犬のしつけがQ&Aで分かる!

吠える犬のしつけ・ケージから出せの要求・他の犬に吠える

質問内容犬のしつけの問題:
1.ケージ内で二本足立ちの「出して欲しい」要求
2.共用グルーミングルームで、外で待つ他の犬に大声で吠え続ける

犬種:トイプードル
年齢:1歳7カ月(飼い始めて1年4カ月)
性別:オス
家族:夫婦と娘の3人家族で、散歩などほとんどの世話は私がしておりますが、昼間は妻との滞在時間が長いです。(妻、娘はあまり犬が好きな方ではありません)

この度、堀川さんの本を読ませていただき、いかに現在までの私の飼い方が主従関係を損なうものであったか。また主従関係をあらためてきちんと認識させることが、犬にとっても家族にとってもはるかに幸せになれることであること痛感しました。

もう少しじっくり読みこめば理解できることなのかもしれませんが、取り急ぎ早急に困惑していることに対して助言をいただきたくメールさせていただきます。

まずケージ内で「出して欲しい」ために二歩足でバタバタする行動をとるのですが、これを鎮めるためにはどんな方法が良いのでしょうか。

今は私が居る時はいったん「スワレ」をさせてから出すようにしていますが、昼間妻だけの時など、常に出してやるわけにはいきません。そんな時は犬のうるささに妻がかなりイラついてしまっています。

もう1点。住んでいるマンションにグルーミングルームがあり、そこで二週間に一度シャンプーをしています。約30分かかるのですが、その間に次の犬が外で待っている時に、他の犬の気配を感じるだけで大声で吠え続けます。そうなると益々作業が遅れてしまいます。(散歩などで他の犬とすれ違う時は、特に吠えたりすることはありません)

こういった吠えを止めさせる方法はあるのでしょうか。

日常の「吠え」はチャイムが鳴った時や来客がドアを開けた時などに起こりますが、それは瞬間的なことなので、口を塞ぐことや、「あお向け固め」などでしつけをしていくつもりをしていますが、グルーミングルームのような密室で長時間同じ状況が続く場合の対応が心配です。どうかよろしくお願いいたします。

①過去はどういうタイミングで、どういう「スキンシップ」をされてきましたか?
普段ケージに入れたり出したりですが、犬が眠くない時はケージから出して欲しいために、二本足で立ち上がり手足をバタバタさせキュンキュンうるさく鳴きます。妻がどちらかと言えば、犬のそういう態度に神経質なために、騒げば仕方なく出すという繰り返しでした。

②過去はどういうタイミングで、どういう「遊び」をされてきましたか?
毎朝の散歩とその前後、夜の私の帰宅後におもちゃを与えたり、おやつで「すわれ」「まて」「こい」などのしつけをしてきました。私もかまってばかりは居られないので、パソコンで仕事をする時に膝の上に乗せたり、ソファーでテレビを見る時にお腹の上で寝そべらせるようになってから(これが良くなかったのでしょうが)、時折り他の家族に向かって吠えることが起こるようになりました。

③過去はどういうタイミングで、どういう「しつけ・褒め方・叱り方」をされてきましたか?
これは②の「すわれ」「まて」「こい」「伏せ」などのトレーニングの他、ケージに入らせる「ハウス」など。(トイレはケージの中のトレーにて、比較的失敗が少ないです)。命令どおり出来た時は、声をかけ、おやつを与え、撫ぜていました。

④過去はオヤツ、抱っこ、ナデナデ、声かけなどされてきましたか?
オヤツやナデナデは前述の通りです。他に私が犬好きなもので、気が向いた時に抱っこをして顔を舐めさせたりもしていました。最近は抱っこしようと手を差し伸べても、逃げ回わろうとしたり、そうかと思えば、突然ジャンプして飛びつこうとしてきたりします。

完全に犬のペースになってしまっています。特に椅子に座っている時にジャンプして膝の上に飛び乗る癖がついてしまいました。最近はあえて膝をテーブルの下に入れ、やめさせています。

⑤過去は散歩は何分、どんなやり方でしたか?
毎朝15分程度、あくまで私のペースで行っていますが、(特に犬の抵抗はありません)
本に書かれている「リーダーウォーク」のような歩き方ではとてもありませんでした。日曜日などの休日は1時間近くおこなうようにしています。コースはその日によって変えるようにしています。

⑥過去は一日のタイムスケジュールはどんな流れでしたか?
私の起床の6時から出社する7時半まではケージの外でフリー。その途中の15分間は散歩。
昼間は妻と一緒の時が多く、ケージの中か部屋のどこかをウロウロしてどこかで昼寝。
家族の中で私に一番なついているために、夜、私の帰宅と同時に吠えながら飛びついて興奮状態になります。その時も着替えている間、「スワレ」などで抑制するのに一苦労です。
その後は食事を与え、あとは②、③のような遊びと簡単なしつけで過ごしてきました。
トイレはケージ内のトイレで行うことが多く、外での失敗は月に1,2回程度です。

飼育環境を想像していただけそうな写真を添付させていただきました。

 

