犬のしつけがQ&Aで分かる!

子犬のしつけで咬む事

質問内容・問題の内容:咬む、その他色々
・愛犬の犬種:ヨークシャテリア ・年齢:2か月 ・性別:メス 他の愛犬:無
・家族全員の年齢、性別一日の愛犬との同居時間:私(47歳、女、ほとんど)、娘(18歳、女、あまり家にいない)

・過去の接し方と、一日の流れ
①どういうタイミングで、どういう「スキンシップ」をされてきましたか?:近くに来た時に、あおむけにして全身を撫でる。夜、10分くらい全身をマッサージ。

②どういうタイミングで、どういう「遊び」をされてきましたか?:近くに来た時に、オモチャを揺らして。ボールを投げて持って来させる。

③どういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?:食前に待て。 食後のトイレ。上手く出来たら褒めてあげた。 『おすわり』が出来た時、褒めてオヤツをあげた。

④オヤツ、抱っこ、ナデナデ、声かけなどされてきましたか?:し過ぎた様な気がします。

⑤散歩は何分、どんなやり方でしたか?:まだしていません。慣らす為、抱いてベランダや外に出ています。

⑥一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?:5時半~6時にトイレに起き、私が起こされる→ミルクを飲ませる(子犬用)→寝る→起きて食事→全身を撫でる→寝る→ボール遊びなど→寝る→起きる。なるべく放っておく。近付いて来たら少し遊ぶ(何度か繰り返し)→寝る→起きて食事→全身をマッサージ、拭く、ブラッシング。→寝る(10時~11時)

家に来て1ヶ月になります。
困った事だらけで、どうして良いのかわからない現状です。

中でも一番困っているのは『咬む事』です。
とにかく何でも咬みます。
私や娘の指はもちろん、洋服、タオル、ラグ、家具...
『いけない!』と叱ると唸りながら床を凄い勢いで掘る様な仕草をします。咬みやすいオモチャやガムを用意しましたが、やはり何でも咬み、叱るとオモチャを銜えて唸りながら振り回します。

私は生まれた時から家に犬がいました。
その子達には問題がある子はいませんでした。
生まれて間もないヨーキーの♀がいた事もあります。

私の感覚では『犬は言う事を聞くのが当たり前』でした。誰もわざわざ躾をした事はありませんでした。が、みんなとても従順でした。家を開ける事があっても良い子にお留守番していました。

子供の頃から犬と家族の様に暮らして来たのでハウスはありましたが、サークルに入れる習慣は、ありませんでした。それが原因なのでしょうか?

また、寝ていても私が少しでも動くと目を覚まして付いて来ます。家に来た当初は、留守番をさせて仕事に出ていました。それが不安にさせる要因となってしまったのでしょうか?

10日前から月末まで仕事は休んで家にいて躾をしようと思いましたが、全く言う事を聞かず反って酷くなってしまっています。『あおむけ固め』をしたら。小さいクセに物凄く抵抗をし、より狂暴になり足にも咬み付いて来ます。

私の事を下だと見ているのでしょうか?
私がイヤなのでしょうか?

そのクセ、トイレやお風呂に入っただけで付いて来て切なそうに甘えた声で鳴きます。出掛ける時も、もちろん。いない時には、どの様にしているのか隠れて見ていても、すぐに見つかってしまいます。

話はズレますが『おすわり』が、すぐ出来る様になって、その度にボーロをあげていたら、自分から『おすわり』をする様になり、あげないでいると怒ります。

因みにアイコンタクトは全然出来ていません。見ているので声をかけたり見つめると目をそらします。何だか、さっぱりわかりません。

長々と失礼しました。
アドバイスよろしくお願い致します。


返答内容まず、この月齢の子犬の知能は理解してあげてください。経験も何もないですし、知能があまりにも低いので覚える能力や集中力もありません。

ただし同時に、社会化に一番柔軟な時期でもありますので、結果は出にくい・・でもやり続けなければいけない・・という一番難しい時期なのです。

これから成長に伴って変化も激しい時期が1年くらい続きます。そういうものだ・・ということは頭の隅に置いていただいて、感情的にならずに成長を楽しみながら淡々と続けてください。

さて、まず咬みつきですが、子犬はおそらく生後2か月よりもだいぶ前に親犬や兄弟犬から引き離されていると思います。本来は親犬が淡々と咬み癖を叱り、兄弟ゲンカの中でも学んでいきますが、それができていません。

ですので、これからは人間家族がそれを淡々と一貫して教えていかないといけません。

また、現代のブリーダー・ショップも利益のみを追求してしまい、子犬のしつけや教育を無視・・という現状も影響しています。

過去に飼われた犬達は、素性や生まれ育った環境がとても良かったです。しかし、今のヨーキーちゃんが悪いのではありません。ごく普通の子犬の行動です。

過去に飼われた、犬達との良い思い出は大切にしまっていただいて、でも「犬のしつけは楽」というイメージは捨てて忘れてください。絶対に今のヨーキーちゃんと比較してはいけません。

これは、過去に良い犬を飼ったことがある飼い主さんが陥ってしまう典型的なパターンです。過去の犬と無意識に比較してしまい、「なんでこの犬は出来ないんだ・・この犬は障害児か・・」などと悲観してしまうのです。

