたと深く反省する日々です。やっとワンちゃんを迎えられたと言う嬉しさのあまり、皆でチヤホヤしてましたので・・・。

今のところ、どうしても飛びついて来そうな所にウンチをしてしまった時は、ハウスとトイレの間を遮断(サークルの天井部分を使ってます)して片付けています。ウンチした場所によっては、思い切って手を突っ込んで取っています。かなり勇気が要りますが。

トレーナーさんからは預けるよう勧められましたが、出来れば自分たちの力で解決したいのです。何かアドバイスをして頂けたら幸いです。

犬はミックス犬で1歳1ヶ月♂ 生後2か月から飼い始めました。

家族構成:主人(50代)、私(50代)、次女(10代)、次男(10代)、三女(10代)
同居時間:主人(帰宅後数時間、夕方散歩はほぼ毎日)
私(用事がない限り在宅なので、一番長時間犬のそばにいます。ただし遊ぶ時間は決めてます。時々散歩もします)
子供たち(学校から戻って時々遊びや散歩に同行)

過去の状況:

①家に連れてきた翌日より、犬のご飯、ウンチが済んだ後で、敷物を敷いた上で遊ば せました。(主に私と娘たちです)ブラッシングも割りと早くから始めました。

②犬用のおもちゃ類(ボール、ロープなど)を使って。犬はおもちゃをかじって、いくつもダメにしました。物に対する執着心は強く、食べてしまったり、取ろうとすると手に噛み付きました。また、手先足先に触られる事が凄く嫌いで、汚れた時拭いてやるのに一苦労でした。

③手を噛まれたとき、まだ甘噛みの段階では「ダメ!」と強く言う程度です。三女は恐がって、手を隠していたり、追い払うように手を振ったので、犬はこの段階で既に誤解していたものと思われます。

無視する、とか遊びを中断するとかはしませんでした。とにかく皆(特に女子組は)犬の事を甘やかし、チヤホヤし、常にかまいたがりました。それと、ご褒美のおやつも早いうちからあげてました。(主にボーロ)ブラッシングをやらせたり、涙やけの手入れをやらせたりした時です。

④おやつ、抱っこ、ナデナデ、声かけ・・・全部やってます (-_-;)

⑤散歩は20分位から始めました。座り込んで歩かないときは抱っこもしてました。(今は抱っこはしません)引っ張り癖も強かったです。あと、拾い食いで困りました。葉っぱをくわえて離さないので、おやつと交換させようとして思い切り噛み付かれた事もあります(6ヶ月頃)散歩に出かける時間は決めていません。

気候により、午前だったり午後だったりします。雨の日は家の中での遊びだけです。犬は散歩が凄く好きという風ではありません。リードを付けたがらない事もしばしばです。(特に主人の時)

⑥朝のあいさつ(ナデナデ)、家族の食事後犬の朝食、午前中遊びとお手入れ、昼食(3回食時)、夕方子供らと遊ぶ&散歩、家族の食事後犬の夕食、就寝。
 
ハウスはリビングの隅に設置。でも4ヶ月前までは、リビングの出入り口付近でした。(落ち着かないと判断し移動しました)ハウスの写真を添付しました。
 
トレーナーさんの件ですが、指導は受けていません。1度相談に行っただけです。
 
あと1つ書き忘れていたんですが、今回ウンチを取らせない問題が発生する以前から、時々嘔吐した物を片付けようとした時、(今のウンチと同じ様に)凄い形相で唸って噛み付こうとして、片付けさせないと云う状態になっていました。いまだに嘔吐物は、吐いたら即食べてしまっています。
 
まとまりなく書いてしまいましたが、以上のような感じです。


返答内容詳細ありがとうございました。現在1歳1ヶ月なのですね。子犬のころから飼われているわけですね。前回のメールで、「1歳1ヶ月から飼い始めて11か月」だと勘違いしてしまいました。確認して良かったです。

さて、犬のしつけですが、やはり関係作りが大切です。それをご家族皆さんが考えたり、実際にやっていかないと、訓練所から帰ってきてもまた少し経てば同じことになってしまいます。

訓練士さんと犬の関係作りをしてもあまり意味はなく、一緒に暮らす家族との関係作りをしないと意味がないのです。

ただし、とにかく焦らないこと・結果を求め過ぎないことです。犬の中でもう基準値が出来あがっていますので、それを少しずつ少しずつ解きほぐして変えていく必要があります。

