犬のしつけがQ&Aで分かる!

犬の多頭飼いで先住犬が後住の子犬を嫌がって逃げてしまう

質問内容
この度、犬の2頭目を迎え、人生初の多頭飼いに試行錯誤をしているところ、堀川様の著書に巡り合うことができました。

著書を拝見いたしまして、問題がないと思っていた1頭目の育て方についても、色々反省すべきところがあることに気付き、改めて犬と生活する難しさを痛感しています。

まずは予想以上に活発だった2頭目と、良好な主従関係が気付けるよう、早速ボール遊び用のコングを購入しました。

首輪はまったく気にならないようで、あとは肝心なリードウォークがうまくできるよう、努力したいと思います。(仰向け固めは抵抗しません。)

さて、ご相談については、後輩犬単独のことではなく、先住犬との関係のことです。

以下、記載させていただきますので、長文で大変恐縮ですがご確認くださいますようよろしくお願いいたします。

・問題の内容:

【1】先住犬が後輩犬に慣れないように見え、今後の2頭の生活に不安を感じています。

後輩犬を迎えて1週間です。後輩犬が予想以上に活発で、先住犬に常に必要以上に噛もうとします。

先住犬は逃げ回ってしまい、フリーにしているときでも常に警戒し、今までのようにゆったりマイペースに過ごすことがなくなってしまいました。

後輩犬がサークルの中で騒ぎ始めると、アワアワといった感じで、すぐに「自分の場所」(後述)か、後輩犬の見えない場所へ避難します。そして、しばらくすると物陰からじっと飼い主を凝視しています。

単純にじゃれているように思えますが、あまりに後輩犬が延々と行動に出るので、飼い主としては、勝負を挑んでいるように見えます。

なお、先住犬に火がついて喧嘩をしだすと、勝つのは先住犬です。後輩犬が仰向けになります。また、先住犬がマウント行為を行います(実はこれは良くないのではないかと気になるのですが)

昨日からは、後輩犬がケージで寝ている時のみ、同じ空間(でも距離はある)で寝るようになりましたが、やはり慣れるのに時間がかかりすぎているのではないかと思っております。

できれば、飼い主がいない間でも、2頭が寄り添うように生活ができたらと考えています。まだ1週間なので焦りすぎなのかもしれませんが、このままで良いのかどうか、アドバイスがありましたらよろしくお願いいたします。

【2】先住犬の「落ち着く場所」(後述)が、リビングから見えない場所にあります。

上記のとおり、後輩犬から逃げるときはその場所に入ってしまうため、リビングから見えないことが多くなってしまいます。
逆に考えると、後輩犬から見えないところにいることによって、【1】のような状況になっているのではないかと考えています。そこで、今からでも「自分の場所」を後輩犬の見える場所へ移動させるべきではないかと考えているのですが、この考えは正しいでしょうか?

ただし、すでに5年が経過してしまっているので、突然場所を変えると、かえって先住犬のストレスを大きくさせるのではないか...という危惧も感じています。

以下、我が家の状況をお伝えいたします。ご参考いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

◆先住犬
・犬種:イタリアングレイハウンド
・年齢:5歳1ヶ月、♀、3ヶ月の時にブリーダーからお迎えしました
・今の問題点:
特に感じたことはありませんが、散歩中に友達を見つけると、少しリードを引っ張ってしまいます。
吠え癖・噛み癖はありません。
仰向け固めは、遊んでいる時や、散歩後の足拭きで日常的に行っています。

◆後輩犬
・犬種:同犬種
・年齢:3か月、♀、1週間前に先住犬と同じブリーダーからお迎えしました
迎えるにあたり、先住犬と一緒にブリーダー宅で、1時間半様子を見ました。
パピーは3頭いたのですが、今回お迎えしたパピーが一番下っ端そうだったのと、先住犬と少しの時間だけ遊ぶことができた唯一の子だったので、決めました。(その他、骨格が良かったことも理由のひとつです)

◆家族
・夫婦2人暮らし、30代です

◆一日の愛犬との同居時間
・共働きのため、平日の留守番時間は11時間。(長いことは自覚しています) それ以外は、ほぼ一緒です。

◆過去の接し方と、一日の流れ

①過去はどういうタイミングで、どういう「スキンシップ・遊び」をされてきましたか?

(先住犬)
→出勤前・出勤後に、お散歩やボールの取ってこい等、スキンシップの接し方としては、ムツゴロウさんに近い形です。
1歳までケージ中心の生活をさせていましたが、それ以後は、2階リビングと1階の私たちの寝室を行き来できるようにしています。留守番中や、本当に疲れて眠いらしいときは、私たちの寝室で寝ています。トイレと水は、寝室と2階リビング設置しています。

(後輩犬)
ほぼ一日ケージ(リビングに作りました)で、スキンシップのときやお散歩(スリングに入って先住犬と一緒に)で出しています。

室内でボール遊びをするときですが、まず初めに先輩犬と遊ぶ。その間、後輩犬はケージで待機。(泣き叫んでいます。)
その後、後輩犬をケージから出して遊ぶ。(後輩犬と遊ぶときは、先輩犬に「●●(後輩犬の名前)と遊ぶね」と声をかけてから外に出します。)

後輩犬と遊んでいる時、先輩犬は参加しようとせず、立ったまま遠くからじっと飼い主を凝視しているようです。

②過去はどういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?

→しつけの方法は、当時どなたかのマニュアルを拝見し、悪いことは天罰方式(キッチンに入ろうとするとペットボトルが降ってくる等)でしつけをしてきました。誉め方は、ムツゴロウさんのような感じです。基本的に、声の高低の使い分けで、良いこと悪いことを判断させるようにしていました。

③過去はオヤツ、抱っこ、猫なで声でナデナデなどされてきましたか?

