犬のしつけがQ&Aで分かる!

飛びつきと人間の手を怖がる犬のしつけ

m1.png3ヶ月ほど前に縁があり、トイプードルの保護犬の里親になりました。妻は5匹目ですが、私自身は小さいころから犬を飼うのが夢でしたが、母は大の犬嫌いでした。その母も他界し2年が過ぎ娘も独立したので、ようやく決心がつき里親になった次第です。

何しろ犬を飼うのは初めての経験でしたので、事前に色々ネットで知識を得ようとしていたところ、たまたま堀川様のサイトを拝見させていただき、何にも知識がない私ですが、共感しマニュアルを購入いたしました。

家に来た時点ではまだワクチンが済んでいない(獣医さんによれば大体生後3ヵ月位との事でした)状態でしたので、だっこで外に連れて色々経験させており、家の中で堀川さんが勧めるリーダーウォークを実践しておりました。

ところが、ワクチンも済んで最初の散歩、悲劇的でした。とにかく拾い食いの連発でそれをさせない事にこちらが懸命でリーダーウォークどころではありませんでした。その後私は仕事の関係で海外に出張に出てしまい、その間は妻に任せておりました。

ところが、妻のやり方はいわゆる"エサで釣る"方式で確かに散歩も当初よりは上手にはなっているものの、堀川さんがおっしゃる様に散歩中もアイコンタクトではなくご褒美をくれる手を見ておりました。

お座り、待て等もほぼ一日かからずに覚えましたが、やはりご褒美が目的に思われて仕方ありません。私が帰ってきてから妻とも話し、"堀川式"(勝手につけました)に変更しましたが、たった2日間で家では明らかに態度に変化が出てきています。

ただ、いままでご褒美を貰って従っていた事(例えばお座り、待て等)はしない訳ではありませんが、明らかに反応が悪くなっています。経緯は以上です。家での環境は来客時、就寝、食事は居間にあるトイレルーム付のケージの中にいわゆるキャリー兼用クレートを置いてその中に居させております。普段家族だけの時はリビングにおります。

今回ご相談させていただきたい事は、

1.何せ興奮すると飛びつきます。特に"かわいいねー"とか言われようものなら、いくら抑えようとしてもどうにもなりません。

2.家具等は一切噛まないのですが、ブラッシングの際や上記1.のケースでも飛びつき、相手の手を甘噛みます。噛んで良い縄のおもちゃとは強さは全く異なりケガをすることはありませんし、ここのところ乳歯がだいぶ抜けてきているせいかどうかは判りませんが少し落ち着いてきてはいるものの、やはり噛みます。

3.とにかく手を怖がります。後ろから抱く分にはなんら問題ありませんが、前からはまず抱けませんし、ゆっくり手を出しても前からだと後ずさりしてしまいます。

生い立ちによるものではないかとは言われたのですが、(家の犬はいわゆるアンダーでブリーダーが倒産した際に売り物にならないから処分するというのを引き取ったので、その前に何人もの人におさえつけられ、あごの状態を見られているようです。)

何か良い方法はありませんでしょうか?

以上、お忙しいところ、長々と申し訳ありませんが、ご教授のほど、宜しくお願いいたします。


m2.pngまずお話しておきたいのは、3ヶ月の犬の現状から知っていただきたいと思います。今の時期は、犬に何も期待しないでください(笑い)・・愛情の見返りや結果を求めてはいけません。何も経験がない、知能もない小さな猛獣だという現実です。

それが今の時期の、犬の普通なのです。まずそれを受け入れて許してあげてください。そしてここから少しずつ主従関係を積み上げ、ルールを教えていけば良いのです。あせると悪循環になるだけですので、リラックスして成長を楽しみながら犬のしつけに取り組んでください。

犬は本来捕食動物です。物を捕まえ、噛み付き、引きちぎり飲み込む・・落ちている食べられそうな物は片っ端から胃袋に詰め込む・・この能力が高い個体が、生き残ってきました。生れてからも、その能力を磨こうとします。人間との生活における問題行動は、実は犬が生きるための本来の行動そのものなんです。

ですので、犬のしつけを始めたばかりでは現状が当たり前です。まったく悲観されることもありませんし、受け入れなければいけない普通の事実です。もし人間との接点がなくここまで育った犬なら、もっと人間に恐怖を感じ、歯をむき出し激しく威嚇してきます。そういう状況ではないですから、全然大丈夫です(^-^)

ただし、粗悪なブリーダーとショップの飼育環境は良くありません。ほとんどのブリーダーもショップも実は良くありません。トイプードルが人気犬種であることと、デフレの不況下でとにかく販売回転効率を優先します。本来は親犬からしつけを受けたり、兄弟ゲンカで節度を学ぶべき時期に早々に引き離され、孤独の中で売られるのを待っています。