返答内容

まずは飼い主さんの意識設定ですが、少し焦っておられます。急いで結果を求めて強引に展開してしまうと、必ず悪循環になります。

トイプードル君にも、1年半に渡る長い習慣や家族との関係がありますので、激変するとパニックになるだけで、理解できず適応できません。

優しいレベルから段階を作ってあげて、少しずつ難しくしていくことです。

そして、「すぐ解決できる表面上のテクニック」を求めてはいけません。主従関係がないところにそれを行っても、犬は理解できなかったり誤解してしまうからです。

特に今回のような主従関係の逆転の場合は、なおさらになります。本当の関係が見えないまま過ごしていくことになってしまうので、このままですとエスカレートして噛み付きなどに発展してしまいます。

過去のような接し方をされてきて、それでも現状で済んでいるということは、今回のトイプードル君の素性がとても良いということなのです。ちょっと難しい素性の犬だったならば、もう6か月くらいで激しい噛み付きや威嚇で手に負えなくなっています。

良い出会いに感謝して、犬のしつけや関係作りを見直していきましょう(^-^)


さて、まずケージでの「ダセダセ吠え」ですが↓これはいけません。

>「スワレ」をさせてから出すようにしています・・

↑犬は「吠えたあと座れば出してもらえる」ということを学習してしまいます。

出す時は、犬をかまわず無言でリードを付けて出して、リーダーウォークを厳しい「態度」でしてください。そのために出すことです。

「シ!・・シ!・・シ!」の指示音を出しながら、厳しくリーダーウォークしてください。主従関係が崩れていることによる要求吠えですので、主従関係をしっかり示してあげないといけません。

出来れば奥様にもそれをしていただきたいですが、どうしても犬嫌いで出来ない場合や、家事や来客で手が離せない場合は、ケージに布掛けをしましょう。

毛布などの厚手の布をケージ全体に掛けて、暗くしてください。犬は巣穴感覚で落ち着けるのと、人の動きが見えないので興奮刺激が少なくなるのです。

静かになったら少し時間をおいてちょっとだけ開ける・・また少し経ってからちょっとだけ開ける・・という段階を作りながら順応させてください。

ケージの天井に木の板を置くか、所々に棒でも縛り付ければ、毛布は落ちないで掛けられます。

そして、主従関係が出来るまでで良いですので、普段の遊びや団らんでも、ノーリードで放すのは止めてください。

犬をケージから出す時は、必ずリードを付けて「飼い主さんが持って」過ごしてください。その状態で団らんしたりコング遊びをしましょう。

そうすることで、自然と犬の行動全体を主導することになるので、関係作りに良いのです。

それができない時間帯は、犬はかまわずケージからも出さないことです。見れる時にメリハリを付けて出し、主導で遊んだり団らんしてください。それで十分なのです。

ただし、犬の散歩の時間が短いです。15分は短すぎます。長時間の有酸素運動は健康にとても大切です。老犬になって散歩を嫌がると一気に免疫力が落ちて癌などの病気になりやすいのです。

今からしっかり良い習慣を付けておかないといけません。最低30分、できれば1時間です。できない時は家でコング遊びを30分です。

犬のダセダセ吠えは、運動不足や狩猟本能の発散不足も含まれています。


グルーミングルームでの吠えですが、これも犬との主従関係の崩れが影響しています。同じマンション内で頻繁に行く場所ですので、普段放し飼いに近いと縄張り意識も強くなりますし、自分がリーダー的な認識の場合は、余計にそうなります。

そして、注意しても聞く耳は持ちません。

まずは主従関係をしっかり作ることと、普段の口閉じやリーダーウォークで、「シ!」の意味を理解させておくことです。

主従関係ができてきて、指示音の関連付けができてくれば、指示音だけで吠え止むようになります。定着していけば最初から吠えなくなります。

ただし時間はかかります。すぐ結果を出そうと思われないで、普段の何気ない接し方から取り組まないといけません。

当面は、吠えた瞬間「シ!」の指示音で、リードや首輪をチョンと引き上げて注意することを繰り返してください。聞かない場合は、引き上げの強さを変えてみましょう。

家でも練習してください。わざとチャイムを鳴らして、連続して集中的に練習して教えることです。

家族の誰かにチャイムを鳴らしてもらっても良いですし、携帯などで録音して再生すれば、お一人でも出来ます。

>膝の上に乗せたりソファーでテレビを見る時にお腹の上で寝そべらせる・・

↑これは止めましょう。犬の世界では、体位が関係性を示します。マウンティングや飛びつきもそうですが、相手の体の上に乗って関係を示そうとするのです。

だから、犬を人の体の上に乗せると関係を誤解します。そして、さらに猫なで声でナデナデしてしまいますね。それは、下位の犬が見せる服従挨拶そのものなのです。

オヤツも止めましょう。

栄養バランスも崩れていますし、好き嫌いを覚えますのでドッグフードを食べなくなる場合が多いです。

そして、オヤツで釣って犬を行動させていると、犬との本当の関係が見えなくなってしまうのです。これが一番怖いことなのです。

では今日は以上ですが、必ず長期目線で根本の関係作りを見直されてください。それをされないで表面上のテクニックだけ求めても絶対に犬のしつけは成功しません・・・

 

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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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