(先住犬)
→抱っこは、必要に駆られた時のみですが、飼い主が床に座っていると、膝の上で丸くなりたがります。
オヤツは、食後~寝る前のタイミング(時間は決めていません)に、歯磨き代わりとして馬アキレス等の固いものをあげています。
ナデナデは、よくしています...。
ゴローンと仰向けにして猫なで声といった感じでしょうか。

④過去は散歩は何分、どんなやり方でしたか?

→朝15分、夜40~60分
朝は家の周りを歩く程度、夜は、時間に余裕があるときは近くの海岸へ行き、走って遊びます。ボールのとってこいが中心です。

⑤過去は一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?

6:30 散歩・スキンシップ
7:00 朝のエサ
7:30 当方自宅発。留守番開始。
18:30 当方帰宅。留守番終了
19:00 散歩・スキンシップ
20:00 夜のエサ
(私たちの食事開始と同時くらい。エサをあげるときには、すでに主人が晩酌をはじめているため、順番としては後になるのでしょうか。)
24:00 就寝(ですが、22:30頃に勝手に寝ていることが多いです)

⑥愛犬のハウス・トイレ周りの構成、放し飼い・つなぎ飼い環境など

添付いたします。


返答内容
今の時点では、まったくご心配されることはありません。

まだ後住イタグレちゃんがあまりにも幼すぎて、今は単なる小さな猛獣状態です。

主従関係を理解できる月齢ではありませんので、「勝負を挑んでいる」というよりは、とにかく遊びたい、興奮している、動く物に本能で反応している、というだけです。


本来は、犬にとって人間の子供や子犬というのは怖い存在なのです。落ち着きが無く騒がしく、何をしでかすか分からないので、避けたがる犬がいます。自然なことです。


先住犬から、子犬の教育をしてもらうのも良いことですので、時にはケンカ(先住犬からのしつけ)もさせながら、慣れさせていきましょう。


>先住犬に火がついて喧嘩をしだすと、勝つのは先住犬です・・
>後輩犬が仰向けになります・・
>また、先住犬がマウント行為を行います・・

↑ですので、これで良いんです。逆だと困りますが(笑)

子犬にとって、社会化の学びの過程になります。


>やはり慣れるのに時間がかかりすぎているのではないかと思っております・・

↑急には適応できません。ましてや相手は、知能も経験も何もない小さな猛獣状態です。子犬が成長して落ち着きが出てくるまでは、しばらくは嫌がるのは自然なことです。

ただし、今のように放してさせるのは良くありません。

まだ子犬が猛獣状態なのと、お互いに慣れていませんので、子犬にリードを付けて飼い主さんが持って制御しながら、少しずつ触れ合いをさせてください。

また、子犬が噛もうとしたら、「シ!」などの注意音でリードをチョンと引き上げて注意してください。これは飼い主さんに対しての噛みつきでも同じです。

先住犬はフリーで良いです。


それと、もし先住犬がいなかったとしても、子犬にリードを付けて持って過ごすことは良いことです。

暴走もトイレの失敗も誤飲事故も防げますし、犬の行動を自然に主導する形になりますので、主従関係作りにも良いです。お散歩デビューの練習にもなります。

先住のイタグレちゃんは、頭が良く落ち着きがあって、とても素性の良い子でした。

しかし、その子と同じように後住のイタグレちゃんと接していくと、主従関係は崩れる可能性があります。これは後住のイタグレちゃんが悪い犬なのではなく、普通なのです。先住のイタグレちゃんが特に良い素性だったと思っていただいて結構です。

ただ、犬もみんな個性があります。単純な良い悪いではなく、個性なのです。絶対に比較して悲観などされないことです。


>すでに5年が経過してしまっているので、突然場所を変えると、かえって・・

↑先住イタグレちゃんの居場所は変えないでください。落ち着ける場所はそのまま確保してあげてください。

まずは、お話しました通り、子犬をリードで制御・教育しながら、先住犬と過ごす時間をたくさん作って慣れさせていくことです。

きちんと飼い主さんに制御されていることを知れば、先住イタグレちゃんも安心できます。また、飼い主さんがビシッと主導して、群れ全体をコントロールするべきです。それを犬達にしっかり示してください。


>まず初めに先輩犬と遊ぶ。その間、後輩犬はケージで待機。(泣き叫んでいます。)

↑子犬も出してあげて良いです。ただし、リードで制御して、主体は先住犬の遊びが優先で、そこにチョイチョイ混ぜてもらう感じで良いです。


>誉め方は、ムツゴロウさんのような感じです・・
>声の高低の使い分けで、良いこと悪いことを判断させるように・・

↑もちろん、態度の抑揚はつけていただいて良いのですが、ムツゴロウさんがテレビで見せていたような大げさや猫なで声でナデナデはご注意です。

犬の興奮をあおってしまって教えが入っていかないのと、犬によってはそれを従属的に感じたり、いわゆるウザイと感じるだけになります。

抑揚は付けつつ、リーダーらしく堂々と静かに褒めてください。それと、良い型に指示音ジェスチャーを関連付けて、ポンポンポンで褒めることです。犬の名前も混ぜると良いです。(叱る時は名前は絶対に呼ばないこと)


>エサをあげるときには、すでに主人が晩酌をはじめているため、順番としては後になるのでしょうか・・

↑このくらいは気にされなくていいです。

犬の直後に人間が食べたり、犬を優先する意識がなければ良いです・・・


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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