犬からしてみれば、今まで甘やかしチヤホヤされ続けて、自分の優位性も確信してきたわけです。そこから犬のしつけが本格的に始まれば、当然面白くないので反発もします。

ですので、激変しないで数か月かけるくらいの大きな気持ちでジックリ展開していきましょう。そして、もちろん犬のしつけは生涯続けてあげないといけないのです。

まだ1歳ちょっとですから成長期は残っていますし、哺乳類ですから生涯学ぶことも出来ます。「もう手遅れなんじゃないか・・」など、余計なことは一切考えなくて良いです。

時間はかかるのが当たり前なので、そのおつもりで淡々と続ければ良いのです。

もう過去の間違いに気付いておられますので、それは素晴らしいことです。皆さんはもう進歩しているのです。

さて、では過去について見ていきましょう。

まずは環境ですが、4点セットで良いですね。

1、犬は最初の数日の接し方でもう基準値を作ってしまいます。もう定着してきていますので、これからは本当に根気よく一貫していかないといけません。

2と3、それから「嘔吐物・ウンチの回収時噛む」ということですが、まずは犬を怖がらなくて良い準備をしましょう。

作業用の革手袋がホームセンターに行くと500円くらいで買えますので準備しましょう。そして、何かケージ内の物を回収する時に仕切りとして、木の板でも良いですし金網でも良いですので、それを置いて作業しましょう。

人間の緊張・興奮・恐怖などはホルモン(フェロモン)の変化が体臭の変化になり、また鼓動や表情の違いなどから犬に伝播することが科学的に証明されています。

まずはリラックスできる準備をすることは大切です。

では噛み癖の対処ですが、受け身の対処というよりは、もうそうさせないように積極的に練習したほうが良いです。

先ほどの手袋もそうですが、心配なら腕輪(長袖を着るかタオルを巻くなど)も装着しましょう。

まずは犬の首輪を片手でつかんでスワレの型をキープさせておきます。あるいは犬にリードを付けて、誰かに短く持って張っておいてもらっても良いです。

そして、オモチャやコングなどを見せます。手を見せただけで噛むようなら物は要りません。(犬が噛みたくなるような状況を作る)

犬が噛んだら、「ダメ!」や「シ!」の注意音と同時に犬の口を手で閉じても良いですし、犬の口に手を少し押し込んでも良いです。

そして、犬が嫌がってのけ反って放した瞬間で褒めてあげてください。肩付近をポンポンして褒めても良いですし、触れないようなら声だけでも良いです。甲高い声で従属的な褒め方はNGです。

そして褒めたら、また手を見せて犬が噛みたくなる状況を再度作ります。犬が噛んだら、再度「ダメ!」や「シ!」の注意音と・・・ひたすらこれを繰り返しましょう。

他には、犬にリードを付けてご自分で持っておいて、手を見せて犬が噛んだり素振りを見せたら注意音と同時にリーダーウォークに移行しても良いです。

まだしつけを始めたばかりですので、長時間の無理はいけませんが、上記を淡々と繰り返して教えてください。

繰り返していくと、手を見せても噛まなくなる瞬間がきますので、褒めて何度も反復してください。

5の散歩もリーダーウォークを意識していただきたいですが、外は誘惑も多く社会化の要素などもありますので、家の中でもリーダーウォークを意識してしましょう。ケージから犬を出す際は、リードを付ける癖にされれば、暴走やトイレの失敗も防げますし、犬の行動全体を主導できますので関係作りにも良いです。

そしてゴハンを食べさせる前に、少しリーダーウォークをしてマテをさせてから食べさせると良いです。

4ですが、まずオヤツは止めましょう。従属的ですし、栄養のバランスも崩れていますし、好き嫌いを覚えてドライフードを食べなくなってしまいます。

そして、意味の無いジロジロ見つめて声掛けナデナデも従属的になります。下位の犬は、上位やリーダーにすり寄ってナメナメ挨拶しますが、それと同じことをしてしまっています。

抱っこも誤解する犬がいます。犬どうしで体を合せる時は、上位が下位の上に乗ろうとします。マウンティングも飛びつきも同じ理由ですが、つまり体位が関係を示しているのです。

団らんでマッタリする時は、抱っこでなくても、わきにピッタリ寄り添わせることでも良いわけですし、褒めたりスキンシップをとりたいのであれば、スワレでもオテでも何でも良いので何か指示を出し行動させ褒める・・指示で出来なければ型を作ってあげて褒めて教える・・

そういう接し方なら、スキンシップもできますし物事も覚えますし、主従関係も保てるわけです。

いつでもどこでも毅然さと主導性を意識してください。毎日毎日意識していくことで、自然に自分のものになり、犬にも伝わっていきます。

表面上の手法の上塗りではなく、自然な意識からくる態度やしぐさが一番重要なのです。

その他、余談ですがロープの引っ張りっこは止めましょう。対面しての力比べで対抗心が強くなり、人の服を噛んで引っ張ったり、動く人間に過敏に反応する癖が付きやすくなります。

遊びは主導型のコング遊びにしましょう。

ちゃんと変わっていけますので、あせらず期待せず、やるべき事を淡々と続けることです。まずは家族会議で統一、一貫しましょう・・・

 

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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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