犬のしつけがQ&Aで分かる!

本気噛みする犬のしつけで困っている場合の対処法

質問内容犬の本気噛みで困っています。柴犬5才1ヶ月オスでブリーダーから生後40日頃連れて来ました。

家族は夫50代・私40代・子供高校生2人・夫の父母70代。

家族全員が噛まれた事がありますが、一番多いのは義母で数針縫い入院も数回した為、周りの助言もあり去勢やドッグトレーナーに歯を削る提案聞き藁にもすがる思いで行いましたが後悔しています。

あの時はそうするしかないと思ってしまいました。エサ以外与えないなど家族で決めても、なかなか人数も多いせいか徹底出来ず、今義母には食べ物を与えたり近くにはいかない様話し、夏場はあまり通らない場所に移動させたりしてるのですが。

食べ物や動く物に敏感なようで、ガムも与えると近づいただけで取られると思うのか、鼻にシワを寄せて凄い剣幕です。

あまりに何回も噛まれた為、最近は家族に手放す話もされましたが、私はどうしても出来ません。私も義母との関係もギクシャクして毎日が辛いです。

小さい頃はここまで酷くはなかったし、今も普段はおとなしい時もあります。小さい頃の育て方もあったと反省しています。

もっと家族が撫でたり出来ればどんなにいいかと思います。首にリードを着ける際も、凄い形相で本にある仰向け固めなど出来るか不安です。ご指導下さい。

スキンシップは子犬の頃はお腹をなでたり遊びはフリスビーはよくやりました。歯を削ってからは出来なくなりやっていません。

お手お座り待てフセは子犬の頃に出来ています。

褒めかたはオヤツ、叱りかたはダメと声かけ、家族は手を上げた事もあったかもしれませんが、私も仕事で離れてる時間もあり把握していない事もあります。

オヤツはお手やお座りしたらあげたり、抱っこは子犬の頃は甘えてくる度にしていました。

犬の散歩は15分~30分くらいで、雨の日は犬もサークルから出て来ないので行かなかったり、こっちの都合で行けない日もあり時間もバラバラですが散歩でウンチします。行けない日、枠の外にしている事もあります。子犬の頃は専用のシートにしていましたが段々それにはしなくなってしまいました。

エサは1日1回か2回、1日のスケジュールはエサ、散歩以外は特に何もしていない事、ダメ飼い主だと今改めて思いました。

犬と目が合えば声かけはよくしますが、スキンシップは噛む為どうしたらいいのか分かりません。

犬の居場所の写真を送りますが、小屋に扉をつけ中にサークルを入れて入れる様になっています。外も枠を付け来客がある時は締めたりします。上はチェーンを長めにしてある程度自由に歩ける長さにしています。

 

返答内容

まず、本気噛みにまで発展したのは、一つだけの要因ではなく、生後40日の時点で始まり、その後の接し方すべて関わっているものです。

柴犬君の素性は悪くありません。素性に問題がある犬は、もう家に来た時点から常に唸る噛む吠えるなど、一定で明らかな現象があります。しかし、今回の柴犬君は「普段は良い子・・急に噛む」ということですので、やはり主従関係の崩れや社会性の乏しさから「気に入らない事があった瞬間スイッチが入る」という状況です。

そして、突発的に本気で噛む犬は、多くが体罰を受けた傾向があります。

では具体的なお話です。

まず、生後40日で親兄弟から引き離すのは、まだ早すぎるんです。ブリーダーは「早い方が慣れて良い」と表向きは言いますが、ただ単に利益効率を追求しているだけです。

早すぎる引き離しが問題になったので、最近「動物愛護法」が改定されて少し伸びたのですが、それでもまだ早いのです。

40日というと、やっと親犬による子犬のしつけが本格的に始まるころです。ここからしばらく続けて、兄弟ゲンカの中でも学びながら少しずつ噛み癖などが消えていくのです。本来は、生後2か月半から3か月くらいまでそうやって学び、初期の社会化を果たさないといけないのです。

ですが、人間家族がそれを熟知していて、親犬の代わりにしつけが一貫できれば、それは一番良いわけです。しかし、犬のしつけで苦労した経験がない方には、それは想像すらできない無理なことなんです。

結局、初期の社会化がまったくできていない子犬を迎え、チヤホヤするだけなので、犬は主従関係など全く理解できないまま成犬になり、気に入らないことがあれば当然噛みつく・・ということになります。