ですので、本来親犬がやるべき初歩的なしつけや社会化を、飼い主さんが一からやらないといけないのです。親犬は甘噛みしてくる子犬を、ひたすらひっくり返して時には唸って叱ります。何度も何度も淡々と教え続けます。私達も同じように根気良くやっていきましょう。

オヤツやフードで釣る犬のトレーニング(私は単なる調教だと思っています)は、オペラント(条件付け)と言われますが、私の犬のしつけ手法も実はオペラントになっています。ただし、その条件付けが「物」ではなく「関係」だという事です。

動物は食べ物に強い執着心があるわけですが、犬は同時に強い群生も持っています。それはただ単に利害関係だけでなく、愛情や家族の絆も存在しています。だから人類は、何万年も犬と一緒に暮らしてきたんだと思います。

その関係がオペラント(条件付け)であるべきだと気付いて、ずっとその信念を持ち続けています。でもこの関係作りは、当然ですが時間がかかります(笑い) 反応は物で釣る手法に比べて圧倒的に悪いです。 一夜にして積みあがるものではありません。だから皆さん途中であきらめて、短絡的な手法に走ってしまうのです。

今はとにかく結果は出ないけれどやり続けなければいけない・・そういう時期なんです。6ヶ月過ぎると反抗期もあります。1歳までは大変だという事はご覚悟ください。もちろん、1歳まで何も進歩しないわけではありません。

私がアドバイスさせていただいた方には、8ヶ月ですが完璧な犬もいますし、7ヶ月で教える指示は全部出来る・・という方もいれば、1歳半ですがまだまだ苦労しています・・という方もいらっしゃいます。

犬も飼い主さんも環境も全差万別です。遅かれ早かれ、ちゃんとやり続けたら必ず結果は出ますから、期待しすぎないで求めすぎないで、できることをやり続けるだけです。大丈夫です(^-^)

さて外の散歩ですが、基本は目的を「社会化」と考えてください。もちろんリーダーウォークは意識していただきたいですが、外の世界は3ヶ月の犬にとって恐ろしい世界でもあり、興味深い世界でもあり、楽しい世界でもあります。まだまだ全然慣れていないという事です。

毎日30分以上は、外の世界に触れさせてください。運動もリーダーウォークも、家でも出来るわけですから、社会化を優先してください。拾い食いを叱るたびに立ち止まってほとんど歩けなくても、それで良いんです。

社会化の過程ですから、それで良いんです。まず外の世界に慣れないと何も始まりません。今はガマンの時期です。キレイな散歩の姿は求めてはいけません。

飛びつきですが、奥様と二人で練習しましょう。まずどちらかが犬に付けたリードを短めに持ち、知らん振りします。もうお一人が犬の前に立ち、足をポンポンするなどして、犬の飛びつきを誘います。

飛びつこうとする素振りが見えた時点で、「ダメ」と同時にリードを引き座らせます。首輪をつかんでスワレでガッチリ固定します。(スワレの音の関連付けも)。

それで悪い型は止まり、良い型ができたので褒めます。犬の正面にいた方も褒めます。最初から直ぐに犬は理解できませんので、それを何度も反復します。そして誘っても飛びつかず、スワレの指示で従ったらしっかり褒めてください。その繰り返しで覚えます。

また、態度・あお向け・リーダーウォーク・主導型ボール遊びで主従関係が深まれば、それだけでもしなくなる場合が多いです。でもしっかり型と音で教えましょう。

甘噛みも同じ事が言えます。主従関係の構築と同時に、シンプルに体現させて教えます。噛んでくる犬の口を手で軽くつかんで「ダメ」、ここで悪い型は止まり、良い型が出来たので褒めます。開放するとまた噛むので同じ事の繰り返しです。

それと人間の手を怖がるのも、経験不足の犬の自然な反応です。体罰的な経験もあったかもしれません。

そういう段階では、ムキになって触ったり、あお向けはせず、リーダーウォークをしたり、楽しいボール遊びの流れの中で何となくたくさん触って慣れさせてください。また、オテを教えると自然に触れるので良いです。

犬の目線よりも下の体の部位に触れるほうが、犬は自分から見えるので安心できます。頭の上や背中、オシリから手が近づいてくると怖がります。

ヒモ付きボール遊びはぜひ取り入れてください。スワレ・マテをしっかりさせて、褒めて投げます。ヒモで回収して遊びの主導権を握ります。まずはそれで信頼関係と主従関係を作っていってください。(フローリングは足を痛めるのでNGです。半年過ぎるまで全力疾走はさせないでください)。

そうやって触られることに慣れたら、あお向けを始めると良いです。今回は、まずはそんなところから始めましょう。

オヤツ・抱っこ・ナデナデ・意味のない声かけ・・・それらはされないようご注意ください。かまいたいと思われたら、オテでもスワレでも良いので「指示→従う→褒める」、という要素で接してください。出来なければ、型をとらせて褒めれば良いです。

では、頑張って続けてください(^-^)


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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