その意識のまま、犬のしつけをしたり一緒に暮らしても楽しくもないし、イライラが募るばかりで悪循環になっていきます。

今回は、まずは過去の楽なイメージを捨てて、絶対に比較されないことです。それだけお願いいたします。

今の月齢では、まったくあせる時期ではありませんが、気を付けていただきたい接し方もいくつかありますので、お話していきます。

>近くに来た時に、あおむけにして全身を撫でる。夜、10分くらい全身をマッサージ・・

↑犬の要求に合せて少し従属的になっています。なでる・・マッサージ・・は止めましょう。あお向けにして全身を触ることは必要なのですが、ナデナデではなく、ポンポンすると良いです。

褒め方も同じですが、猫なで声でナデナデはいけません。犬同士の挨拶では、下位の犬が上位やリーダーにすり寄ってナメナメします。人間から撫でられる行為を誤解する犬がいますのでご注意です。

>ボーロをあげていたら、自分から『おすわり』をする様になり、あげないでいると怒ります・・

↑これがオヤツの悪いところです。表面上犬が行動するので、犬との関係が出来ていると誤解してしまうのです。これは一番怖い事です。そして栄養バランスも崩れていますし、成長して知能が高くなってくるとドライフードを食べなくなったりします。

褒め方は、スワレの音とジェスチャーを関連付けながら犬の肩をポンポンして毅然と褒める・・そして、それがご褒美になるような関係作りを、時間をかけてやっていくべきなのです。

それとスキンシップにも主導を取り入れてください。スワレでもマテでもオテでもゴロンでも何でも良いので、とにかく「指示→犬が行動→褒める」というパターンで接することです。指示で出来なければ型を作って教えて褒めれば良いです。

何となく声掛けナデナデ・オヤツにマッサージではなく、いつでもどこでも必ず「主導」することです。そういう接し方なら楽しくスキンシップもできますし、物事も覚えますし、主従関係も深まっていきます。

咬み癖は口閉じで「ダメ!」で叱りますが、叱って終わりにしないで必ず良い型と音を関連付けて褒めることです。口を閉じながら「シ~!」の音を言い続けながら犬の肩をポンポンして褒めてください。

褒めてすぐ解放します。解放したら、あえてまた手や服などを見せてください。咬んできますので再度「ダメ!」で叱り・・音の関連付けで褒めて解放・・また手を見せる・・これを、子犬が根負けするまで繰り返します。

手を見せても咬まなくなる瞬間がきますので、褒めて何度も反復します。手が痛ければホームセンターで600円くらいの作業用皮手袋を買ってください。今はとにかく知能が低い月齢で、親犬からしつけを受けられなかった場合は特に時間がかかりますので、それは理解して大きな気持ちで続けてあげてください。

音を「シ~!」にする理由は、留守番鳴きや吠えのしつけの時も「シ~!」で止めさせることができるからです。「口を閉じで静かに待つ=シ~!=褒められる」を関連付けるわけです。

>10日前から月末まで仕事は休んで家にいて躾をしようと思い・・

↑これがかえってかまい過ぎになっている可能性があります。それと、今度お仕事が始まった時の孤独とのギャップが大きくなりますので、距離は置いた方が良いです。接する時は毅然と主導します。

>『あおむけ固め』をしたら小さいクセに物凄く抵抗・・

↑結果を急ぐと無意識にやりすぎている場合があります。前述してきた心構えもそうですが、抵抗が強い場合は無理せず、ボール遊びの中に自然に織り交ぜて慣れることから始めましょう。

ボール遊び・・一瞬犬をひっくり返してすぐ褒めて解放・・またボール遊び・・一瞬ひっくり返して褒めて解放・・を繰り返しながら、少しずつ仰向け時間を長くしていけば良いです。

>私の事を下だと見ているのでしょうか?
>私がイヤなのでしょうか?

↑この月齢では、まだ明確に関係性を認識しているわけではありませんが、オヤツやマッサージ・声掛けナデナデを続けていると、子犬でも段々自分の優位性を感じていきますし、普段自分がチヤホヤされていて、そこに急に仰向けされたりすれば嫌がるのは当然です。

犬のしつけは全てつながっています。普段の何気ない態度しぐさ接し方・・犬は全部見て感じているのです。

>慣らす為、抱いてベランダや外に出ています。

↑抱っこは犬に関係性を誤解されやすいので止めましょう。また自分の足で歩くことをおっくうがります。移動時は、カバンやバッグやリュックサックに入れて移動し、目的地に着いたらそこで下ろして、自分の足で地面に立たせてください。歩く必要はありません。

もちろん予防接種前は、草むらに入れたり他の動物の糞尿に近づけないようにします。外を歩く他人・動物・車や自転車などを距離を置いてたくさん見せる・・それが良いです。

>因みにアイコンタクトは全然出来ていません・・

↑ご自分の目を指差し「ミテ」の音で関連付けできます。ボール遊びで投げる前に、スワレ・マテで褒める・・さらにミテの指示とジェスチャーで目を見させます。最初はボールばかり見てできませんが、犬の下アゴを手でつかんで自分の方に犬の顔を向けさせます。目が合うまで待って、合った瞬間ミテの音と同時にポンポンして褒めてボールを投げます。

そういうことの繰り返しで、アイコンタクトもできるようになりますし、犬の集中力が増し、人間の指示を待つようになります。

ただ、いずれにしてもお話したようにまだまだ知能が低い月齢ですから、あまり期待はしないで楽しみながら続けることです。その心の余裕も犬に伝播しますから、大きな気持ちで淡々と続けるように意識されてください。

では、頑張ってください(^-^)


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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