そこであわててとっさに犬の頭を叩いたり、犬をおどかすような怒り方をしてしまい、ますます犬の防衛本能や攻撃性が強化されてしまうのです。

チヤホヤの甘やかしと体罰・・これが重なるのが一番悪いです。

それと、オヤツで釣ってしまうと犬が簡単に表面上コントロール出来てしまうために、関係作りができているかのような錯覚に陥ってしまうのです。これが怖いことなんです。

現在は接触すらできない状況ですので、まずはそこからお話していきます。

リードは付けないと何もできませんので、作業用の革手袋は買ってください。ホームセンターで500円くらいで買えます。

そして、古着を重ね着したりすれば全身ガードできます。犬に噛まれることをビクビクしていると、緊張興奮が犬に伝播してあおってしまいます。見下す犬もいます。

そして、お庭などでたっぷりリーダーウォークをしましょう。

まずは1週間、家族全員で一貫して、話しかけたり見つめたりしないで無視をしてみてください。並行してリーダーウォークです。時間を見つけては無視しながら淡々とお庭などでリーダーウォークです。

(お散歩は今まで通り行きます。声かけしない。)

1週間続けたら、リーダーウォークの中で、チョンチョンと犬の体を触ってみてください。手が上から近づくと、噛み癖のある犬は嫌がりますので、頭や背中は触らず、犬の目線よりも低い位置から手を近づけて肩付近をポンポンしてください。

もし噛んだら「シ!」の注意音と同時に厳しくリーダーウォークしてください。

しばらくやって、また肩付近をポンポンしてください。

それを続けて、慣れてきたら今度は犬の口の前に手を見せてみましょう。もちろん噛んだら「シ!」の注意音と同時に厳しくリーダーウォークです。見せても噛まなくなったら、今度は口を触ってみましょう。

そんなふうにリーダーウォークを続け主従関係を作りながら、同時に噛み癖の教えもしていきます。

手を見せたり口を触っても噛まなくなってきたら、主導型のコング遊びや仰向けにも挑戦してみましょう。それを普段のスキンシップにすれば良いです。

革手袋などガードをすればちゃんと出来ますので、リラックスしてやってみてください。ただし、結果を急がないで、最初にお話したように、まずは普段の何気ない接し方とリーダーウォークから始めて様子を見てからです。

そんなことで、リーダーウォーク・あお向けがご夫婦二人でできるようになったら、今度は子供たちとご両親です。奥様か旦那さんどちらかが仰向けをしているところに、子供さんやご両親を参加させます。まだ単独でさせないことです。

それに犬が怒らなくなってきたら、今度は奥様か旦那さん監督のもと、子供さんにもリーダーウォークや主導型のコング遊びをさせてみてください。もちろん革手袋などしっかり装備はさせてください。

そんなふうに犬と家族の関係作りをしていってください。

噛まないでそれができるようになってから、普段の何気ない接触も始めても良いです。ただし、オヤツなどはもう止めることと、意味のない声掛けナデナデ抱っこもいけません。

オテでもスワレでも何でも良いので、何か犬に指示を出し行動させ褒める・・指示で出来なければ型で教えて褒める・・というふうに、主導性と毅然さを一貫してください。

褒め方は、頭や背中は触らないで、手を低い位置から近づけて犬の肩付近をポンポンポンで褒めることです。

以上が、これからやっていただいきたい流れですが、絶対にあせらないことです。数日で完成させようなどと思ってはいけません。5年もの長い習慣や関係がありますので、激変すると犬がパニックになり悪循環になります。

そして、家族での一貫性がないと成功しません。必ず家族会議を開いて、決め事や過去の反省をしてください。おそらく誰かが犬を叩いたりしていた可能性が大きいです。犬の知能には体罰は理解できず攻撃的になる・・ということを良く説明してあげてください。

そして、本来はこういうことをまとめて率先するのは、ご主人のやるべき事です。絶対にこのメールも含めてご主人にご覧いただいてください。ご姑さんとの関係もあるわけですから、ご主人がまとめないとどうにも進みません。

柴犬君をこのまま放置したら、また誰かがもっと大きなケガをするでしょうし、他人をそうさせたら飼い主への刑罰や犬の強制殺処分にもなってしまいます。そんな悲しいことにならないようにしないといけません。

まずはご家族皆さんの意識改革です。特にご主人が決断して、もうやり続けないといけません・・・

 

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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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