犬のしつけがQ&Aで分かる!

犬の甘噛みのしつけで叱る・褒めるのタイミングが難しい場合

質問内容
堀川様、お世話になっております。

犬の甘噛みのしつけについてです。

QAを拝見していると、下記の流れであると理解しました。

1甘噛み
2ダメの音付け
3口閉じ
4シーの音付け
5誉める
6再度噛まなかったら誉める

しつけは、音と型であることも理解しました。

これまで、4と5をしていませんでしたので、これから実践していこうと思っておりますが、ここで疑問が浮かびました。3の口閉じは、今は2の型としてやっていますが、4の型でも有りますよね。

これでは、犬が混乱するのでは無いかと考えました。
口閉じが、ダメとイイコの両方になってしまうからです。

タイミングの問題の様にも思いますが、気を付ける事はどのようなところでしょうか?

現状は2を3の後にもやっていますが、ダメは繰り返さず一回で十分でしょうか?

4をするタイミングで抵抗しているとイイコをするタイミングも逃しそうです。4の後に大人しくなっているのであれば、5が活きてくるとと思うのですが、抵抗してても、噛んでいない状態だから誉めるべきですか?

犬からしたら、噛んで怒られたと認識しているのではと考えて、私の頭の中で堂々巡りになってしまいました。

アドバイスを頂けたらと思います。よろしくお願いいたします。


返答内容
今回、大変良いご質問をいただいたと思います。

教える時のポイント、叱り方、について誤解しやすい部分になります。

まず、私は、「犬には罰を与えません」(という感覚です)

私が行っている、例えば、

仰向け、リーダーウォークの切り返し、口閉じ、口に手を入れる、リードや首輪の引き上げ・・・

などは、『罰』ではなくて、『悪い形を止めて良い型を作っている』ということなのです。

『罰があって、次に良い型を作る』のではなくて、『悪い形を止めて良い型を作っている』ということが一つのセットになっているのです。

例えば、

・口閉じをした

・口の中に手を押し込んだら犬がのけ反りながら噛んだ手を放した

・リードをチョンと引き上げた

という手法は、一見すると罰のようにも見えますが、行った瞬間は、吠えや噛み付きが止まっている瞬間ですよね。

一つの行いで、『悪い形が止まって良い型が出来た』のですから、ここで褒めます。

ですので、『流れ』というよりも、全部セットにしてできるだけ短い時間で行ってください。

①犬が悪い事をしている現行犯(現行犯でない場合は絶対に叱らない)
②教え
-1:注意音(シ!・ダメ!・NO!などから統一する)
-2:悪い形を止めて良い型を作る(仰向け、リーダーウォークの切り返し、口閉じ、口に手を入れる、リードや首輪の引き上げ)
-3:指示音と褒めの関連付け(犬の肩付近をポンポンしながら指示音で褒める。褒める時は犬の名前を混ぜるのも良い)
③反復練習
またわざと手を見せて、もし噛んだら②の教えセットをまた行う。噛まなければ、マテや名前で褒める


こんなふうになります。

ですので、②は全てをセットと考えて、1秒でも2秒でも短く行います。

ただ、順番としては、②-1-2-3という順番になります。

↓ということで、これは間違いになります。

>現状は2を3の後にもやっていますが、ダメは繰り返さず一回で十分でしょうか?・・

↑もう良い型が出来たのであれば、そこで叱ってはいけません。良い型になったのですから、褒めるだけです。

そして、褒めた時にまた噛んだら、また②を繰り返せば良いのです。


>抵抗してても、噛んでいない状態だから誉めるべきですか?・・

↑この場合は、無理に褒めないで、「大人しくしてほしい」わけですから、そのためにマテの型を作って教えてください。

動きを止められたら褒めれば良いですし、興奮がひどくなる場合は、無理せず止めます。もしくはリーダーウォークに切り替えるなども良いです。

特に子犬の場合は集中力が全然続きませんので、何度か繰り返して興奮が増すようでしたら、もうムキに教えないで、ケージに入れて落ち着けましょう。吠えたら『布掛け目隠し』です。


そして、『罰ではない』ということです。

飼い主さんの主導性と毅然さを犬に示して、「この人には好き勝手できない、自分が従うべき相手」ということを認めさせることが目的です。

犬も人間の幼子もそうですが、知能が低い相手ほど、罰の意味を理解できないので、罰は与えてはいけないのです。

例えば、犬のお尻や鼻先を叩いたり、チョークチェーンで締め付けたり、ビターアップルで苦い味を味わわせたりなどは、嫌悪刺激を与えることが目的になってしまっています。

しかし、犬も人間の幼子も、受けた体罰に対して、「自分が行った行動が悪かったから」と、関連付けて反省する知能は無いのです。

人間の大人でも、なかなか理解できないものです。

強い体罰でねじ伏せても、犬はその相手を信頼したわけでもなく、自分の行為を反省したわけでもなく、ただ単に防衛本能で「大人しくしておいた方が良い」と判断しただけであり、反撃のチャンスをうかがったり、もっと弱い相手を見つけて攻撃するようになってしまいます。

主導性と毅然さは不可欠ですが、罰を与えるという意識は、持たないほうが良いです。

それと、犬は相手の毅然さをとても敏感に感じ取ります。

精神的に負けているのに、表面上だけ手法を行っても、犬は直ぐに見抜いてよけいにイライラ反発しますので、本書とQ&Aを読み込んでいただいて、知識と意識を深めていきましょう。

愛情・主導性・毅然さは、どれが欠けてもいけません。

全てバランス良く必要なものになります。

それでは、またQ&Aを熟読いただきながら、頑張って続けていきましょう(^_^)


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【著者:運営責任者】
犬のしつけアドバイザー
堀川春広
株式会社ホリページ代表取締役
https://www.horipage.com/
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